昔流行ったあの曲「飛んでイスタンブ〜ル、光る砂漠でロ〜ル、夜だけの〜パラダイス」ってご存知ですよね(知らない若い読者さんもいるのでしょうね)。メロディラインなのか、意味深な歌詞なのか、なんだか魅惑的&神秘的な要素が’いっぱいのこの曲、イスタンブールという国を表すには最適な雰囲気な気がします。子供の頃から「いつか必ずイスタンブールに行く」と決めていた筆者が見て感じて食べてきたイスタンブールの様子。ぷれ〜り〜海外企画『西洋と東洋が交差する街:イスタンブール』をお楽しみください。
▼イスタンブールへ到着!
まずびっくりするのがその美しい空港の雰囲気!いやあぁ、奇麗、明るい、そしてなんといい匂い。たまたまだったのかもしれませんが、長ーい空の旅の後に、ローズウォーターの様な素敵なかおりに包まれている空港に降りれたその一瞬、は最高でした。更に空港職員さんたちの優しい事!「こっちですよ、査証はありますか?トイレはこちらですよ。」といろいろと聞いてくれて、ニコニコしています。眉毛の濃い、時には繋がっている一本眉のお兄さんさん達、よく見たらちゃーんと拳銃もってて、あらちょっと怖い。でも、非常にウエルカムな対応でハナマル印。正直’人々は布を身にまとい、ラクダに乗って生活’しているようなイメージを持っていたので、空港ですでにカルチャーショック。ただし、女性達の姿はほぼ想像した通り。たくさんの方々が”アバヤ”と呼ばれる、身体全体を隠す黒いドレスと頭からかぶる黒い布、見えるのは顔だけ、あるいは目だけ。。。直射日光が厳しいこの土地だと白ではなく黒の方が涼しいのだそうです。それに比べて、筆者はスカート、サンダル、Tシャツ。。。ま、いかにも「観光客」な出で立ちで、このような人もたくさんいるのがイスタンブールの空港でした。
▼空港からホテルへ
Old
Town(旧市街)中にあるホテルに向かいます。送迎付き&朝食付きで1泊70ドル程度のこのHotel
Sapphireを選んで大成功!とにかくロケーションが最高!様々ま世界遺産を徒歩で見て回れる。ただしそこは旧市街、入れ組んだ道の中にあるこのホテル、初めて行ってすぐに見つけるのは無理だろうなぁ、と思っていた所「空港からの片道の送迎は無料!」と嬉しい言葉をウェブサイトで発見。もちろん筆者もこのウェブスペシャルを使いましたが、空港に到着し、査証を払い、入国審査を終え、そしてやっとこさ荷物をゲットして、さぁ!ホテルまでの送迎運転手を探そう、と出た所には、、、こーんなにお待ちの方々がいるのですよ!まるでヨン様がやってくる成田空港のようでして、このガイドさん達の持っている名前札の中から自分の名を探すので一苦労、、、しかも、ガイドさん達はここぞとばかり「私のホテルへいらっしゃい!」「予約はあるの?ないなら今なら特別値段でご提供!」と、それはそれは激しいセールス競争が展開されていました。ま、そんな中でもあくまで”自分を失う事なく、リラックスして、颯爽として”いればいいのです。無事にホテルから手配されているガイドを発見!空港からオールドタウンまでは、車で約40分の道のりとなります。
▼ホテルに到着すると
まずはホテルに到着すぐに冷たいアップルティーとお茶請けののサービス!なーんて嬉しいんでしょう。お菓子はトルコで有名なフルーツ味のジェリーの様な物に、粉砂糖がまぶしてあるもの。街でもどこでもよく見かけるトルコ土産のひとつ、英語でTurkish
Delightと呼ぶそうです。美味しかったなぁ。そして早速”お土産品”をいただきました。「これはトルコで良く使われるお守り。青い目が、いつもあなたを見守っていますので、観光中いつも肌身離さずもっていてくださいね」と説明されました。ほう、そういえば街の所々にこの「青い目」がデザインされているんです。ホテルからレストランから、トイレから。そして小さなガラスで作られたものは、イヤリングになったり、ネックレスになったり、とてもかわいらしいもの。さて、ホテルのお部屋はシングルユースにはもったいないくらいの広さ、滞在中に必要なものは全てそろっているし、朝ご飯もすっばらしい量のビュッフェメニューが食べたい放題!トルコの人は甘い物が好きなのでしょうか、朝ご飯のメニューには大きな器に入った蜂蜜、それも蜂の巣さえも入ったもの、がドドドーン!と置いてありまして、よく見た所、地元の方達は、トーストにヨーグルトに、フルーツにお茶に、はたまたハムやチーズの上にもドローンとこの蜂蜜をかけて食べているのです。そうそう、あと良くみかけたのが「キュウリ」です。なぜかいつもきゅうり。いいんですけどね。きゅうりにも蜂蜜かけてるのにはちょっとびっくりしましたが。
▼さぁ、観光を始めましょう!
