先輩:お、たまちゃん、今日のランチはサルトーリのサルエッチオ・パルメザンチーズだね。
たま:そうなんですよ。二年前(2017年12月号)に先輩と一緒にマリアーノスで取り扱っている
チーズ特集をして以来チーズの魅力にどっぷりとハマってしまいました。時々友達を家に呼んでチーズパーティーをやったりしてるんです。これは昨日のパーティーの残りです。
先輩:そっか〜、チーズパーティーはワインパーティーと違ってお酒が飲めない人でも楽しめるし、何よりチーズは味の違いが顕著だから分かりやすくて盛り上がるよね。
たま:そうなんです。それに高級なものでもお値段はワインみたいに破格にならないから手軽ですし、チーズと一緒に食べるクラッカーやジャムを変えるだけでびっくりするほど味が変わるのも楽しいんですよね。実は今度ホールフーズが取り扱っているチーズでパーティーをやろうと思ってるんですが、是非先輩のお知恵を拝借できませんか?
先輩:お知恵だなんて大げさだなあ。勿論いいよ。チーズの中には両方のお店で取り扱っているものもあるけど、ホールフーズのみの限定商品や、珍しいチーズなんかもあるから面白そうだね。
たま:やった〜。それでは早速今日の仕事終わりにお願いしますね。
先輩:さて、ホールフーズに到着したわけだけど、マリアノースに比べると少しチーズコーナーは小さめかな。でも、これにはワケがあって、ホールフーズは、とても厳しい条件をクリアしたチーズしか取り扱わないからなんだ。全ての商品というわけではないけど、多くの商品がオーガニックだったり成長ホルモンを使っていないものだったりするし、それに保存料、着色料、甘味料の類については一切使ってはいないものばかりだからね。
たま:そのあたりの徹底ぶりはさすがホールフーズという感じですね。
先輩:それから、ホールフーズにはチーズの専門家がいてね、彼らは、世界中のどこの国であろうと製造元の農場に必ず訪ねていって一つ一つ買い付けているんだって。
たま:最近は世界中の色んな所でチーズづくりがされていますから、それって凄いポリシーですね。それに陳列スペース自体はマリアノースよりも小さめですが、扱っているチーズの種類自体は凄いですよ。う〜ん、見たこと無いのも沢山あります。迷っちゃいますね。
先輩:迷った時は気軽にサンプリングしたいとスタッフの人に声をかけるといいよ。チーズ売り場の人たちはしっかり教育されているから造詣が深いし、皆さんチーズが大好きな人たちだから喜んで対応してくれるはずだよ。(マナーは守りましょう!)
たま:早速ですが今回はブルーチーズにトライしてみたいと思うんですよね。クセが強いからなかなか冒険できないんですが。
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デーニッシュブルーチーズ |
先輩:なるほどね。さっきスタッフの人とも話したんだけど、チーズパーティーをやるならやっぱりキャステロ社の
デーニッシュブルー(Danish
Blue)がいいんじゃないかって言ってたよ。これはその名の通りデンマーク産のブルーチーズなんだけど、ファンの人たちは短くダナブルー呼んだりしているね。牛乳で作られているので、スムースでクリーミーなのでそのまま食べてもいいけど、サラダやオムレツなどに入れる人も多いんだ。あと、風味が豊かなのでステーキと一緒に食べるのも有名かな。
たま:へ〜、口に入れた瞬間はソフトなんですが、だんだんフレーバーが強くなる印象ですね。洋ナシやシトラスフルーツとの相性が良さそうです。
先輩:パンはもちろん、ウォルナッツなんかとも良くあうよ。このキャステロという会社はこれまでにも色んな賞を受賞しているけど、特にこのダナブルーでは多くの賞に輝いているんだ。とは言っても、ブルーチーズ特有の青かび独特のキノコに似た香りが絶対にダメ!っていう人にはちょっと難しいかもかな。ダナブルーは、塩味やピリっとした辛みもある複雑な味なので、そこがブルーチーズ好きにはたまらないんだけどね。
たま:確かにそうですね。私はドレッシングもブルーチーズ派なので、かなり気に入りました。
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ブリー・デ・パリ |
先輩:さて、お次は有名なフランスのラクタリス社のブリー、
ブリー・デ・パリ(LACTALIS
Brie De Paris)。こいつは他のブリーに比べても外側のリンドの部分の厚みが絶妙で歯ごたえも良いのが特徴でね。中央の部分はクリーミーでなめらかなんだけど、決してバターのようにトロトロしすぎてはいないところがお気に入りなんだ。
たま:ブリーというとバター的な滑らかさが売りの商品も多いですから、そこが違うってことですね。ナッツのようなフレーバーはあるんですが、歯ごたえのわりにはクセがないので誰にでも好かれそうなチーズです。やっぱりブリーはバゲットに付けて食べるのが一番ですね!
