Elmhurst通り沿いにある「Big House(Kunjip) 」は、韓国人の間で祖国の味に近い料理が食べられると評判のコリアン・レストランです。モールの奥まったところにあるお店は、ベージュ一色の建物で一見するとレストランとは思えない外観の上に、サインもほとんどハングル語だけなので、韓国人のみぞ知る隠れ家的お店といった感じです。店内はテーブルと椅子、そして仕切りがあるだけの飾り気のない食堂のような雰囲気でとてもカジュアル。在米十数年の韓国人の友人によると、このお店は鍋物とスープが特にお勧めとのことでしたが、確かに取材時も夏真っ盛りの暑い日にもかかわらず、熱々の鍋やスープをつつくお客さんの姿が多くみられました。

オーダーを終えると、まずパンチャンと呼ばれる韓国の小皿料理が出てきました。家庭的な味が売りのこのお店では、その時に手に入る旬の食材をいかした色んな種類のお料理を出してくれます。今回はそのバンチャンの1つに焼き魚が付いていたのですが、ふっくらと焼きあがった魚の甘みが塩でひきたっていてとっても美味でした。キムチは酸味のきいた韓国風の古漬けっぽい味で、ご飯がすすみます。ちなみにこのお店のキムチはテイクアウトができるので、取材中もキムチだけを買いに来る韓国人のお客さんをみかけました。アペタイザーにはパジュン（韓国風のお好み焼き）を頼みました。薄いパジュンを出すレストランが多い中、このお店のはふっくらと厚みがあって、中にはざく切りのネギがたっぷりと入っていて大満足！シーフードが入っているので、生地に海鮮のダシがいい具合に利いており、ゴマ入りの酢醤油をつければ酸味がアクセントになって味がいい具合に引き締まります。

メインには、ウゴジ・カルビタン・スープとブテ・チゲを頼みました。長時間かけてじっくり煮込んだカルビタン・スープは味噌仕立てで、スープ全体にビーフのうまみが染みわたっていています。具に入っている白菜は、外側は少しシャッキリしていますが内側はトロトロで、口の中でホロッと崩れるほど柔らかくなったカルビと絶妙なマッチ。ブテ・チゲはスパムとソーセージ、白菜、餃子、豆腐、ネギ、ベーコン、辛ラーメン、それにトッポギなどの様々な食材がはいっていて、まるで日本のちゃんこ鍋のようです。スパム・ベーコンから出るポークのダシと塩気が、白菜とネギに深いコクを与えていて、ホームメイドのキムチ餃子のプリプリとした食感もグッド。また餃子に入っているひき肉とキムチの深い味わいが、スープのうまみを倍増させているようです。ラーメンとトッポギは途中で一緒に食べても美味しいですが、しっかりダシが出終わった最後に〆でいただくのがお勧めです。

カジュアルなお店なので、サービスに関しては細かいところまで行き届くという感じではないですが、店員さんの一生懸命な接客態度は好印象でした。お客さんのほとんどが韓国人で、かなり現地に近い味と雰囲気が楽しめるので、アメリカにいながらにして韓国をより身近に感じられるお店です。韓国風の焼き肉もいいですが、日本にはないちょっと変わったコリアン鍋を「Big House」で味わってみてはいかがでしょう。

(10/20/2014)

旬の食材をいかしたバンチャン（小皿料理）。これだけでご飯が一杯食べられます。	ふっくらと厚みのあるパジュンは、海鮮のだしが利いています。	長時間かけてじっくり煮込んだ、ウゴジ・カルビタン・スープ。
様々な食材の入ったブテ・チゲは、まるで日本のちゃんこ鍋！？	飾り気のない食堂のような雰囲気のお店。