今までの人生の中で、どうしても生で見たかった、歴史の教科書で習った時になにか強い魅力を感じた、あの建物達が目の前に広がっている!もういても立ってもいられない!という訳で、さっそく靴をスニーカーに変え、ロングスカートにに着替え(そうなんです、女性の方はモスクの中に入る場合など、このような衣服の対処は必須となります。ので、あらかじめ長めのスカートやズボンを着ておく事をおすすめします。せっかく入りたいモスクに到着しても衣服のルールの為に中に入れない、、、なんて寂しいですからね。観光名所としても有名なモスクの入口には、頭を隠す布は用意してある所が多々。できたら簡単な布あるいはスカーフを鞄の中に用意しておくのもいいですね)いざ観光へ出発!チンチン電車がのんびり走っているこのオールドタウンの街を、レストランやカフェの呼び込みおじさん(Fishing
guys と呼ぶらしいです:人を釣る、という事で、、、)を無視しつつ、ではあの有名なモスクから足を運んでみましょう。
そうそう、女性の皆さん。聞いていたには聞いていたのですが、“日本人女性に対する親切さ”はこの上ないトルコの男性方。ホンっとうに優しく対応してくれますし、なにかと気を使って声をかけてくれます。が、だまされてはいけませんよ、中には下心いっぱいの人がたくさんいますので。自称「政府公認ガイド」と装って、実は単なる学生ガイド、日本の女の子に近づきたいばかりにいろいろと説明してくれたり、荷物をもってくれたり。ここでも、”自分を失う事なく、リラックスして、颯爽として”いてくださいね。
「ブルーモスク(Sultanahmet Camii)」:
その蒼い内装の美しさからこのような名前がついたモスク。スルタン・アフメッド・ジャミー(ジャミーとは、トルコ語でモスクの意味)というのが正式名称なんですが、だれもそのフルネームで呼ぶ観光客はいなそう。ブルーモスクの方が呼びやすいですしね。7年の歳月をかけて作られたこのモスク、世界でも唯一6本のミナレット(モスクについている塔:この塔から礼拝の時間を知らせる)が立ち並び、メインのドーム型の建物との絡みあいがとっても印象的。1616年完成のこのジャミーは、イスタンブールの歴史地区の中心モスクとして、また世界遺産としてユネスコにも登録されている名所です。
中に入るには、靴を脱ぎ、そして入り口に置いてある青い布で頭をおおいます。このモスクは今でも地元の人々のお祈りの場として使われていますので、厳粛な雰囲気の中の見学(実際お祈りの時間には、観光客の立ち入りは禁止となりますが、それ以外の時間でもやはり静かにお祈りをしたり瞑想をしている方々を見かけます)となりますよ。でも写真を取る事は自由。とにかく圧倒されるのがその大きなドームとステンドグラスの美しさ。さらに、トルコならではの細かいタイルデザインが所々に施され、もう口をぱっくりあけて見回してしまいます。一番良い見方は、床に座り込んで天井を眺める事!たくさんのシャンデリアのようなライトが吊るされ、イズニックタイルと呼ばれる美しいパステル調のタイルが施されている内部、なんと数にして2万個以上利用されているのだとか。入場料はありませんが、みなさんの気持の寄付を募っているボックスがありました。400年近い年月を重ねた美しさを絶賛するため、そして保って行ってほしいため、筆者ももちろん寄付金をお渡ししてきました。
「アヤ・ソフィア大聖堂 (Ayasofya)」:
ビザンチン帝国時代にギリシャ正教の総本山としてできあがった厳かなる教会大聖堂。今では宗教とは関係なく、博物館として存在しています。なんと、最初にこの大聖堂が建設された年が360年!って、とてつもなく古ーい建物なんです。ただし、波瀾万丈の歴史の中で取り壊され、また建て直され、、、。現在の状態の建物になったのは537年、って、それでもかなり古い、古すぎる(日本だったらまだ古墳の時代ですよ)。最初はキリスト正教会の大聖堂として作られたはずの場所が、1400年半ばには、当時コンスタンチノープルを制覇していたオスマントルコ帝国支配下によって、キリスト教から一気に変更してイスラム教のモスクに大改装。それまで美しく施してあったクリスチャン文化の内装は全てペンキで塗り隠され、新しくムスリムの教え&文化を表す装飾がなされていったという訳。
