今回の特集は、昨年の「不妊症と妊活」特集のその後の経過や新しい情報を含め、ACEカイロの松下先生に話を伺ってきました。
●記者…昨年に続いて不妊症と妊活の第2弾ですが、何か反響や変化はありましたか。
●ドクターM…そうですね、私自身の夫婦が、第1子を私が49歳の時に妻39歳6ヶ月の高齢出産で、そして第2子は私が54歳の時に妻44歳10ヶ月で超高齢出産で子宝に恵まれました。どちらもガンステッド・カイロプラクティックと日本式鍼治療の真価を証明するために西洋医学の不妊治療は一切受けずに自然妊娠でした。
私のACE カイロプラクティック クリニックでは、27歳から50歳の不妊症の患者さん50人以上がカイロプラクティックと鍼治療で妊娠・出産に成功された症例実績があります。
やはり多くの成功症例を持っていて、かつ自分自身の家族で有効性を証明したドクターが根拠なども提示して説明したインタビュー記事ということで、患者さんなど一般の方だけでなく、医療従事者の方々からも分かり易く説得力がある情報だと評価していただけたようです。
病院での不妊治療だと初診と検査だけでかなり高額な費用がかかりますが、カイロプラクティックだと詳しい診察にX線撮影など必要な全ての検査に治療まで含めて初回費用が500ドル未満です。それで成功率が高いので費用対効果も優れています。
2018年度の妊活患者さんの妊娠成功率は32〜39歳で66.7%で、42歳で出産された症例もありました。
●記者…結果が出ているのが素晴らしいですね。妊活の情報ですが、産婦人科のお医者さんから提供して貰えるのではないですか?
●ドクターM…確かに、医学的・疫学的な統計による年齢別の妊娠率や体外受精の成功率といった情報などは提供されるでしょう。
例えば、Advanced Fertility Center of ChicagoというIVF(体外受精)の専門クリニックでは、2016年の臨床実績を公表しており、それによると自分の卵子を用いてIVFを実施した新患当たりの出産成功率は、患者の女性の年齢が35歳未満は74.8%、35〜37歳が55.4%、38〜40歳で34.7%、41〜42歳は14.3%、42歳以上では15例中1例(0.067%)となっています。
全米平均より優れた成功率を誇るこのクリニックでも、IVFを行っても年齢が上昇するに従って出産まで成功する確率は低下することに変わりはありません。 また、35歳未満の女性であっても成功率は74.8%であり4人中1人は出産に成功していないのです。
問題は、どの年齢層でも成功する人と成功できない人がいて、何が原因で成否の差がでるのかが説明されていないことと、どうしたら成功する側にはいる事ができるのか、個々の患者さんが成功率を上げるための情報などはあまり提供されてはいないというところです。
私のクリニックでは44歳の成功例も複数あり、50歳での成功例もあるなど40代超でも結果を出しています。それは、ケアが健康回復の根本治療であることと、成功するための情報提供の差だと思います。
●記者…でも情報と言えば、今はインターネットで情報が簡単に手に入りますよね?
●ドクターM…まぁそれはそうなんですが、信頼性に問題があります。インターネット上に溢れている不妊症や妊活に関する情報には、産婦人科医や助産師などの専門家や医院のWebサイトやブログによるものから、妊活を体験した女性のブログによる経験談、葉酸などのサプリメント・健康補助食品を販売する会社や販売員の方のブログなど、その目的と情報の質が玉石混合ですから、どの情報が正しいのかを素人が判断するのが難しい面が指摘されています。
●記者…ではインターネット上の情報はどう判断すればいいのでしょうか?
●ドクターM…米国オステオパス協会誌に2014年5月に掲載された論文で、10大疾患についてWikipediaと正規の医学誌で情報を比較した結果、「Wikipediaには多くの誤りが認められた」と報告されています。
実際に日本版Wikipediaでカイロプラクティックを調べると正しくない情報が多く散見されます。医学系の情報は基本的に素人や正体不明の誰かが加筆・修正できる時点で信頼性は低いのです。
All Aboutは専門家が情報提供する形になっていますが、その医学系専門家の選択法と質に問題があり、情報の信頼性は高いとは必ずしも言えません。
やはり、その分野の第一人者である専門医などが身分や資格などを明らかにして運営している公式なWebサイト等で根拠となる論文を明示した上で提供している情報でなければ信用するには値しないと思ってよいと言えるでしょう。
●記者…それでM先生の健康コラムの記事では最初に医学誌の名称と掲載日、研究者の名前などを明示しているのですね?
