■アジアン・フレーバーの将来性、そしてタパスについて
住:そういう意味では、最近アジアン・フレーバーってキーワードになっていますよね。以前はこのアジアン・フレーバーという奴に首を傾げてましたが、最近の若いシェフは上手になってきたと思います。この間もTrio
に行ってきましたが、いろいろな国や土地の素材を見事に融合させていたのには感激しました。彼も若いシェフでした。
鶴:その通りだと思いますよ。やっぱり若い人達がいろいろな味を受け入れるようになったんでしょうね。そしてチャレンジ精神もあると思いますし。アジアン・フレーバーにも色々ありますから、美味しいと感じられるものを見つけるようになったんでしょう。
住:中でも日本料理の素材の繊細さは色んな料理人の幅を広げていると思います。
鶴:そうそう。それからベトナム・フレンチなんていうのも有名になってきていますね。
張:ありましたね。Le
Colonialですよね。あと、メキシカンでTopolobampoってありますよね。あそこなんかはメキシカンのイメージを変えましたよね。その隣にFrontera
Grillってのがあるんですが。そこでもカフェみたいな感じで少し安く食べられるんです。行きたいと思っているんですよ。
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洗練されたキュイジーヌ体験を味わえるエバンストンのTRIO |
ネイパービルのMESON
SABIKAでは豪邸でタパス・ブランチが楽しめます |
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有名店TOPOLOBAMPOの味を安く楽しめるFRONTERA
GRILLの店内 |
いつ行っても活気溢れたタパスのお店IBERICO店内 |
ムード満点、エバンストンにあるとってもお洒落なタパス料理屋さんBARCELONA |
鶴:でも私はメキシコ料理だったらスペイン料理の方がいいかな。
張:シカゴにはスペイン料理のお店が少ないと思いませんか?
鶴:ニューヨークとかに比べると確かに少ないかも知れませんけど、日本よりは多いような気がしますよ。私が本当にホットタパスが美味しいと思ったのはIberico
ですね。ちょっとガヤガヤとうるさいところは個人的には嫌いなんだけど。それから有名なところはCafe
Ba-Ba-Reeba!それからEmilio'sのクラーク店も良かったですね。タパスというものは日本人の口に合うと思います。小皿料理だから量も多くないですしね。騒々しいのが気にならない人だったらIberico
は本当に美味しいですよ。私のお気に入りはタコとじゃがいものソテーですね。
住:私はあそこでは真っ先にパエリアをオーダーしておきます。時間はかかりますが、最高です。あとはエバンストンのBarcelonaですかね?それからネーパービルにあるMeson
Sabikaという、豪邸を改造してレストランにしたタパスレストラン。
鶴:それは雰囲気が良さそうですね。
住:そうですね。何よりも週末にタパスブランチをやっているんですが、これも美味い。
張:ネーパビルは美味しいお店が結構集中してありますよね。
アジアン・フレーバーの将来性、そしてタパスについて |
Trio Restaurant |
1625 Hinman Ave |
Evanston |
IL 60201 |
(847) 733-8746 |
Le Colonial |
937 N. Rush |
Chicago |
IL |
(312) 255-0088 |
Topolobampo |
445 N. Clark |
Chicago |
IL |
(312) 661-1434 |
Frontera Grill |
445 N. Clark |
Chicago |
IL |
(312) 661-1434 |
Cafe Iberico |
739 N. LaSalle |
Chicago |
IL |
(312) 573-1510 |
Cafe Ba-Ba-Reeba! |
2024 N. Halsted |
Chicago |
IL |
(773) 935-5000 |
Emilio's Tapas Chicago Rstrnt |
444 W. Fullerton |
Chicago |
IL 60614 |
(773) 327-5100 |
Barcelona Tapas |
1615 Chicago Ave |
Evanston |
IL 60201 |
(847) 866-9900 |
Meson Sabika Tapas Bar |
1025 Aurora Ave |
Naperville |
IL 60540 |
(630) 983-3000 |
■シカゴの食文化
住:よくアメリカ人には味が分からないと言いますが、確かにそういう人もまだまだいるかもしれないですけど、最近は味の肥えている人も増えましたよね。
赤:増えた増えた。私の行きつけの日本食レストランでいつも良く見かけるアメリカ人の方がいるんですが、日本食の味を知ってしまうとそこから抜け出せないって言っていました。
鶴:舌が肥えているというのはある意味チャレンジ精神があるということだと思うんです。日本人や中国人にしても欧米人でも舌が肥えていると言われている民族はチャレンジ精神がある。本物志向だし。その点アメリカ人は自分の口に合うものを出せって感じの人が多かった。それが少しづつ変わってきたのかも知れませんね。
住:シカゴでも『寿司ブーム』が続いていますよね。最初は直ぐ下火になるかと思いましたが、一向に納まる様子がない。確実にアメリカ人の食生活の中に定着した感があると思います。これはこれで素晴らしい事だと思うんですが、怖いのはそのブームに乗って安価で粗悪なものも出回り始めた事です。そっちの方が定着しちゃうと中華料理のように『寿司は安いもの』となってしまってレストランが高級素材や旬の素材を使えなくなってしまう。これは困る。だから横柄なようですが、アメリカ人に美味しい日本食を教えてあげるというのも私達の仕事なんじゃないかと思っています。事ある毎にミツワやテンスケの事を新聞記者なんかには触れ回ってます(笑)。
赤:そうですね。要は食べた事が無かったり、知らなかったりする事もあるんでしょう。誰に教わったのか、“今日エンガワありますか?”なんて聞いているアメリカ人もいますしね(笑)。食べ物を通した文化交流。
鶴:食べ物の世界から考えるとシカゴは面白い街だと思いますよ。これだけバラエティーに富んだ食事ができるわけですからね。イタリー、フランスのみならず、ギリシャ料理なんかもあるしね。
住:海がないのだけが残念ですけどね。
張:本当、海があったら凄い街になってたかもしれないね。レストランも今以上に増えて。でもあるもので出来ない事はないですからね。それに最近ではあちこちから取り寄せられますし。トップレストランはその辺りも頑張っていますよ。例えばオレゴンのマツタケを使ったりしてね。
住:なるほど、無いモノねだりをするより、手に入るものを使って探求しようという事ですね。皆さん今日は本当に有難うございました。今日のこの特集を読んだ方々が少しでもシカゴの事を好きになってくれたらいいですね。
一同:同感です。
■総評
午後7時半に始めたグルメ会は、気付くとなんと11時。実は今回紹介できたのは前後編両方合わせても、全体の内容の半分以下程度。3時間半の間、話はずっと食べ物の事ばかりでした(笑)。トピックはウイスコンシンでの鮭釣りや、それを家で燻製にする話、そして料理の種類もアイルランド、トルコ、果てはレバノン料理にまで及びました。今回の座談会を通して感じたのは皆さん非常に探究心が旺盛だという事です。アメリカ料理というとどうしてもハンバーガーやステーキだけといった凝り固まったイメージがありますが、その殻を破って色んなものを試し、そして一度不味かったからといって諦めずに違うものを試してみるといいのかも知れません。参加者の方々も仰っておられましたがシカゴは世界各国の料理を楽しめる素晴らしい街です。皆さんも食を通じてシカゴを再発見してみてください。
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