というわけで、宗教的にも非常に珍しい歴史を歩んできたこの大聖堂、トルコが共和国として成立された暁にはこの大聖堂の”隠れた美しさ”をもとに戻そうという修復作業が行われるようになり「2つの大宗教の歴史を学べる博物館」として世界各国からの観光客の足が耐えません。イスタンブール歴史地区の中でも一番の人気を誇るこの博物館、見所と言えば修復作業によってはじめてその存在が確認されたエンジェルの絵(特に顔の部分)、アラビア文字(イスラム教関係)が大きく描かれている間にはっきりと見えるようになった「聖母子のモザイク」(キリスト教関係)が時代や宗教の違いを超えて共存している所、でしょうか。他にも2階展示室に列ぶモザイク画、特に“イエス・キリストと列んで描かれた女帝ゾエ夫妻の絵”などが有名。博物館ですので入場料を払いますが(筆者が訪問した時は20リラ)、特に服装のルールなどはありませんでした。
「ヒポドロム(Hipodrom)」:
|
|
コンスタンチノーブル皇帝時代、馬の競技場として使われた広場、今では公園のようになっていて、3本の記念碑塔(オベリスクと呼ばれる)の間を観光客が行ったり来たりしながらそれぞれを見比べたり、その歴史の古さに「へー、ほー」と感動したり。そのうちの1つ”蛇の柱”はいかにも見た目が蛇なので簡単にわかるかと思いますが、なんとあのギリシャのアポロン神殿から持って来たものらしく、以前は3つの頭をもったブロンズ製の蛇の彫刻があしらわれていたのだそう。また、高さ19メートルにもなる”テオドロスのオベリスク”は象形文字刻んであってなかなか興味深いもの。なんせ紀元前16世紀のものでして、まぁまたしても古い、そしてすごい迫力です。土台は大理石、当時の皇帝の名前が刻まれています。本当だったら、大きな博物館の中で警備員の目がギラギラしている場所で見るものなのかなぁ、と思いながら、この偉大な歴史を目の前にできる喜び!ほんっと、イスタンブールは奥が深い。
さてさてこの辺りを散歩していますと、様々な屋台列んでいる事に気がつきます。観光名所でもあり、また市民の憩いの場、あるいはデートコース(実際たくさんのかわいいカップルを見かけました)ですからね、ちょっと小腹が空いた時、喉が乾いた時、暑さをしのぎたい時(夏場はけっこう暑くなります)に嬉しい屋台がわんさか!のび?るのび?るパフォーマンスでお客を引き寄せるトルコ・アイスクリームの屋台や、ケバブやトウモロコシの屋台、有名なゴマ付きパンのスィミット屋さん、焼きぐりの屋台やフルーツを上手にスライスして売ってくれている屋台。練り飴の屋台やあったかいチャイティー(暑い時に熱いお茶を飲む!のがいいのだそう)など、とにかく試してみたい屋台が続出。ただし、違法で屋台業を営んでいる人も多いのか、「警察がきたぞー!」というかけ声(だと思います、トルコ語なんでよくわかりませんでしたが、シチュエーション的にそうだと察知しました)と共に、この屋台のおじさん達がダダダッーー!っと木陰に入っていってしまうのです!おいおい、私のアイスクリームはどうすんの?大丈夫、すぐに戻ってくるんですが、この“屋台のダダダッーー!”を見るのもなかなか面白く、「そうっかぁ、もともと競技場だった頃はこんなだったのかな」と想像せずにはいられませんでした。
▼ちょっと休憩しましょうね
歴史地区でのテクテク観光はまだ続きます。が、ゆっくりのんびりひと呼吸、休憩をとりましょうね。それにしても歩ける範囲内でとにかくこれでもか、これでもか、と歴史的遺産(中には世界遺産も)を見て回れるのは、このイスタンブールならではの素晴らしさ、かもしれません。疲れたらベンチでアイスクリームでもなめながら休憩すればいい、カフェに入っておいしいチャイティーやアップルティーを飲みながら、ガイドブックに目を通すのも良し。こちらの歴史地区近辺にはたくさんのカフェが並び、まぁ、観光客相手狙いだといえども、それなりにおいしい、そして”安全に楽しめる”レストランやカフェが立ち並びます。だいたい呼び込み係のおじさんが「いらっしゃーい、ここは眺めがいいよー、今ならおつまみサービスよー」などいろいろと言ってきます。が、そういった部分を適当に無視して、自分が入りたい場所に行けばいいのです。一歩中に入った小道沿いのレストランなどは少々お値段がお安くなりますが、なんだか雰囲気的に怖い(?と感じたら近寄らない:海外旅行では”直感”が大切です)と思ってしまう場所があるかもしれません。”ロカンタ”と呼ばれる大衆食堂的レストラン、”メイハーネ”という居酒屋のような店、日本の喫茶店を思わせるお菓子中心の”パスターネ”、あるいはカジュアルに屋台各種、どれを選ぶにせよ、みなさんの『コンフォートレベル』に正直に沿ってレストランやカフェを決めてください。