●ドクターM…そうです。単に個人的な意見ではなく、調査・研究した結果である論文が他の専門家によるピア・レビューを経て医学誌に掲載され、その論文によって「事実(Fact)」として報告されたものが「根拠」となりますから、その根拠に基づく内容を紹介するように努めています。
●記者…では、その根拠となる論文で新たな情報はありますか?
●ドクターM…医学誌「米科学アカデミー紀要(PNAS)」に2018年1月8日に掲載された研究で、「市販の鎮痛薬の成分イブプロフェンと男性不妊に関連性が認められた」と報告されています。
イブプロフェンを服用した男性は14日以内に黄体形成ホルモンに対するテストステロンの割合が減少する睾丸機能不全の兆候が確認されました。このホルモンバランスの攪乱は、生殖障害や鬱、心血管系疾患のリスク上昇に関係する症状を引き起こしていたことも判明しています。
妊活中の男性が頭痛や腰痛など鎮痛剤として、また風邪薬としてイブプロフェンを服用すると、睾丸機能不全となり不妊の原因となり得ることが判明した訳です。また、妊婦さんが鎮痛薬を服用すると、産まれてきた男児が不妊となる次世代へのリスクも判明しています。
薬はどんな副作用が起こるのか後になって判明することも少なくないので、特に妊活・妊娠中・授乳中の期間は、女性も男性も安易な薬の服用は避けて、カイロプラクティックや鍼治療などで健康管理をするのが安全です。
●記者…イブプロフェンって安全な薬だと思っていましたが、ホルモンに影響して不妊の原因になるんですね。では他に妊活の成功率を高める有益な情報はありますか?
●ドクターM…そうですね、昨年はこの特集の文字数の関係で触れていなかった「妊娠を妨げるリスク」となる情報をお話します。リスクとなるものを知れば、それを避けることで成功率を高めることに繋がりますから。また、精子の質を高めるといった妊娠の成功率を高め、健康な赤ちゃんを得ることに関係する情報も紹介します。
●記者…なるほど。では先ずは何でしょうか?
●ドクターM…先ずはタバコです。医学誌「Tobacco
Control」電子版に2015年12月14日に掲載された研究で、「喫煙および受動喫煙が女性の不妊や早期閉経の引き金となる」と報告しています。
喫煙経験のない女性に比べ、現喫煙者または元喫煙者は不妊の確率が14%高いことが判明。 非喫煙者のうち高レベルの受動喫煙に曝露している人(喫煙者と10年以上同居しているなど)は、不妊の確率が18%高いことも判りました。
女性が喫煙や受動喫煙でタバコの煙に暴露すると、早産、低出生体重、乳児死亡、一部の先天性欠損にも関連し、また早期閉経は死亡リスクにも関連することが判っています。
妊活を考えている、或いは妊活をしているご家庭では、今すぐに禁煙することが大切です。
●記者…愛煙家には辛い情報ですね。では次は何でしょう。
●ドクターM…次は脂肪です。医学誌「Human
Reproduction」電子版に2012年3月13日に掲載された研究で、「脂肪分の多い食生活パターンにより、多量の脂肪分を摂取している男性は、
低脂肪な食生活をしている男性に比べて、精子の数も濃度も低く、精子の質が悪くなっていることが判明」と報告されています。
毎日の食事から摂取する総カロリー中脂肪分が37%以上、もしくは飽和脂肪が13%以上の男性は、脂肪をあまり摂取していない男性に比べて、精子数と濃度が40%低いことが判明しました。
「喫煙やマリファナ、コカイン、飲酒、精巣が高熱にさらされることなどが男性の妊性と不妊に関与していることが示唆されてきたが、脂肪過多と飽和脂肪酸の過剰摂取が、不妊に繋がる可能性が示唆された。脂肪を少なく、オメガ3脂肪酸を多く含む食生活が望ましいことが明らかになった」と研究者らは述べています。
●記者…脂肪と糖質を一緒に食べると旨いんですけどねぇ。まだありますか?
