シカゴには数え切れないほどのピザ･レストランが存在していますが、本場ナポリ市に本部のある”真のナポリピッツァ協会”が認めた本格的なナポリピザが食べられるお店は、イリノイ州にはたったの2店しかありません。今回ご紹介する『Parker's』はそのうちの1つで、Highland Aveと31st Stの北西の角にある一軒家のようなかわいらしい外観が目印のレストランです。店内は黄色の壁とダークウッドで統一されていて、コンテンポラリーな雰囲気でとってもお洒落。フルバーの中央にはグランドピアノが置いてあり、週末にはここでジャズの生演奏が行われます。キッチンにはもちろんピザ用の薪釜があります。このお店では料理に使う全ての素材にこだわりをもっていて、シェフが所有する農園で自ら手を掛けて育てた野菜をはじめ、農家やフィッシャーマンから直接仕入れたその日のフレッシュな食材を使用しています。

席に着くと早速、ホールウィートのパン、フワフワのサワードウ、そしてクラッカーが入ったバスケットがでてきました。サイドについてきたひよこ豆の素朴な味わいのハムスとミルキーでほんのり甘いデザートのようなバターは、どのパンやクラッカーにつけても相性がよく食がすすみます。アペタイザーにはDucktrap Smoked Salmon & Whitefish Caviar Rolls、そして”真のナポリピッツァ協会”が認めるMargnerita とDi Parma の２種類のピザをオーダーしました。ピザはランチメニューとして扱われているのでディナー･メニューにはのっていませんが、バーエリアでは夜もサーブされていることもあり、ウェイターさんにお願いすれば作ってくれます。スモーク･サーモンとホワイト･フィッシュのキャビアロールはサイドについてくるキュウリを使ったソースのグリーンとスモーク･サーモンの鮮やかなオレンジ、それにホワイト・フィッシュの真っ赤なキャビアの色のコントラストがとっても綺麗。新鮮さが伝わる臭みのないスモーク･サーモンに、酸味のあるキュウリソースの爽やかさがきいたあっさりした一品です。

さて、”真のナポリピッツァ協会”から太鼓判をもらっているナポリピザというのは、伝統的なナポリピザの作り方を守るため、またその他のピザとの差別化をするために、協会が規定した素材と製法を忠実に再現しているレストランだけに与えている称号です。規定条件にあるように、この店のピザは最高温度が４00度以上に達する熱々の薪釜を使って焼き上げるため、調理時間はたったの１分弱。そのため注文してからあっという間に出来立て熱々のピザがテーブルに並びます。高温で一気に焼いたピザ生地は外側の部分はふっくら、そしてもっちりとした噛み応えがあるのに、ソースや具がのった中心部分はとっても薄くてカリッとしていて、ほどよい塩気と香ばしさが感じられます。マルガリータは、本来トマトソースにバッファロー･マッツオレラチーズ、そしてバジルをのせただけのシンプルなピザですが、残念なことに今回はその大事なバジルが忘れられていて、これにはちょっと閉口。でも噛むたびにこだわりの味を感じるクラストそのものや、フレッシュな甘さと柔らかい酸味を感じるサンマルツァーノ・トマトの味は感動的でした。もう一つのデ・パルマは生ハム、甘いグレープ･トマトとペコリーノ・グランクルーチーズ、そして香りが抜群にいいルッコラがのっています。生ハムと100％山羊の乳で作られた濃厚なチーズの塩味がアクセントになっていて、大きめサイズのピザですが一人で一枚食べられてしまうおいしさです。

メインにはLake Superior Whitefish Wellington、Bouillabaisse、それにLavender & Honey Glazed Maple Leaf Farms Duck を頼みました。魚の形に焼かれたパイ生地はサクサクとした食感がよく、身の引き締まったレーク・スペリアの淡白な白身魚にぴったり。椎茸の香りがきいたまろやかなフランス風のレモンバターソースやリークの香りによって、何層にも織り成す味のハーモニーが楽しめます。熱々の鉄鍋で出されるサフロンとトマトブロスのブイヤベースは、クラブミートにホタテ、イカ、アサリ、ムール貝、海老や魚がたっぷり入っていてとにかく具材が豪華です。魚介類のウマミを凝縮した甘めのブロスには柑橘系のオレンジ･ゼストが加えられていて爽やかさもありますが、全体的にはピリ辛さを感じる大人向けの味です。ダックは調理加減もよく、お肉がとってもジューシーに仕上がっていました。胸肉だけでなく足の部分もあるので、ボリュームもたっぷりなのが嬉しい限り。鴨肉にはサンドライド・チェリーのほのかな酸味がきいた甘辛い焼き鳥ダレのようなソースがほどよく絡み、付け合せのマッシュド・スイートポテトとキャンディード・ピーカンの甘さがちょうどいい箸休めになります。

デザートにはWhite Chocolate & Apricot Croissant Bead Pudding とCallebaut Chocolate Cake をオーダーしました。クロワッサンで作ったプディングは優しい味わいで、どこか懐かしい感じがします。ブラックベリーのシャーベットと一緒に食べるとさっぱり感が増し、あっさりといただけます。最も良質のチョコレートを作り出すことで有名なベルギーのカレボー･チョコレートを使ったケーキは上質な甘さがどんな人をも満足させてくれるはず。しっとりしたケーキは甘酸っぱいアングレーズ･ソースとベリーとの相性も抜群です。

新鮮素材のおいしさを最大限に生かしたピザやコンテンポラリーなお料理からは、お店の料理にかける意気込みとこだわりが感じられます。今回ご紹介した以外にもお勧めしたいようなメニューが目白押しですので、いろいろ試してみてください。『Parker's』では週末の夜はライブジャズの演奏もあります。またパーティー用の個室もありますので、イベントなどの利用にもおすすめです。

(7/5/2010)

二種類のパンとクラッカーには甘めのバターとハムスが付いてきます。	色のコントラストがとっても綺麗なDucktrap Smoked Salmon & Whitefish Caviar Rolls	Lake Superior Whitefish Wellingtonは何層にも織り成す味のハーモニーが楽しめます。
"真のナポリピッツァ協会"が認めるピザ　Margnerita とDi Parma。ナポリピザの伝統的な製法と素材を使って作られているので、さすがに本格的ななおいしさ。
熱々の鉄鍋で出されるBouillabaisseは具材が豪華。魚介類のウマミを凝縮した甘めのブロスには爽やかさとピリ辛さのきいた大人向けの味。		Lavender & Honey Glazed Maple Leaf Farms Duckはお肉がとってもジューシー。
優しい味わいで、どこか懐かしい感じがするWhite Chocolate & Apricot Croissant Bead Pudding	有名なカレボー･チョコを使ったCallebaut Chocolate Cake はしっとりとした上質な甘さがGood。	コンテンポラリーな雰囲気でとってもお洒落な店内。