レストランなどに入ると、コミュニケーションが必要になりますね。さて”片言でもその国の言語で挨拶できるようにしておく”事はとっても大切。別にペラペラと喋れるようにならなくてもいいのです。でも「こんにちわ」「ありがとう」「お願いします」とだけでも言えるようにしておくと、それだけで旅の「価値」があがります。ちょっとぶっきらぼうに見える地元マーケットのおじさんも、レストランで嫌々そうにオーダーをとっていこうとするギャルソンも、少しでもこちらが”地元の言葉を喋ろうとする意欲”を出してみるとと、それだけで笑顔にかわり(あるいは”下手だなぁ、この人のトルコ語は!”と苦笑い???)となり、そこから楽しいコミュニケーションがはじまるというもの。ちなみにトルコ語は、ひっじょーーに難しい!発音ももちろん、書いてある字も、とにかく難しい。し・か・し、ちょっとだけがんばっていくつかの「基本の挨拶言葉」が言えるよう、表にしておきましょうね。
これだけは覚えておこう!簡単挨拶8選!
こんにちわ:merhaba:メルハバ
元気?:Nasilsin? :ナススン?
ありがとう:Tesekkur ederim:テシュキュル エデレン
お願いします:Lutfen:リュトフェン
いくらですか?:Ne Kadar : ネカダル?
これはなに?:Bu Ne? : ブネ?
わたしの名前は○○です:Benim adim ○○:ベニン アディム○○
さようなら:Hoscakal:ホシュチャッカル |
基本的に人懐っこくて優しい人の多いイスタンブール。ですので、このような片言トルコ語を聞いただけでとっても喜んでくれます。もちろん、かなりの確率で英語が通じるのも観光客には嬉しいですね。ところで、地元の方達ですが、男性はカジュアルな出で立ち、女性は全身黒で覆われている人から、頭だけスカーフで隠している人、あるいはまったく隠してない人、、、様々です。でも基本的に肌の露出は少なめですね。ただ、よ〜く見ると、女性の顔立ちの美しい事!目頭がキチッと書かれていて、長ーいまつげがきれいにカールされています。眉毛は濃いめなんですが、しっかりきっかりお手入れされているため、まるでギリシャ神話の女神あるいは古い絵画のモデルさんのよう。そして鼻がたかくってすーっとしてて、唇も美しくローズ色。そして良い匂いがするんですよ。ローズウォーターなのでしょうか。ちなみに、身体をアバヤで隠している女性達も、家の中で女性だけになると普通の恰好をされているようです。実は、イスタンブールの女性衣料品デパートにも足を運んでみたのですが、みなさまの”下着”は、西洋のビクトリアズ・シークレットにも負けない、セクシーなものをご着用のようですよ、ここだけの話。。。
「トプカプ宮殿(Topkapi Sarayi) 」:
さぁ、世界遺産のオンパレードを続けましょう!お次は”トプカプ宮殿”、とにかく観光客の足が途絶えない博物館です。それもそのはず、無敵のオスマントルコ帝国がこの地で、この宮殿で400年の間世界を制覇していたと言っても過言ではなく、その場所に自分の足で入り込めるのですから。代々のスルタン達が住み、そこに仕える者達や政治家が集まり、また女性達がハレム(この言葉、みなさんご存知でしょう?)で生活していた状態がそのまま見て感じる事のできるこのトプカプ宮殿、キョシュキュと呼ばれる離れの建物1つ1つが展示場になっていますので、ゆっくりじっくり見ていたら1日あっても足りないくらい。とりあえず混みにくい午前中に入場するのがグッド。午後になるとチケット売り場や展示場の入り口に、たくさんの行列ができていました。宮殿の入り口は、まるで’白雪姫’や’眠れる森の美女’を想像させるようなかわいいとんがり帽子の柱と門。そうか、イスタンブールは東洋でもあり西洋でもある、こういう所で少々ヨーロッパを感じさせられます。中に入るとこれまたイングリッシュ・ガーデンを思い浮かばせるような素敵な中庭。オスマントルコ帝国行政の中心地、無敵なスルタンの居住地、というイメージからか、もっともっと力強い、鋼鉄いっぱいの場所を想像していた筆者はなんだか良い意味で腰抜けしました。そして非常にロマンティックな眺め!金角湾やポスポラス海峡が一望できる丘の上にあるので絶好の写真スポットです。
