ワインテイスティング・パーティーをやろう
シカゴの長い冬。いつものメンバーと鍋パーティーもいいですが、たまにはちょっとお洒落に決めてワインのテイスティング・パーティーなんて如何ですか?専門的な知識は無くても「これはステーキに合いそうだね」とか、「へ〜、チリのワインって結構渋みがあるね」なんていう会話を交わすだけでも楽しいものです。そこで、今回は読者の中から15名の有志を募ってテイスティング・パーティーを行ってみました。
■ワイン・テイスティング・パーティーに必要なもの
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ワイン:出来ればテーマを持って集めたい。例えばイタリアン・ワインだけとか、1997年に世界各地でつくられたワインなんて面白いよね。今回は初心者が多いのでとにかく色んな国からバラエティーに富んだワインを集めてみました。 |
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グラス:色の判別のしやすい無色透明のもので、香りの集まりやすい口がすぼんだものが良い。 |
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音楽:テーマに合った音楽を準備しておくと盛り上がる。例えばタンゴを聴きながらのアルゼンチン・ワインとか、シャンソンを聴きながらのフランス・ワインなんて素敵でしょ。(オーストラリア・ワインの場合はアボリジニ音楽?) |
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クラッカーかパン:クレンジング用 |
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各ワインの紹介文:WINE雑誌やホームページなどが紹介しているレビューを用意して参加者に配っておくと各自、自分の舌と比べる事が出来ます。
ワイン・スペクテイター誌のホームページ:www.winespectator.com
フード&ワイン誌のホームページ:www.foodandwine.com
ワイン・アドボケイトのホームページ:www.wine-advocate.com |
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テイスティング・ノート:せっかくだから楽しんだワインのメモを取っておこう。 |
■テイスティングのしかた
ステップ1:色を見る
まずグラスを自分の向う側45度に傾け、ワインの色を見る。これで濃さや熟成度が分かる。また、傾けたワインを真っ直ぐに戻した時に出来るワインの跡の状態で粘り気を知る事が出来る。これを「ワインのLEG(脚)」と呼び、アルコール分の強さやエキスの強さなどが関係している。
ステップ2:香りを嗅ぐ
ワインを空気に触れさせてその時に立ち上る芳香を嗅ぐためにグラスの中のワインをクルリとまわそう。ソムリエはこの「香り」を表現する形容詞を色々と知っている。英語ではカリフォルニア大のノーブル教授の考案した「AROMA
WHEEL」が有名で、実際にワイン・スクールなどで使われている。これには色んな形容詞が細分化されて紹介されている。(http://wineserver.ucdavis.edu/Acnoble/home.html(BIN36でも入手可)日本語でも色んな言葉が使われ、「ライラック」や「アプリコット」の香りといったスタンダードな表現をする人もいれば「火打ち石」や「ジャコウネコ」の香りまでと表現力は色々だ。
ステップ3:味わう
辛いか甘いか、酸味はどうか、渋みは?まろやかさは?余韻はどうか?色んな項目に分けてワインを口全体で「感じ」てみよう。本当のテイスティングでは飲みこまずにスピットアウトするが、そんな勿体無い事出来ない(笑)。
おまけ:ぷれ〜り〜主催ワインテイスティングの結果
今回我々の行ったテイスティングでは10ドル以下のワインを8種類。それから日頃はちょっと手の届かない130ドルのワインを一本用意して楽しみました。各自、自分の「感じ」た事を懸命に言葉で表現しあい、意見を交換しあいました。チリのワインを飲みながら、南アメリカの広大な大地に思いを馳せ、スペイン産のグルナッシュを飲みながらスペイン旅行に行った人の話に耳を傾けました(勿論BGMはフラメンコ♪)。最後に皆から集めたテイスティング・ノートに残されたコメントはまさに千差万別。「スパイシー」、「ツルッとした」、「食欲を増進する」といったオーソドックスなものから「雨上がりの森林に入ったような香り」、「壮大な大地の味」といったクリエイティブなものまで。それに混ざって「女の子と飲みたい」と「女の子に飲ませたい」という不届きなコメントまでありました。(この二つの微妙な違いが貴方には分かるでしょうか?後者の方が『脚』がしっかりしてそうですね(笑))
その他のコメント集:
クリエイティブ系
「インテンスでセクシーな香り」
「舌にざらつく焦燥感」
「RUSTY」
「桧のような強く優しい香り」
貴方は何を飲んでいたの?系
「マイルドなゴムのにおい」(ゴムにマイルドもハードもあるのか?)
