今回ご紹介する「To Soc Chon」は、韓国人のご主人と日本人の奥様による、シカゴ周辺では珍しいデジクッパスープを専門にする韓国レストランです。デジクッパは豚骨や牛骨を何十時間も煮込んで作る韓国南部の郷土料理で、コラーゲンをたっぷりと含んでいるので健康や美容に良いとされています。そんな本場の味と効能を求めて地元からはもちろん、地方からもお客さんがやってくるそうです。木目調を基調にした店内は昔懐かしい韓国の食堂を思わせる素朴な印象で、気兼ねなくゆったりと食事が出来る雰囲気。席につくとすぐに温かいコーン茶と小皿料理が出てきました。

「他店ではあまり取り扱っていないような通な韓国メニューを取り揃えています！」とオーナーさん自慢のメニューから、まずは前菜にModeum Soon Daeをお願いしました。これはスンデと呼ばれる韓国ソーセージとモツの千切り、そしてポッサムと呼ばれる茹で豚肉を白湯スープで頂く蒸し料理です。スンデは豚の腸に豚血やもち米、ニンジン、ネギなどの野菜、それにチャプチェに使われる春雨のような麺を詰めたソーセージのことで、こちらはオーナーさんの手作りなのだそうです。特別なスチーム鍋に材料と白湯スープを入れて蒸らすので、スンデやモツ、それに豚肉の旨みがより凝縮されて、よりジューシーに頂けます。豚血入りのスンデは特製スープと合わせることで独特の臭みが消されるだけでなく、プリッとした食感が最高。綺麗に茹で上がった豚肉はとても柔らかく、お好みで塩や赤味噌、セウジョ（小エビの塩辛タレ）に付ければ辛さやコクがプラスされ、味、食感共にクセになる美味しさです。
　
メインには同店のシグネチャーメニューであるDweji Gukpapをオーダーしました。上述したようにデジクッパは豚骨や牛骨をじっくりと煮込んで作るので、ブロスにはお肉のコラーゲンと旨みが染みわたっており、トロッとした円やかな味わいが魅力です。スープに入っている豚肉も口に入れると溶けるような柔らかさで、セウジョ（小エビの塩辛）やニラ、白菜や大根のキムチを入れて食べるのが本場流。食べているうちに体の芯からジワジワと温まってくるので、いかにも体に良さそうです。その他のスープメニューもデジクッパと同じブロスをベースに作られているので、味に深みがあるのも特徴です。もう一つのお勧めメニューであるGamja Tang（ガムジャタン）は、豚の首肉と大きく切ったジャガイモを一緒に煮込んだもので、チリやコチュジャンなどの程よい辛さがさっぱりとした後味もよく食べる手がとまりません。豆腐とキムチの入ったチゲ鍋はサラッとしたシンプルな味わいで、ご飯をスープに浸しながら食べます。オーナーのひろこさんが特に日本のお客さんにお勧めしたいというHaejand Guk（ヘジャングク）は、柔らかい牛首の骨肉とモヤシ、大根の葉をじっくりと煮込んだスープで、こちらは二日酔いにも効くそうです。トッピングのすり黒ゴマを混ぜればコクがプラスされ、スパイシーだけど円やかなハーモニーが味わえます。こちらは日替わりのメニューになるので毎日あるとは限りませんが、もしあれば是非トライしてみてくださいとのことでした。

　料理とともに運ばれてくるバンチャン（韓国のお惣菜）も、どれも素朴な優しい味わいで、食べ易い辛さの香りよいキムチや酸味のある醤油系のピクルスも日本人好みの味に仕上がっていて、ご飯がどんどんすすみます。「To Soc Chon」は韓国の煮込み料理やスープといった鍋メニューを専門にしているお店なので、一般的な韓国料理店にある韓国BBQやビビンバなどの定番メニューは置いてないのですが、こだわりのコリアンスープを心ゆくまで楽しめます。胃と心にしみる優しい味わいに、遠方からも足繁く通う常連さんが多いというのも納得のお店です。

(04/13/2019)

温かいコーン茶	料理とともに運ばれてくるバンチャン（小皿料理）はどれも優しい味わいで食べやすい	スンデ（韓国ソーセージ）とモツの千切り、ポッサム（茹で豚肉）を白湯スープで蒸したModeum Soon Dae
シグネチャーメニューであるDweji Gukpapはトロッとした円やかな味わいが魅力	豚の首肉と大きく切ったジャガイモを一緒に煮込んだGamja Tang	豆腐とキムチの入ったチゲ鍋はサラッとしたシンプルな味わい
オーナーのひろこさんがお勧めする日替わりメニューのHaejand Gukは二日酔いにも効くそうです	木目調を基調にした店内は、素朴で昔懐かしい韓国の食堂を思わせる雰囲気。気兼ねなくゆったりと食事が出来ます