中に入ってみると、所狭しと財宝が並べられ、ため息ざんまいで見物するはめになります(笑)。世界中の富を一気に集めた、と言えるこの財宝の数々、”漁師が拾った原石のダイヤを、ダイヤモンドだと知らずに3本のスプーンと物々交換した”という逸話のある『スプーン職人のダイヤモンド』、35センチの短剣にこれでもか、これでもか、とあしらわれた金やエメラルドが美しい『トプカプの短剣』など、ある意味’カネもってんぞ〜’丸出しのスルタン様のお宝各種。かと思えば、イスラム教の世界では絶対的な地位に定められている予言者ムハンマド氏関係の遺品もあるのです。ムハンマドの愛用したコーランは、あるいは”ムハンマドの髭”と呼ばれるものは、飲み薬のカプセルのような形の七宝製の小さな筒に入っていて、やはり地元の方やその他イスラム教信者の方達にはこの「偉大なムハンマドの髭」見たさに大行列、目の前でお祈りしている方もいました。さらに、「ムハンマド氏の足跡」「ムハンマド氏の歯」「ムハンマド氏のオーバーコート」なんてのもありまして、非常に興味深い展示物の各種。他にも、トプカプ宮殿内には昔の会議室、調理室、祈りの場、などなどそれぞれのキュシュキュを訪れる事ができます。トルコ独自の美しいタイルの内装、どんなに写真をとっても、その美しさはレンズを通しては表現しきれません。
しかし、この宮殿博物館の人気の理由は金銀財宝や聖遺品だけではないのです。そう、本物の「ハレム」に足を運べます!別料金を払わないといけないのですが、それでも見る価値は大あり!内部にはご夫人様の部屋、浴室、召使いの部屋、スルタンのお母様専用の部屋、など、それぞれ美しいタイルや大理石でデザインされた部屋を覗き込めるようになっています。夫以外の男性が存在する場には決して姿を表してはいけない、という教えに従ったこのハレムのシステム。お部屋からは小さな光が入り、またそこから男性達の様子が伺えるような小窓が作られていました。女性の権利が失われる!とお怒りの方もいらっしゃるかもしれませんが、筆者がこのハレムに足を運んだ時に感じたのは、「スルタン達は女性たちをとーっても大切に守りそして愛情を注いでいたんだろうなぁ」という事。豪華なお部屋、欲しいもの全てを手にする事のできる生活、そして、実はその”小さな覗き窓”から全てを理解していた賢く美しい女性達、、、が頭によぎりました。そうそう、ちなみにこのハレムには”宦官の部屋”、というのもありまして、こちらは去勢された使用人の男性達の部屋、だったそうです。余談ですが、この去勢された男性達は、それぞれ男性の名前ではなく「バラちゃん」「リリーちゃん」と、素敵なおネー様系の名前が与えられていたそうです。
「イエレバタン・サライ(Yerebatan Sarayi)」:
お次の世界遺産はちょっと暗ーい中での訪問、イエレバタン・サライと呼ばれる地下貯水池です。池といえども、まるで地下の宮殿(バシリカ・シスタンBasilica
Cisternとも呼ばれる)でして、美しい柱がならびそしてあの有名なメデゥーサ(髪の毛がへびの女神)がいる場所としても有名。その昔、トプカプ宮殿に住んでいたスルタンやその家族、政治家達に大切な水を提供していたのがこの貯水池なんです。入り口はまったくもって分かりにくく、ただ単に小さな建物なんですが、そこから階段を降りて行くとだーんだん暗くなって行き、涼しくなって行き、そして非常に不思議な雰囲気が広がっていきます。特に外の温度の高い夏などは、この貯水池に入るだけでもう自然のクーラー状態。お水の中にはたくさんのかわいいお魚が泳いでいて、そしてどこかしらか幻想的な音楽が流れて来ています。なんだか時を忘れてしまう瞬間。この雰囲気が気に入ったら、この貯水池に作られたカフェでゆっくりお茶をするのもいいですね。
やはり観光客の目玉は「メデゥーサ」さんでして、これがちょっと気持悪い、、、?いや、神秘的、なのです。頭だけのメデゥーサは2体ありまして、1つは逆さま、もう1つは横向き、でこちらをにらんでおります。ギリシャ神話ではこのメデューサは”悪女”として有名、彼女を見た人は石になってしまう、と。確かに筆者は石のように緊張してメデューサと目を合わせましたね。なぜ横向き?なぜ真っ逆さま?これにはいろいろな説があるようですが、このように強い魔力をもつ女神の力を柱を使って沈め、帝国支配とその繁栄のシンボルとしたのかも、という事でした(ガイドさん説)。
▼バザールに行ってみよう!