●ドクターM…次は加工肉です。医学誌「Fertility
& Sterility」電子版に2015年7月20日に掲載された研究で、「加工肉を多く食べる男性と不妊に関連性が認められた」と報告されています。
卵細胞質内精子注入法(ICSI)を併用しない体外受精(IVF)の受精率は、加工肉の摂取量が最も多い男性(4.3食/週)の受精率54%に対し、最も少ない男性(1.5食/週)の受精率は82%と成功率が28%高いことが判りました。
また、鶏肉摂取量が最も少ない男性の受精率65%に対し、最も多い男性の受精率は78%と成功率が13%高いことが判明しました。
「ベーコン、ハム、ソーセージなどの加工肉を多く摂取する男性は不妊治療に成功する可能性が低く、鶏肉を多く摂取する男性のほうが成功することが判ったが、健康的な食事の選択は健康的なライフスタイルと相関しており、そのために受精率が上昇したと考えられる」と研究者は指摘しています。
●記者…加工肉ではなく鶏肉を食べるといいのですね。他には?
●ドクターM…抗酸化物質です。医学誌「Cochrane
Database of Systematic Reviews」電子版に2011年1月19日号に掲載された研究で、「不妊治療を受けている男性が抗酸化物質を摂取すると妊娠率が高まる」と報告されています。
不妊治療の期間中に男性が偽薬(プラセボ)を与えられた対象群のカップルと比較して、男性が抗酸化物質を与えられたカップルの妊娠率が4.18倍も高く、出生数も4.85倍になっていることが判明しました。
「この妊娠率の上昇から推測すると、抗酸化物質の効果により、3ヶ月以内で精子運動性能が13.47倍、精子濃度は6.79倍上昇したと考えられる」と研究者らは述べています。
この研究では抗酸化物質は、カロテノイド(ビタミンA)、ビタミンC、ビタミンE、葉酸、CoQ10(ユビキノール)、亜鉛等で、サプリメントを経口投与しています。
●記者…抗酸化物質は凄い効果ですね。じゃぁ次ありますか?
●ドクターM…食生活です。医学誌「Fertility
Sterility」2011年9月号に掲載された2本の研究で、「質の良い穀類、果物、野菜を食べ、トランス脂肪酸を避ける食生活が、精液に含まれる精子の運動性を高める」と報告されています。
穀類、野菜や果物を、食べる頻度が最も少ないグループに属する男性の精子の運動率が56.2%だったのに対し穀類、野菜や果物を最も多く食べるグループに属する男性の精子の運動率は62.5%で、この差は統計的にも有意な差であることが判明しています。
●記者…野菜や果物などには抗酸化物質も豊富だからでしょうね。次お願いします。
●ドクターM…農薬です。医学誌「Human Reproduction」に2015年3月31日に掲載された研究で、「残留農薬レベルの高い果物や野菜の摂取と精液の質低下に関連性がある」と報告されています。
残留農薬が高レベルの果物・野菜を大量に摂取していた男性は、低レベルの男性よりも精子の数が49%少ないことが判明。 また、摂取残留農薬が低レベルの群の精子正常形態率は7.5%であったのに対し、高レベルの群では5.1%と3割ほど低いことも判明しました。
●記者…野菜や果物がいいと言っても農薬が残っていると駄目なんですね。でも、どの
野菜や果物に高い残留農薬があると見分けたらいいのですか?
