(掲載日：07/11/2023)

　シカゴ周辺で珍しいエチオピアン料理が楽しめるお店「Ethiopian Diamond」をご紹介します。シカゴ市内のBroadway Streetにはエチオピアン・レストランがいくつか立ち並んでいるのですが、その中でも取材班のお気に入りのお店がこの「Ethiopian Diamond」です。同店のオーナーシェフは笑顔が素敵なAlmaz Yigizawさん。創業26年目という同店の人気の秘密は、Yigizaw氏の家族代々から受け継がれている本格的なレシピにあります。エチオピアン料理に欠かせないスパイスも、エチオピアに住むYigizaw氏の家族から直接取り寄せており、13種類のハーブをブレンドしたオーガニック製品を使用するほどのこだわりようです。天井が高く広々とした店内にはそんな独特のスパイスの香りが立ちこめており、アースカラーをベースにアフリカンアートが飾られていて、異国情緒あふれる雰囲気が漂っています。

　エチオピア料理の特徴として、全てのお料理が“インジェラ”という大きくて薄いスポンジ状のパンにのせられていることが挙げられます。これを数人で囲み、インジェラをちぎってお料理と一緒に手で食べるのが一般的です。インジェラはイネ科の穀物「テフ」を数日かけて発酵させ、それを鉄板で焼いたものでエチオピア料理の主食です。サワーブレッドのような酸味があり、豊かなスパイスを使ったエチオピアン料理に良く合います。ちなみにこの「テフ」は鉄分が小麦の2〜3倍、良質なたんぱく質や食物繊維が多く、カルシウムが小麦の20倍と栄養価が非常に高い食材なので、近年ではスーパーフードとしても注目されています。
　
　まずはバラエティーの豊富なドリンクメニューから、エチオピアン料理のHabeshaとGolden Beer、そしてTej（テジ）と呼ばれるHoney Wineをたのみました。エチオピアン・ビールは軽いのど越しで飲みやすく、暑い季節にはピッタリです。エチオピアやエリトリアが発祥とされるハニーワインは、なんと起源3000年以上という世界最古のアルコール飲料だそうで、容器はBerelaという伝統的な入れ物かグラスのどちらかを選べます。Berelaはフラスコのような特殊な形状をしたガラス容器で、手のひらを上にして容器を置き、中指と薬指で挟んで飲むのだそうですが、これが意外と大変でした。ハニーワインはハチミツの甘さと苦味が絶妙なバランスで、独特の味わいが新鮮でした。
　
　アペタイザーに頼んだSambsaは、5種類の具がすべて試せるSpecial Combinationを選びました。Sambsaはインドのサモサに似た料理で、コンビネーションの場合はレンズ豆とポテト、ほうれん草、チキンとビーフが中に入っています。どれも特別なスパイスで味付けされているので、エキゾチックな香りが食欲をそそります。特にポテトとチキン、ビーフは美味で、スパイシーかつ甘辛いプラムソースのようなソースがアクセントになっています。
　
　メインにはベジタリアンメニューからVege Combo（4種類の野菜のサイドディッシュ）と、魚メニューからAsa Tibs(ティラピア料理+サイド2種類）、肉メニューからチキンのDoro wat(チキン+サイド二種類）を注文しました。滋味あふれるVege Comboは、選べるサイドディッシュに赤レンズ豆のYemisir Wattとほうれん草のQuosta、カラードグリーンのGomen、そしてじゃがいもと人参のDinich Alichaを選びました。沢山の野菜をおいしく食べられるのがポイントで、特にじゃがいもと人参のDinich alichaはジューシーで甘みがあり、懐かしい味わいで、いくらでも食べられると取材班の間でも人気でした。そんな中、取材班に一番人気の高かった一品がティラピアを使ったAsa Tibs。こちらはカラっと揚げたティラピアに炒めた玉ねぎとパプリカをのせた料理で、魚の臭みが全くなく、シンプルながらもしっかりとしたうまみがあるので、酸味のあるインジェラともよく合いました。チキンのDoroWattはゆで卵がベルベルソースの辛味と苦味を程よく抑えてくれています。少しスパイシーで苦味もあるので、好みは別れるかもしれませんがエチオピアンらしい一皿です。

　食後はWhite Diamond specialとエチオピアンティーを頼みました。White Diamond specialは揚げたパイ生地にバニラアイスクリームと生クリーム、チョコレートソースをかけたデザートで、意外と甘さは控えめでした。カルダモンとシナモンが香るエチオピアティーは、スパイスのおかげで身体が心地よく温まるので、食後のリラックスタイムにはピッタリです。

　エスニック感溢れるエチオピア料理は、どれも様々なスパイスが使われているので独特な味わいがありますが、身体に良さそうですし、なかなか美味しいので一度はトライしてもらいたいジャンルのお料理です。オーナのYigizaw氏をはじめスタッフの方も親切ですので、是非一度足を運んでみてください。

バラエティー豊かなアルコールメニューにはエチオピアンビールもあります	Tej（テジ）と呼ばれるHoney WineはBerelaというフラスコ型の伝統的な容器に入っています	エチオピア料理には欠かせないインジェラ。これをちぎりながら好きな具材と一緒に食べます
5種類の具がすべて試せるSpecial CombinationのSambsa。どれもエキゾチックなスパイスが効いています	Vege Combo（4種類の野菜のサイドディッシュ）と、Asa Tibs(ティラピア料理+サイド2種類）、Doro wat(チキン+サイド二種類）	取材班に一番人気の高かったティラピアを使ったAsa Tibs。魚のうまみがしっかりと感じられました
チキンのDoroWattはゆで卵がベルベルソースの辛味と苦味を程よく抑えてくれています	揚げたパイ生地にバニラアイスクリームと生クリーム、チョコレートソースをかけたWhite Diamond special	カルダモンとシナモンが香るエチオピアティーは食後のリラックスタイムにピッタリ