先輩:確かにそれが王道だけど、ホールフーズのオリジナルクラッカーなんかに乗せても美味しいよ。スタッフの人の話だと、ウォルナッツとはちみつをかけて食べるのが彼女のお気に入りなんだって。ちょっと試してみようか。
たま:おお、ホントだ!なんでこのコンビネーションが!って感じですが、口の中に広がる味わいがグンと増しますね。これやみつきになりそうです。
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デリス・デ・ブルゴーニュ |
先輩:でもやっぱりブリーはバタリーな方が!っておっしゃる読者の方にはこちらのリンセット社の
デリス・デ・ブルゴーニュ(Le
Delice de Bourgonge)はどうかな?その名の通りブルゴーニュ地方のブリーチーズなんだけど、クリーミーでバタリー、そして塩分はちょっと驚くほど強め。
たま:あっさりしているのかと思ったら、思ったより主張の強いブリーですね。真ん中のトロトロした部分はほんのり藁のような香りがして、リンドの部分はスパイシーで香りが強いです。
先輩:そのとおり。これはトリプルクリームだからかなりリッチなんだ。だからそのまま食べるよりもクラッカーにのせてイチゴを添えたり、はちみつをかけたりして食べるのもオススメなんだけど、やっぱり何よりもブルゴーニュの熟成した赤ワインに合わせるのが楽しいと思うよ。
たま:なるほど〜。それは面白いですね。あとは塩気があるのでシャンパンとの相性も良さそうです。
先輩:いいね〜。
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クラリーナ |
先輩:さてさて、今回はちょっとゴーダチーズにも注目したいなと思ってるんだ。英語ではゴーダよりも発音がグーダに近いこのセミハードタイプのチーズはやっぱりオランダ産が有名だよね。オランダで生産されるチーズは6割がこのゴーダだと言われているほどなんだ。ホールフーズはユニーカース(Uniekaas)社の
ローバスト(Robusto)と
クラリーナ(Clarina)というチーズの人気が高いんだけど、今回はこの18ヶ月物のクラリーナをたまちゃんのコレクションに入れてほしいと思ってるんだ。ゴーダは熟成日数の浅い物は白っぽい色をしていて、熟成が進むにつれて黄色い深い色に変わっていくんだけど、この18ヶ月物のクラリーナはゴーダ界ではまさしくヴィンテージ物といえる一品なんだ。
たま:うわあ、ナッツのような香りとチーズの強い芳香が鼻の奥まで届きますね。口に含むとものすごく濃厚で深い味わいを感じます。噛むごとに口の中で熟成された香りがどんどん増していくような感覚になります。
先輩:うん、そうそう。色んな食材との相性がいいので、グラタンやコロッケなどの料理に使う人もいるけど、バゲットやクラッカーなどシンプルなマッチングも悪くないと思うよ。
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クレア・メルク |
先輩:そして、クラリーナと対象的なゴーダがこちらの
クレア・メルク(Klare
Melk)という珍しいゴーダチーズ。これは3ヶ月と熟成日の浅いあっさりとしたチーズなんだけど、中に『あるもの』が練り込んであるんだ。
たま:なんでしょう?このちょっと黒いものですね?あ、これは。。。トリュフじゃないですか?この風味は絶対そうですよね?!