さて、イスタンブール観光のおもしろさを倍増させてくれるのがマーケット回り!旧市街からは2つのバザールに近く、そのうちスパイスバザールの方は徒歩で行ける距離。入り口は小さめの「Egyptian
Bazzar : Spice Market」、入ってみるともう大変!色とりどりのスパイスが山のように並び、その匂いと言ったらもう、今まで体験した事のない世界です。各お店からはやはり呼び込みのみなさんが元気にセールスしてまして「ローズティーが安いよ!ちょっと飲んでおいきよ!」「お料理は好きかい?良い胡椒が入ってるよ!今ならペッパーミルも付けちゃうよ!」と威勢がいい。貿易港でもあるエミニョニュ地区にあるこのバザール、昔からたくさんの貿易商人がスパイスを売り歩いていたそうです。スパイス以外にも、ドライフルーツやお茶、トルコ土産品など、所狭しと列んでいるので見ていてあきません。ちょっと外に出ると、ガーデニング用なのか植物の列んだバザールや、ペットフードのバザール、怪しいお薬などの列んでいるバザール、などが隣接。そうそう、地元の人も大好きな「サバサンド」と屋台もよくみかけるのがこの港地区です。
グランド・バザール(Kapali Carsi)はイスタンブール観光名所として必ずリストアップされている場所。とにかく広いマーケット。貴金属から食べ物、お土産類、陶磁器、そうそう、あの”ペルシャ絨毯”もこちらでどうぞ。ただし、、、お店の人は口が上手い、交渉も上手い(スパイスバザール以上!)。少しでも興味のある態度をすると「まぁ、まぁ、ゆっくり見てってよ」と店の奥に連れて行かれちゃいますよ。日本語でも巧みに話しかけてくるマーケットの商人達、ここでは「値切る」というのは当たり前なのだそうです。ですから、コミュケーションを楽しむ意味でもこのマーケットにぜひ足を運びたいもの。ただし、かなりの人ごみの中、なかなか分かりにくいマーケット内の構造、ぜひスリや悪徳商法の人達には気をつけくださいね。このマーケットまでは歴史地区から歩いて20分ほどの場所にあり、テクテク向かうのもよし、あるいは市内を走るトラムにのってBeyazit駅で降りるという手もあります。ジェトンと呼ばれるコイン(見た感じはポーカーチップ)をゲットすれば簡単に乗り降りできる便利な乗り物です。
▼ちょっとだけ遠出できるなら
「ドルマバフチェ宮殿(Dolmabahce Sarayi)
」:
新市街の方に足を運ぶ時間があったらぜひ訪れたいのがこのドルマバフチェ宮殿。埋め立てられた場所にできたこの宮殿は、旧市街にあるトプカプ宮殿とはひと味違い、ヨーロッパ調のバロック様式をたっぷり取り入れてあり、それでいてオスマン文化の良い部分も残してある、という東西文化が巧みに創りだす美しさを実感する宮殿。なんと部屋数285、ハマムと呼ばれる浴場もあり、もちろん、女性専用のハレムも。オスマン帝国最後の皇帝がなくなった後もこの宮殿は迎賓館として使われ、初代トルコの大統領はこの宮殿で息を引き取ったのでした。クリスタルの大きなシャンデリア、儀式の間、皇帝の門、など見所はたくさん。中は自由に見る事はできず、その場でガイドさんのリードで回るシステムです。
「タクシム広場 (Taksim Meydani) 」:
宮殿から地下ケーブルカーに乗って、タクシムという地区へ向かいます。まず目に入るのが「共和国記念碑」と呼ばれる彫刻。トルコ革命の勝利を記念して作られた碑のようですが、このタクシム地区の人気の理由はこの記念碑ではなく(ごめんなさい)イスティクラール通りという繁華街!日本でいう銀座、いや渋谷センター街、でしょうか?若くてお洒落な若者達がぶらぶらしておりまして、たくさんのカフェやレストラン、お店が連なります。スタバだって、バーガーキングだってあるんです、、、お値段高いですけど。この辺りはナイトライフの場としても有名。イスタンブールでいっちばんホットなバーやクラブが立ち並び、金曜&土曜の夜はもう大変、ニューヨークのタイムズスクエア並みです。あれ?ここは保守的なムスリムの国?というのをすっかり忘れてしまいそうな出で立ちのみなさんが集まり、週末の夜は大変な盛り上がりをみせます。