●ドクターM…Environmental Working
Group という環境監視団体が、2018年の「汚染の酷い12種の野菜や果物を発表しています。
汚染が酷かった12種は、
1.strawberries,
2.spinach, 3.nectarines, 4.apples, 5.grapes,
6.peaches, 7.cherries, 8.pears, 9.tomatoes,
10.celery, 11.potatoes, 12.sweet bell peppers,
そして今回は+1の13.hot
peppersです。
例えば、一般農法(Conventional)のイチゴのサンプルの一つから22種類の農薬が検出され、イチゴのサンプル全体の3分の1から、それぞれ10種類以上の農薬が検出されています。
これらの汚染の酷い13種の食材は、農薬も制限している有機栽培(Organic)のものを購入するように気をつけましょう。
●記者…農薬は健康と妊活の敵ということですね。しかし、全ての野菜や果物を有機栽培(Organic)のものにすると食費がかさみますよね。
●ドクターM…Environmental Working
Group という環境監視団体は、2018年の「汚染の少ない15種」の野菜や果物も発表しています。
汚染の少ない15種は、
1.avocados,
2.sweet corn, 3.pineapples, 4.cabbage, 5.onions,
6.frozen sweet peas, 7.papayas, 8.asparagus,
9.mangoes, 10.eggplant, 11.honeydew melons,
12.kiwis, 13.cantaloupes, 14.cauliflower,
15.broccoli です。
これらの汚染の少ない15種の野菜や果物は、有機栽培(Organic)がより安心なことに変わりは有りませんが、一般農法(Conventional)のものでも農薬の検出が少なかったので大丈夫でしょう、とEWGは述べています。
但し、2.sweet cornと7.papayasは、米国で販売されているものの殆どが遺伝子組み換え(GMO)の作物ですから、GMOでない事を確認して購入する必要があります。
●記者…汚染の少ない15種の野菜や果物は必ずしも有機栽培(Organic)でなくてもよいのは分かりましたけど、そもそも有機栽培や一般農法の作物の見分ける方法があるのですか?
●ドクターM…あります。米国のマーケットでは、リンゴなど果物や野菜にバーコードと商品価格識別番号(PLU)が記された小さな丸いシールが貼ってあるのを、皆様ご存知のことと思います。
PLU番号には、4桁の3000番代と4000番代のA群、5桁の8で始まるB群、そして5桁の9で始まるC群の3群に分類されます。 A群は通常の一般的な農法で作られた作物、B群は遺伝子組み換え作物(GMO)、そしてC群は有機栽培で作られたオーガニック作物を表しています。
野菜や果物を購入する際は、シールを見て番号が9で始まるオーガニックが安心、3か4で始まる一般栽培のものが普通、8で始まるGMOは危険で避けると覚えておきましょう。 また、袋詰めで販売されている場合は袋にPLU番号が印刷されていますから、確認してください。
遺伝子組み換え食品(GMO)が癌のリスクを高めることがフランスの研究発表で判明して以来、GMOの食材およびGMOの原材料を用いた加工食品を避けることは今や常識です。農薬も、ラウンドアップ等の除草剤に癌リスクがあることも判明していますから、GMO食品でなくても、農薬が多く検出されている食材は避ける方が無難ですね。
●記者…9がオーガニックでBEST、3か4が汚染の少ない15種だったらOK、8がGMOで駄目ということですね。これは覚えておかねば。
●ドクターM…メモに書いて財布に入れておくのがお勧めです。
●記者…そうします。まだ他にもありますか?
●ドクターM…次はクルミです。医学誌「Biology
of Reproduction」電子版に2012年8月15日に掲載された研究で、「クルミを食べることで精子の質が改善される」と報告されています。
12週間後に比較したところ、毎日クルミを75g食べていたクルミ群の男性被験者の精子は開始前に比べ元気で、良く動き、形も良くなるなど質的に改善し、染色体異常も減少してほとんど見られなくなっていることが判明しました。
クルミ、青魚のEPAやDHA、オリーブオイル、亜麻仁油などに含まれるα-リノレン酸などは多価不飽和脂肪酸と呼ばれ健康維持に有益であり、精子の成熟と膜機能に重要な影響を与えて精子の質が向上することに関与すると考えられます。
●記者…クルミを75g毎日食べ続けるのも容易ではなさそうですが、妊活の為に男は耐えるしかないですね。まだありますか?
