シカゴ市内に話題のお店を次々と出している”Boka Restaurant Group”が経営する、創作ジャパニーズ・レストラン「Momotaro」に行ってきました。このお店のエグゼクティブ・シェフであり、パートナーでもあるMark Hellyar氏は、日本で学んだ料理の経験を生かして、日本の食文化とクリエイティブな独自のスタイルを反映したコンテンポラリーな和食を提供しています。猛スピードで開発の進むウェストループにあるフルトンマーケットのそばにあるお店はレンガ造りの質素な外観ですが、中は天井の高い吹き抜けになっていて、２７０名は収容できるという広々とした贅沢な空間が広がっています。入口を抜けた右側にあるバーカウンターには、株式取引場をイメージして作られたボードにアルコール・メニューが掲げられていて、品名の横にはドルと日本円の両方の値段表記がされてあるのもユニークです。店内の中心には寿司カウンターがあり、その奥には焼き鶏や串焼きを調理するグリルもあって、ガラス越しにシェフ達が調理をする様子を見ることができます。

まずは「Momotaro」のオリジナル・カクテルのMonk's JourneyとAlone in Kyotoをオーダーしました。ウォッカベースのMonk's Journeyは、グリーンティーにライムをミックスした爽やかなドリンクで、甘さ控えめのすっきりとした味わい。ジンと濁り酒をベースにレモンとライムがアクセントに効いたAlone in Kyotoも口当たりがとてもよく飲みやすい一杯でした。ワインメニューもかなり種類が豊富なので注文に迷っていると、サーバーさんが２種類のワインを試飲させてくれました。

お料理のメニューは「冷たい料理」と「温かい料理」、「串焼き」、「炭焼き」、「米・麺」、「寿司」、それに「丼物」に分かれています。冷たい料理から頼んだUni Wrapped in Wagyuは、ウニの新鮮さに加えて牛肉の霜降り具合も素晴らしく、口の中で溶けあう極上の贅沢さを感じます。串焼きのメニューから頼んだWagyuは、スカート・ステーキを巻いたものにしし唐を組み合わせていて、醤油ベースのタレがちょうどよい甘辛さ。お肉も漬けダレのおかげでとても柔らかくジューシーでした。半熟の目玉焼きがのったTsukuneもなかなか美味しいのですが、目玉焼きは白身の固い食感と味が口に残るので、トロっとした黄身だけをつけて食べるのがお勧めです。寿司メニューからはChef's Season Sushiとネギトロ巻をオーダーしました。日本から直送しているものもあるという新鮮なネタを使ったお寿司は、日本の伝統を守りつつもシェフのHark Hallyar氏のツイストを効かせた組み合わせが斬新で、目も舌も思わずうっとり。脂ののった鮭や炙ったトロなど素材の味を最大限にいかしつつも、それぞれの食材がかち合わないように計算されたバランスの良さを一品ごとに堪能しました。また、シャリの酢加減やサイズ、それに硬さ具合も申し分なく、日本人の口にもしっとりと合う仕上がりです。最後に出てきたScallop Onigiriは、アツアツの鉄板におこげのついたご飯と貝柱、それにお好み焼きのトッピングを上にのせたもので、親しみやすい味とユニークなコンビネーションがアメリカ人にも人気があるそうです。

今回はお腹が一杯でデザートは注文しませんでしたが、カラフルなアラザンの付いた太めのポッキーがお店のサービスで出されました。食事を最後まで楽しくさせてくれる、こうした気配りとサプライズにはとても感心させられました。

ダイニングの天井は高くて声が響きやすいので静かな商談には向かないかもしれませんが、20人〜30人の入るプライベート・パーティー用の部屋もありますし、ケータリングにも対応しています。お料理の質もさることながら、サービスのクオリティーの高さも素晴らしく、丁寧で無駄のないプロフェッショナルな対応やチームワークの良さも印象的でした。ちなみにこのお店の地下には、東京の横丁をイメージしたという同系列のお店「Izakaya」もあり、こちらはレトロな看板や短冊風に下げたメニューなど昔懐かしいインテリアが特徴です。とても面白い雰囲気のお店なので食後の一杯に寄ってみてもいいかもしれません。

(06/19/2017)

ウォッカをベースにグリーンティーとライムをミックスした爽やかなMonk's Journey。	濁り酒とジンがベースのAlone in Kyotoはレモンとライムがアクセントに効いています。	新鮮なウニと霜降り牛の贅沢なコラボが楽しめるUni Wrapped in Wagyu。
串焼きのWagyuは醤油ベースのタレがちょうどよく、お肉も柔らかでジューシー。	串焼きのTsukuneはトロっとした黄身だけをつけて食べるのがお勧め。	Hark Hallyar氏のツイストを効かせた組み合わせの斬新なChef's Season Sushi。
オーソドックスなネギトロ巻きもあります。	Scallop Onigiriはお好み焼きのような親しみやすい味と面白いコンビネーションがアメリカ人にも人気。	株式取引場をイメージして作られたユニークなボード状のアルコール・メニュー。