今回ご紹介する「Shan Restaurant & Grocers」は、タイやベトナムなどのアジア系のレストランがひしめくUptownにある、唯一のインド＆パキスタン料理のお店です。広々とした店内は飾らない「地元の食堂」的な内装で、駐車場は食事に来たタクシー・ドライバーのタクシーで一杯になってしまうような大衆レストラン。奥は食料品店にもなっていて、ナンやエチオピアのパン「インジェラ」、米、容器や袋詰めにされた各種の香辛料や、「煮込み料理の素」などのスパイスが、棚にぎっしりと並んでいます。数は少ないですが肉や野菜などの生鮮食品もあり、ガラスケースの中にはパンやパイ、冷凍庫には見慣れない文字で書かれた輸入食品が色々と置かれています。

ランチに訪れたこの日は、ポテトのたっぷり詰まった大ぶりのSamosaと、ちょっとスパイシーなひき肉入りのBeef Rollを前菜に頼みました。どちらも熱々の揚げたてで、割ると湯気と共にジャガイモの甘い香りと爽やかなスパイスの香りが立ち昇ります。お好みで、ほんのり甘いラズベリー・ソースや、パブリカやコリアンダーなどのスパイスが入ったピリ辛風のヨーグルト・ソースをつけるとより美味しくいただけるのですが、このソース類は、冷たいサラダにもぴったりでした。ドリンクに頼んだ甘さ控えめのMango Lassiは、作りたてのフレッシュさがあり、どんなスパイスを使った料理にも合いそうです。

メインには、Beef Nehariと呼ばれるパキスタン・カレーと日本ではバターチキン・カレーとして知られるChicken Makhani、そしてインドの朝食やスナックに欠かせないインドの揚げパン、「プーリー」をオーダーしました。日本のカレーのようにも見える「ビーフ・ニハーリ」は、トロトロに煮込んだ牛筋肉がたっぷり入った逸品。筋肉はスプーンで触っただけで崩れてしまうほど柔らかく、ほんのりトロミのあるソースは辛みのない甘口タイプなので、ご飯にもあいそうです。滑らかな食感のソースは、濃厚な見た目とは違うやさしい味わいで、パラリとのせた刻み生姜がアクセントにきいています。チキンがゴロゴロと入った色鮮やかな「チキン・マッカーニ」は、香辛料の風味がよく、深みのある味わいで食べ応えのあるカレー。辛さはそれほど無いものの、独特のスパイスのおかげで、食べているうちにじんわりと体が熱くなってくるのが分かります。大きく膨らんだプーリーというパンは、内側がモチモチでナンよりもさらに弾力があり、噛むとジワーッとパンの甘みが広がります。本来は朝食のセット・メニューに出されるパンだそうで、あちこちのテーブルでみかけました。

デザートにはウェイターさんの勧めるRasmalieというのを頼んでみました。これはスポンジ状のチーズを甘いミルク・ソースで煮たもので、ケーキを湿らせたような不思議なチーズの食感が特徴。ほのかなチーズの風味と優しいミルクの味わいが、香辛料のたっぷり効いた煮込み料理の後にはぴったりでした。

今回はお肉を使った煮込み料理を中心に紹介しましたが、オクラやカリフラワー、ズッキーニ、インゲンを使った野菜料理や豆を使ったベジタリアン向けのお料理も充実しています。また料理の付け合せには、パラサ（イースト種を使わないパン）やチャパティ、ナンなどのパンの他に、プレーン、スパイシーな味付ライスなどのご飯メニューも様々。肉料理にはラムやマトン、それにヤギの脳味噌の煮込みなど、なかなかお目にかかれないような珍しい料理もありました。なおレストランは毎日オープンしていて、デリバリーもしています。オンラインでテイクアウトのオーダーも出来るようですが、朝食メニューなどはサイトにはのっていないようなので、気になる人は直接たずねてみてください。

(08/26/2013)

揚げたてのSamosaと、ちょっとスパイシーなBeef Roll。	中を割ると湯気とともにジャガイモの甘さとスパイスの香りが漂います。	前菜についているヨーグルトソースは冷たいサラダにかけても◎。
甘さ控えめのMango Lassiは、フレッシュな作りたての味わい。	トロトロに煮込んだ牛筋肉がはいった、パキスタンカレーのBeef Nehari。	Chicken Makhaniは独特のスパイスが効いた深みのあるカレー。
大きく膨らんだ揚げパン、プーリーは、噛むとジワーッとパンの甘みが広がります。	スポンジ状のチーズを甘いミルク・ソースで煮たRasmalieは不思議な食感が病みつきになりそう。	気取らない「地元の食堂」的な内装の店内。
奥の食料品店には中東系やアフリカ系のスパイスやパン、米などの食材が棚にずらり。
いろんな文字で書かれた輸入食材のほか、肉や野菜などの生鮮食品も少しおいています。