●ドクターM…テレビです。医学誌「British
Journal of Sports Medicine」電子版に2013年2月4日に掲載された研究で、「週に20時間テレビを見ている男性は、テレビをほとんど見ない男性の約半分しか精子がない」と報告しています。
週に20時間以上テレビの前に座ると回答した男性は、テレビ視聴時間が少ない男性に比べ精子数が44%少なく、テレビ視聴時間が普通の男性と比べても精子数が14%少ないことが判明しています。
しかし、週に15時間の激しい運動(ランニング等)を行うことで、精子数を73%まで改善できることも判りました。
「男たちはテレビを消して、 ランニングシューズを履くことだ」と研究者は述べています。
●記者…週に15時間のランニングですか、1日に約2時間9分ですよね、そりゃ無理だ。テレビを見ないようにする方が簡単そうですね。
●ドクターM…テレビだけじゃなく、コンピューター、タブレットやスマートフォンを見ながら座っていても同じです。
仕事であれば仕方がない部分もありますが、それでも座り続けることは健康にも有害ですから、最低でも1時間に1回は休憩を取って立ち上がり2分間以上歩き回ることがお勧めです。出来れば、Sitting
/ Standing Deskという高さを簡単に変えられて座って或いは立ってPCが使える机が普及してきているので、導入して使われることがお勧めです。
そうすれば、週に15時間ランニングしなくても、週に2時間30分の速足(100歩/分)での歩行で健康維持には充分対応できますからね。
●記者…週に2時間30分なら1日に約22分歩けばいいのですよね。それならまだ出来そうです。もう他にないですか?
●ドクターM…フラボノイドですね。医学誌、「American
Journal of Clinical Nutrition」電子版に2016年1月13日に掲載された研究で、「ベリー類、柑橘類などに含まれるフラボノイドが男性の健康な勃起維持に役立ち勃起障害リスクを低減」と報告しています。
果物の総摂取量が多い人では勃起不全リスクが14%低下し、また、フラボノイドの豊富な食品を摂取しており、運動の習慣がある人では、同リスクは21%低下することが判明しました。また、3種類のフラボノイド(アントシアニン、フラバノン、フラボン)が、勃起障害の予防に及ぼすベネフィットが最も大きいことも判明しています。
「フラボノイドの豊富な食品を定期的に摂取していた男性では勃起不全リスクが低かったが、その摂取量は週2〜3皿分に過ぎない」と研究者は述べています。
アントシアニンはブルーベリー、チェリー、ブラックベリー、ラディッシュなどに含まれ、フラバノンとフラボンは柑橘類に含まれています。
勃起不全になってしまうとタイミング法などでの自然妊娠が困難になるので、オーガニックの果物や野菜で充分なフラボノイドを摂取されることがお勧めです。
赤ワインにもフラボノイドは含まれていますが、アルコールですからお勧めしません。
●記者…ワインは駄目ですか、それは残念。
●ドクターM…後はBPA関連ですね。医学誌「Journal
of Clinical Endocrinology & Metabolism」に2016年1月27日に掲載された研究で、「不妊の原因の一つであるビスフェノールA(BPA)の問題を、大豆をたくさん摂ることで予防できる可能性がある」と報告しています。
この研究は、2007〜2012年の間に少なくとも1回の体外受精(IVF)を受けた18〜45歳の女性239人を被験者としたものですが、大豆食品を摂取していなかった女性では、豊富に摂取していた女性に比較して、BPA値が高くなるほど胚着床率、超音波で胎児が確認できるまで妊娠が継続する比率、生児出生率が低くなる傾向が判明しました。
また、176人が大豆食品を摂取していましたが、定期的に大豆食品を摂取していた女性では、BPA値によるIVFの結果への影響は認められないことも判明しました。
上席著者であるハーバード公衆衛生大学院、生殖生理学教授のRuss Hauser,
MD, MPH, ScDは、「妊娠を希望する女性はBPA曝露を減らすことが推奨されるが、完全に回避することは難しい。今回の知見から、BPA曝露のリスクを食事によりある程度低減できることが示唆された」と述べています。
米国産の大豆は70%以上が遺伝子組み換え(GMO)ですから、有機栽培(Organic)の大豆製品、納豆、味噌、豆腐などを摂取しましょう。
●記者…ところで、BPAって何ですか?