先輩:さすがたまちゃん、大当たり!トリュフが絶妙なアクセントになっているよね?ゴーダ独特のベルベットのようなスムースとくちどけの良さが人気の秘密でもあるんだけど、なんと言ってもやっぱりこの大地のかおりを感じるトリュフを十分に堪能できるのがいいよね。この特別なチーズはオランダの小さな農場がホールフーズの為だけに作っているんだそうだよ。
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ハーブ・モンス |
先輩:ホールフーズはこの他にも農家と専属契約して独占販売しているチーズが沢山あってね、こちらの
ハーブ・モンス(Harve
Mons Camembert)というノルマンディー地方のカマンベールもその一つだ。たまちゃんも知ってると思うけど、フランスのノルマンディー地方で作られたものだけがオーセンティックなカマンベール(カマンベール・ド・ノルマンディ)とされているから、これはまさしく本物のカマンベールなんだ。
たま:これはまた熟成のかなり進んだカマンベールですね。かなり香りがきついので、好みが分かれるかも知れませんが、私は厚切りにしてクラッカーにのせて食べたい感じです。う〜ん、この贅沢な感じがなんとも言えませんね。
先輩:確かに白カビの部分はキノコのような香りも強いから、たまちゃんの言う通り好き嫌いは分かれそうだね。僕はグレープやフィグジャムなんかと一緒に食べるのがいいね。
先輩:もうひとつホールフーズのチーズで忘れてはいけないのがイタリアチーズの王様とも呼ばれるパルミジャーノ・レッジャーノ。ホールフーズはこの
パルミジャーノ・レッジャーノ(Parmigiano
Reggiano 24months)に特に力を入れていて、チーズマネージャーがホームページ内で特集を組んでその愛情を紹介しているほどなんだ。
たま:確かにホールフーズのパルミジャーノ・レッジャーノについては私も聞いたことがあります。お料理好きの方の口からその話題を聞くことが多い印象です。
先輩:そうかも知れないね。パルミジャーノ・レッジャーノはドライフルーツなんかと一緒にそのまま食べても美味しいけど、料理に使うと味がひと味もふた味も変わるからね。そんなパルミジャーノ・レッジャーノなんだけど、ホールフーズは厳選したイタリアの農家と独占契約して自社ブランドとして販売していて、店内でも専用のセクションを設けている店舗が多い。こんな大きな塊で売ってるんだけど、お客さんが無造作にどんどんカートに入れていくのを見てるとその人気の高さがわかるよね。
たま:さっきスタッフの方に伺ったんですが、使用しているミルクひとつを取っても、シーズン中で一番牧草が美味しい時期にできたミルクだけを使って、2年間丁寧に熟成してるんだそうです。その2年の間にもプロのチーズテスターと呼ばれる人たちが随時品質管理を行っていて、彼らが太鼓判を押したものだけが海を超えて輸出されてくるのだそうです。
先輩:チーズテスターってのは、あの小槌みたいなのを持って慎重にチーズの周りを叩いて音で判断する人たちだね。まあ、それだけの労力がかかったものが僕らの食卓にのっているってわけだ。さあ、じゃあ早速食べてみよう。僕のオススメは小さな塊をドライフルーツやフィグジャムと一緒に食べることかな。
たま:う〜んフィグジャムは思ったとおり抜群に合いますね。ウマミがある中にもあっさりした酸味と苦みが後から追いかけてきます。飲み込んだ後もミルキーな風味が口の中に残るのもいいですね。
先輩:僕の最近のお気に入りの食べ方であるバルサミコ酢やはちみつにディップするのも気に入ってもらえると思うよ。
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ゴートミルクチーズ |
たま:なるほど、この食べ方だとこのパルミジャーノ・レッジャーノのフルーティーで、なおかつナッツのような風味が膨れ上がりますね。あとはやっぱりリボン状に薄く切ったものをサラダにのせたり。。。
先輩:グレート(削る)したものをグラタンやパスタにのせたりね。あと意外と知られてないけど、リンド(皮)の部分はスープやシチューの中に入れると美味しいよ。
たま:なるほど!