レトロなトラムの走るメイン通りを一歩曲がると、雰囲気はガラッと変わり、昔ながらの街並に入り込みます。チャイハネと言われるお茶屋さんではおじさん達がバックギャモンのようなゲームをしながらタバコを吹かし、その中でもぜひ見学&味わっていってもらいたいのが、Balik
Pazariと呼ばれる一角、フィッシュマーケットです。もともとロシア系移民の方が多くシーフードを売っていたようですが、ここでは新鮮なお魚料理レストランはもちろん、安価でお土産もそろいます。市場的な雰囲気がとってもノスタルジックな場所、ぜひ味わってもらいたいのが”ミディエ・ドルマス”というムール貝のスナック!新鮮なムール貝の上にトマト味のピラフが乗っていて、たっぷりとレモンをかけていただきます。これがおいしいのなんのって!いくつでも食べられちゃいますよ。他にもカタクチイワシの揚げ物、葡萄の葉っぱで巻いてあるピラフ、チーズや挽肉の挟んであるクレープ、など、美味しい屋台系食べ物についつい手がのびてしまいます。
この通りでよく見かけた(そして地元の人が良く食べている)のがハンバーガーに似た食べ物。実際、ハンバーガーのようなんですが、これがベチョッと濡れた感じ。もちろん筆者もトライしてみましたが、ようはトマトソース味のハンバーガーで若干スパイシーなんですが、お肉部分はケバブにも使われている挽肉のようでした。その名も「タクシム・バーガー」安くて上手くてはやい!んですが、この濡れたバーガーの原因はソースなどではなく、できあがったハンバーガーを暖めておく機械があたたかい蒸気を利用しているため、のようです。ま、地元の皆さんはその状態で慣れ親しんでいるようですので、何にも文句はありません。タクシムに行くチャンスがありましたら、ぜひぜひこの「濡れたバーガー」をお召し上がりください!
「船でアジア側まで足を伸ばす」
エミニョニュ桟橋からは頻繁に船が出ていて、一般の人や観光客も手軽に乗船する事ができます。イスタンブールの観光名所はほぼその”ヨーロッパ側”に属していますので、ここは1つ、アジア側に船で向かってみるのもおつなもの。バプールと呼ばれる連絡船に乗れば、20分ほどでアジア側の街に到着できますし、船から眺めるアヤソフィア、トプカプ宮殿、などとにかく美しい景色が楽しめます。あたたかいチャイを片手にデッキからのーんびりこの西と東が交わる街、イスタンブールを味わってみましょう。カドキョイという街に到着するとアジア側、とはいえ私にしてみればあんまり雰囲気は変わらないかな、という感じ。でも、観光地とはまた違った「庶民的」な雰囲気、とはいえ、大型クルーズ船がやってくるためかお洒落なヨーロピアン系の方も多く、お店もそういった「お金持ち観光客」を狙ってるな、という物がショーウィンドーにならんでいたり。イスタンブールも、所変われば、なのです。
▼おいしいものがいっぱい!
それにしても、おいしいものの宝庫とも言えるイスタンブール!はっきり言ってこの土地ほど「何を食べてもおいしい」場所も珍らしかったです。とにかく感動したのがやはり”ケバブ”の種類。羊肉、牛肉、チキン、挽肉、などなど、それぞれがきちんと味付けされていて、オーダーが入る毎に焼かれるしくみ。串刺しになっているものから、くるくると回っているケバブマシーンで焼かれているものもあります。オジャックバシと呼ばれるのは炉端焼きの方法。どちらもお肉を頼むと一緒にトマトやインゲンなどのお野菜が一緒に出て来ます。またピラプと呼ばれるご飯ものや薄く焼いたエキメッキ(パンの種類)が添えられて、もうこれだけで十分なメニューです。
他にもスープ類も豊富なのが嬉しいトルコ料理。ひよこ豆を使ったまろやかなスープや、ヨーグルト風味のちょっと酸っぱめなもの、トマト味でお野菜たっぷり、というのもありました。どれも日本人の口に合う味!そしてエキメッキ・パンを浸して食べると最高ですよ。え?トルコでピザ?となるかもしれませんが、以外と人気なのがこのトルキッシュ・ピザの各種。“ピデ”と呼ばれるこのピザは日本やアメリカのそれとは違い、見た目も丸くないし、また生地もサクサクっと軽い感じ。トッピングは卵とチーズ、挽肉とトマト、羊肉とお野菜、など、シンプルな物が多かったです。
|
|