●ドクターM…ビスフェノールA(BPA)は、食品容器、ポリカーボネート製の水筒や食品缶の内面コーティング等に含まれる化学物質で、女性ホルモンの一種であるエストロゲンに似た作用をもち、不妊症との関連が指摘されています。
努めてプラスチック製の食器の使用を避けましょう。また缶詰食品も避けましょう。
●記者…プラスチック製の商品って現代の生活環境の中には溢れていますから、知らない間に不妊症のリスクになっているのですね。
●ドクターM…そうですね。知らないということはリスクを負ってしまう怖いことでもあります。しかし、知っただけでは不十分で、知った知識を用いて自分の環境や生活習慣を改善する「変化」を実行しなければ意味がありません。
●記者…自分の習慣や環境を変えるのは難しい面がありますからね。もう他にはないですか?
●ドクターM…不妊カップルのカウンセリングで実績のある、こまえクリニック院長で医師、医学博士の放生勲先生の著書「知っておきたい妊娠力」に記載されている情報を紹介します。
赤ちゃんを作りたいと思われる女性は、基礎体温表をつけて排卵日を予想したり、排卵日検査薬を用いたりして排卵日を想定していらっしゃると思います。 しかし、排卵日にだけ性交するのでは成功率が上がらないことを御存知でしょうか。
体温の低温期の終わりに更に体温が下がる最低体温日という日があり、その後は黄体ホルモンによって体温が上昇します。 排卵は、最低体温日の前日が5%、最低体温日の当日が22%、翌日が40%、翌々日が25%の確率で排卵されると統計で出ています。
排卵当日に性交すれば、受精自体は約80%の確率で起るとされていますから、基礎体温表をつけている方は最低体温日の前日から5日間、排卵日検査薬を用いている方は陽性反応が出た日から4日間は性交をするようにすると妊娠成功の確率が高まります。
●記者…カイロプラクティックや鍼灸を受けると不妊症に効果があるのは昨年1月号の特集でよく分かりましたけど、他にも色々知っておくとよい情報があるものですね?
●ドクターM…昨年の特集で触れたように、葉酸のサプリを摂っても、タイミング法で試しても、IVFで受精卵を子宮に移植しても、母体となる女性の体が健康でなければ砂漠に種を蒔くようなもので胚の生育は望めず、着床や妊娠継続は困難です。
それ故に妊活を始めるに当たって、女性は卵管閉塞症などの器質的病変がないかどうか、男性は無精子症など重篤な病変がないかどうか産婦人科など病院で検査を受け、異常が見つかれば早急に処置を受けること。
それと並行して、健康であるためには身体の制御・統制を司る神経系の機能が重要ですから、生殖器系を含む全身の神経機能に異常がないかをカイロプラクティックで調べ、必要に応じて調整(アジャスト)を受けておくことです。
医学誌「Journal of Vertebral Subluxation Research」に2003年5月2日に掲載された研究で、「22〜65歳の15名の不妊症患者をカイロプラクティックでケア(一部は他の医療と併用)した結果、1〜20ヶ月の期間に65歳を除く14名が妊娠に成功した」と報告されています。
この根拠となった研究ではガンステッドというカイロプラクティックのテクニックが用いられ、X線画像分析や皮膚温度計測機器を駆使して科学性・再現性のある診察・検査を基に、素手によるアジャスト(矯正)を行います。
また、医学誌「British Medical Journal」オンライン版に2008年2月7日掲載された研究で、「体外受精(IVF)を受ける女性が同時に鍼(はり)治療を受けると、妊娠の確率が65%高くなる」と報告されています。気・津・血の調整のために鍼治療を受けておくことが勧められます。
私のクリニックでは、根拠に基づいたガンステッド・カイロプラクティックと日本式鍼灸を用いて妊活ケアを提供しています。それが妊活成功の鍵であり、今回紹介した様な根拠に基づく情報を参考にしてリスクを避け、確率を高める事が重要です。
●記者…他では得られない貴重なお話を有難う御座いました。
●ドクターM…もう妊活をしている方も、これから始めようという方も、1日も早く効果的な妊活と生活習慣を始めて頂き、子宝に恵まれて頂けたら嬉しいですね。昨年の特集の情報も含めブログ、https://blogs.yahoo.co.jp/acechiroclinic1で情報を提供しています。
是非、参考にして下さい。
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