「卵からパーマ液のにおいに変化」(それは貴方にとっていい香りなのか?)
「牛肉の肉汁」(これは色なの?ニオイなの?まさか味じゃないよね?)
「静脈血管の色」(医療関係の方ですか?それとも。。。?)
「ダシつゆ」(おっ、和風でしたか?)
「ロボット」(ちょっと待て〜!これ味の欄に書いてあったぞ。。。)
そして130ドルの高級ワイン「97年物のインシグニア」についての反応は:「素人でも違いが分かる」、「香り立つセダクティブ(魅惑的)な香り」、「良いものを経験してはじめて他のもののアラが浮き彫りになる」、「まろやか。この上なくまろやか」と上々であった。やはり高価なものにはそれなりの理由があるのかも知れませんね。
最後に参加者全てに『インシグニア』以外のワインで好きなワインを3つ選らんでもらい投票してもらいました。その結果スペインのグルナッシュ・ワインとチリのカベルネ・ソーヴィニヨンが高得点を獲得。しかし意見は色々と分かれ、ある人にとっては最悪のワインを最高のワインとした人もいました。やはり人の味覚は十人十色ですね。
種類 |
名前 |
国名 |
地方 |
投票(15人が一人3つ投票した総計) |
ワイン・スペクター誌の点数 |
備考 |
カベルネ・ソーヴィニヨン |
1999-Aresti Cabernet
Sauvignon |
チリ |
クリコ・バレー |
8 |
85 |
安価で美味しいと評判のチリ・ワイン。アンデス山脈の麓で太平洋の寒気にさらされた良質の葡萄を使用したコクと深みのあるワイン。
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メルロー |
2001-Banrock Station
Merlot |
オーストラリア |
南オーストラリア |
4 |
83 |
評価の分かれたメルロー。一番美味しかったという人もいれば、味がボケているという人も。ボトルのデザインはお洒落なんだけど。 |
ピノ・ノワール |
2000-Beaulieu
Vineyards Coastal Pinot Noir |
アメリカ |
カリフォルニア |
6 |
NA |
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シラー |
2001-Chateau Grande
Cassagne Syrah |
フランス |
ローヌ地方 |
5 |
88 |
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ガメー |
2000-Georges Duboeuf
Regnie Flower Label |
フランス |
ボージョレー |
4 |
89 |
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グルナッシュ |
2001-Agricola de Borja
Vina Borgia |
スペイン |
ボーハ |
9 |
86 |
今回試した中では一番人気(特に女性に)。グルナッシュ特有の果物の風味が女性の心をゲットした?(BGMフラメンコだったからという意見あり(笑)) |
バルベーラ |
1998-Michele Chiarlo
Barbera d'Asti |
イタリア |
ピードモン |
5 |
87 |
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サンジョヴェーゼ |
1997-Bibbiano
Chianti Classico Montornello |
イタリア |
タスカニー |
4 |
81 |
こちらも評価が分かれた。やはりイタリア人には評判が◎だったが、大和撫子にはちょっと『腰』が強すぎだったようだ。香りは最高なんだけどね。 |
カベルネ・ソーヴィニヨン |
1997-Joseph Phelps
Insignia, Napa |
アメリカ |
カリフォルニア |
別格 |
96 |
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