先輩:さてさて、色んな国のチーズを紹介してきたけど、そろそろアメリカのチーズも紹介しておこうかな。このゴートミルクチーズ(Soft-Ripened
Goat Milk Cheese)はサイプレスグローブ社というカリフォルニアの小さな会社のチーズなんだけど、とにかく受賞数が驚くほど多いチーズで、ホールフーズのお客さんの間でもかなり人気の高いゴートチーズなんだって。特に、ホールフーズで売っているRaincoast
Crisps のApricot, Fig & Lemonっていうクラッカーがあるんだけど、これとの相性が抜群で、セットで買っていくお客さんも多いんだって。
たま:うわあ、本当に美味しいです。こちらのラベンダーハニーというフレーバー蜂蜜と食べてもよく合いますよ。バターミルクの部分とフレッシュクリームの部分の食感の違いやクリーミーさが両方味わえるのがいいですね。
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カルトバック・ル・クルモー |
先輩:チーズっていうと、そのまま食べても美味しいし、色んな食材とのマッチングを楽しむのも醍醐味だよね。さっきも話した通り、最近僕はバルサミコとのマッチングにはまってるんだけど、そのきっかけになったのがこの次に紹介するスイスのEMMI社の
カルトバック・ル・クルモー(Emmi/Roth
Kaltback Le Cremeux Cave Aged Cheese)っていうチーズなんだ。2016年のワールド・チーズ・アワードで銀賞を受賞したことでも知られているチーズでね。生キャラメルのような、もしくはカスタードクリームのような滑らかな食感が特徴で、フルーティーな香りがする事もあって、バルサミコ酢と合わせてみたら驚くほど美味しくて、それからお気に入りのコンビネーションなんだよね。もちろん、クラッカーともよく合うんだけど。
たま:たしかにバルサミコ酢との相性がいいですね。このチーズはクリーミーさの中にも、ちょっとしたスパイシーな感じもありますね。
先輩:その理由になるかどうかはわからないけど、このチーズは洞窟で熟成されてるっていうのも特徴の一つでね。使われている洞窟は22億年前のものなんだそうで、その洞窟の石に含まれているミネラルがチーズを熟成させたり、独特の味を引き出すのに一役かっているそうなんだ。
たま:へ〜、洞窟で熟成なんて驚きですね。世界にはそんなチーズもあるんだ。
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クローズバウンド |
先輩:それじゃあ、もう一つ洞窟で熟成されたチーズを紹介しよう。こちらはアメリカの東海岸に拠点を持つカボット社の
クローズバウンドというチェダーチーズ(Cabot
Clothbound Chedder from cellars at Jasper
Hill)で、このチーズが面白いのは、チーズ自体はカボットがつくってるんだけど、熟成部分についてはヴァーモント州にあるジャスパーヒルというクリーマリーの洞窟で行わている点だ。
たま:そんなコラボレーションもあるんですね。
先輩:その結果できあがったこの英国スタイルのチェダーチーズは沢山の賞を受賞して、過去には有名なワイン・スペクター誌の世界のチーズ100選の一つにも選ばれたほどなんだよ。
たま:リンドの部分はほんのり炭のような香りがしますね。意外なほどあっさりとしたチェダーチーズで、ナッツのような香りとほんのりした酸味が感じられます。
先輩:
確かにキャラメルのようなナッツの風味が特徴的だね。
たま:先輩オススメのバルサミコ酢とのマッチングも良いですが、私が気に入ったのはクランベリーヘーゼルナッツのクラッカーとの相性ですね。これは大人から子供まで皆さんに好まれる味だと思います。
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ミモレットチーズ |
先輩:面白い熟成方法っていうことなら、この
ミモレットチーズ(Mimolette
Cheese)もかなり独特なチーズだよ。これは、オランダでゴーダの次に製造量が多いエダムというハードタイプのチーズをフランス人が真似てつくったものなんだけど、この鮮やかなオレンジ色が特徴なんだ。
たま:うわあ、こんな色のチーズ初めてみました。なんかカラスミみたいな色ですね?
先輩:お、そのとおり。実はミモレットはかなり濃厚な味わいで、熟成が進んだものは色だけじゃなくて旨味もカラスミに例えられることが多いんだ。でね、その熟成法ってのがユニークで、熟成にはシロンと呼ばれるコナダニが不可欠なんだ。
たま:え?ダニですか?
先輩:そう、でもシロンは人を刺すダニとは種類が違うものなんだよ。熟成を始めて1年が過ぎると、チーズの表面にこのシロンが育って、沢山の窪みをつくるんだ。シロンがカビを食べて脂肪分を守り、水分をコントロールしてくれるので、ミモレットを作る農家ではこのシロンにとって良い環境をつくる事が大切なんだそうだよ。
たま:しかし、ダニと聞くと。。。
先輩:食べる時は外面は切り落としてしまうので、ダニを食べることはほぼないんだけど、万が一食べてしまっても大丈夫なんだって。
たま:はあ。。。まあでもオールナチュラルってことですよね。それこそ。で、このオレンジ色もそのシロンのおかげなんですか?