食事のお伴に飲んでみたい、味わってみたいのが地元ビール。その名もエフェス・ピルゼン。非常にさわやかな味わいで、ケバブの濃厚なスパイスと良くあいます。イスラム教の街ではありますが、観光地だからか、アルコール類も豊富に取り揃えてあるのが嬉しい(方も多いと思います)。地酒のラク、は透明なお酒なのに、水と混ぜると白く濁る「ライオンのミルク」とも呼ばれるアルコール。微量の甘みもあって、女性にも口当たりの良い飲み物です。お酒はちょっと、という方、イスタンブールでは”フルーツジュース”のレベルがとても高い!というか、目の前でフルーツを絞りだしてくれますから、それはそれは新鮮なんです。100パーセントのイチジクジュースの味、一生忘れられません。やはり一番飲まれている物は「チャイ」でして、どこにいってもこのチャイがサービスされ、そして確かにおいしいんですね。地元ではお砂糖を入れて甘くして飲む方が多いようです。その他、非常に濃いめのトルココーヒー、飲むヨーグルト、なども人気の飲み物のようです。
▼食後を楽しむ
さぁ、お腹もいっぱいになったら、トルコならではのエンターテイメントを楽しみましょう。ベリーダンス?もいいですが、ここはあえてもう少し文化の勉強を含めて”セマーダンス”を見に行く事に。これはイスラム教の一派が行うダンスの1つで、神様との一体化を求めてひたすらクルクルと旋回し続ける、という物。見ていて目が回らないか心配になるのは最初の何十秒か、後はこの旋回している信徒の表情や動きに惹かれ、魅了され、とても神秘的な雰囲気を感じ取る事ができるのです。演奏者(縦笛やギター、ドラムなど)が美しくまたちょっと物悲しいメロディーをはじめると、白いスカートのようなドレスの上に黒いカバーを羽織った「セマーゼン」というダンサーが出て来ます。そして、曲に会わせてお辞儀をした後に、この黒い羽織を脱ぎ捨てます。これには深い意味があるそうで、この黒が”死”だとか”墓”を意味するのだそう。ですので、このマントを脱ぎ去り、白い着物になってから、クルクルと旋回をはじめ(はじめはゆっくり、だんだん早くなる)るのでした。手が微妙に動きだし、神の恩恵を受けるかのように空を仰ぎます。セマーゼンの目はつむったまま、ちょっとした微笑で首をちょこんと曲げています。彼らが軸となり、クルクルと回る事によって、神様からの愛情を世界中へ広げていくような意味なのでしょうか。
このショーを見ながら、水タバコにもチャレンジしてみました。これがなかなかの大掛かりでして、「ナルギレ・ルトフェン!(水タバコ、プリーズ)」で通じるのですが、それからフレーバーは何にする、炭はどれくらいにする、といろいろと決めごとがあるのです。さーっぱり分からない筆者は「おまかせしまーす!」という事で、選んでもらったフレーバーは”青リンゴ”ちゃん。何ともジューシーで爽やかですね。さて、普段タバコを吸わないもので、どのように格好よくたしなんでよいか分からないまま、とにかく煙を吸って吐く、また吸って吐く、を繰り返す、、、と、なーんだか頭が痛くなって来ましたので、10分間でアウト。長い時では1時間ほど続く事もあるそうで、、、日本円で500円くらいするんですよね、私はもったいない事をしましたが、でも、良い経験となりました!
タバコよりもやっぱり甘いもの、という訳で、お口直しに食べたのがトルコのデザートの各種。アメリカでも良く手に入るようになったバカロバ、というのはやはりこちらでも定番。何枚も重ねてある薄いパイ生地が、あまーいあまーいシロップにつけてありますよ。中にはピスタチオの粉が入っていたり、ウォールナッツが入っていたり、いくつでも食べられちゃいます。ドライフルーツの盛り合わせ、というのも良くおやつに出されるようで、ご贈答としても使われるアイテムなのか、お店ではいろいろな大きさの箱の中にたくさんの種類のドライフルーツがきれいに並べられて、全体をリボンでかわいくデコレーション、というのを目にしました。甘い揚げ麺のようなテル・カダイフ、ミニミニドーナッツのシロップ漬け、牛乳をふんだんに使ったふわふわスポンジケーキ(に、チョコレートがかかっていたりする)、牛乳プリン、などなど、、、いやぁ、トルコの人達って甘いものがお好きなのよねぇ、きっと。
駆け足で巡ったイスタンブール。壮大な歴史を感じると同時にアジアとヨーロッパの架け橋として成り立って来たこの土地の強さと美しさに心を打たれました。「飛んでイスタンブール」の歌詞のような神秘さがきっとあなたを虜にしますよ。
|