先輩:いや、それはアトナー色素という花の色素を入れているから。ちなみに、ミモレットの名前は、フランス語で「半分柔らかい」を意味する「mi-mollet(ミ・モレット)」に由来するんだそうだよ。それでは食べてみて。
たま:半分柔らかいっていう名前のわりにはかなりハードなチーズですね。へ〜、意外なほど香りがなくて、味には適度な酸味があります。正直私にはカラスミの味と言われてもちょっと分からないですが。。。
先輩:そういう意味でもミモレットは、かなり特殊なチーズで、そのまま単体で楽しむよりもお酒とのマッチングがオススメだ。熟成の進んだものは噛めば噛むほど味わいが出てくるので、ワインやウイスキーにも合うけど、特にビールや日本酒との相性が抜群にいいんだよ。
たま:あ、なるほど。それは分かるような気がします。へ〜、こんなチーズもあるんですね。
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ウェンズリーデイル
クランベリー |
先輩:きっと次に紹介するチーズも「こんなのあるんですね」系になるかも知れないなあ。
ウェンズリーデイル
クランベリー(Wensleydale & Cranberries)っていう華やかな色合いのチーズなんだけど、チーズ自体はイギリスでもっとも古いチーズの一つであるウェンズリーデイルチーズと言って、イギリスのヨークシャー州の北部に伝わる伝統的な製法でつくったチーズなんだけど、それにビタミンたっぷりのクランベリーが混ぜ込まれているんだ。
たま:なんですか、これ?とっても可愛らしいケーキみたいなチーズですね。今回のパーティーの華になりそうです!クラッカーにのせて食べるとまるでチーズケーキを食べているみたいです!
先輩:だよね。絶対たまちゃんにも気に入ってもらえると思ったよ。でね、チーズパーティーを盛り上げる方法は色々あると思うんだけど、このウェンズリーデイル クランベリーを振る舞う時はネットでこの
チーズを製造しているウェンズリーデイルの町並みや、牧草地の写真などを参加者に見せてあげるといいと思うよ。
ウェンズリーデイルはとっても肥沃な大草原なので、「こんなところで育った牛のミルクなら絶対に美味しいに決まってる!」って気分があがるからね。で、実際に食べたら本当に美味しいってのもミソなんだけど。
たま:確かに、
ウェンズリーデイルに限らず、チーズが作られている地方の写真を見るのって面白そうですね。さっきの洞窟の写真とかを観ながらチーズを楽しむと更に盛り上がりそうです。
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マウントタム |
先輩:さて、それじゃあ、そろそろ今回のチーズの中でも特に僕のオススメのチーズを出してこようかな。それが、このカウガール・クリーマリー社の
マウントタム(Mt.
TAM from Cowgirl Creamery)というブリースタイルのチーズ。カウガール・クリーマリー社はサンフランシスコの少し北にある牧場なんだけど、歴史は浅くて、90年代に大学の同級生の女性が二人で始めたそうなんだ。彼女たちのつくったチーズは、最初小さなカウンティーフェアみたいなところでこじんまりと出していたんだけど、その美味しさが話題を呼んで、色んな賞を総なめにし続けているんだ。そんなカウガール・クリーマリーの中でも一番人気なのが、このマウントタムなんだっ!おっと、気合が入ってしまって前置きが長くなってしまったかな。まあ、とりあえず食べてみてよ。
たま:ははは、先輩、熱入ってましたね。それでは早速頂きますね。おお、これはトリプルクリームのブリースタイルチーズですね!流石に真ん中の部分のクリーミーさはすごいことになってますね。あ、でもこれも柔らかいんですが、2年前に紹介したフランスの色んなブリーの時のように中心部のバターのような部分がトロトロと溶け出てくるタイプではないんですね。その分、口の中に入れるとリッチなクリームが口の中の温度で初めてとろけるような食感が絶妙です。
先輩:そうなんだ。これまで僕も含めて多くの人はあのフランスの多くのブリーのようなナイフを入れただけで溶け出すようなクリーミーさこそがブリーチーズがリッチな証しのように感じてたんだけど、このマウントタムはちょっと次元の違うリッチさなんだよね。どちらが良いとかってことではなく、もう完全に別物として考えたほうが良いと思うんだ。
たま:リンドの部分は芝生のようなマッシュルームのような香りがほんのりして、少しだけビターなんですね。本当に美味しいです。これは大人から子供までみんなに好まれそうなチーズで、シンプルなクラッカーやバゲット、フルーツ、ウォルナッツなどと食べても素晴らしいお味です。数々の賞を取っているというのも納得です。
先輩:このチーズは、アメリカのチーズの評価を一気に押し上げたチーズの一つといっても過言ではないだろうね。本当はまだ他にも色々と紹介したいチーズがあるんだけど、流石に全部は無理かな。
たま:そうですね。でもこのチーズシリーズは私も楽しいので、次回は是非先輩に情報提供できるように頑張ってみますね。それにしても次回のチーズパーティーが楽しみです!