『せんせい、もうすぐ赤ちゃんが生まれるんだよ。』嬉しそうに教えてくれる女の子。妹の誕生が嬉しくて、待ち遠しくてわくわくしている女の子。出産予定日が近づくにつれ、女の子の心にも変化が見えてきました。
そして出産当日、女の子は生まれて初めてお母さん、お父さんと離れ大好きなおじいちゃん、おばあちゃんのお家に泊まる事になりました。どきどきしながら妹の誕生を待ちました。
翌朝は森での幼稚園。誇らしげな笑顔のおじいさんと女の子も森へやってきました。 女の子は嬉し恥ずかしそう、でも少し不安そうな表情を浮かべていました。
肌寒い森の中を子ども達が歩きます。女の子も皆と一緒に歩きます。楽しそうに遊ぶ彼女が時折みせる寂しげな表情...彼女は病院にいるお母さん、お父さん、生まれてきた妹にまだ会えていなかったのです。笑うお友達に囲まれながらも彼女の心は複雑でした。
嬉しさ、寂しさ、不安、喜び...いろんな感情が小さな彼女の心の中でぶつかりあっていました。
ほのかに温かい太陽の木漏れ日が彼女を照らし、彼女は仲良しのお友達と一緒に池の氷を見つめています。すると、彼女はお友達と小さな枝の取り合いをして、
森中に響く大声で泣きました。
心の中がぱんぱんに膨らんで、自分でもどうしていいか分からないこの複雑な気持ちを小さな彼女は彼女なりに表していました。
私も彼女を抱っこして 寒い森の中 一緒に泣きました。
毎日私達の目の前で成長している彼女を見ていると、これも彼女の成長のひとつだったんだ...と思えて来れる様になりました。
あの日、彼女はとても大きなステップを踏んだと思います。
『お姉ちゃん、我慢してるんだなぁ..』って、大人として歯がゆくなってしまう時もあるかもしれません。お姉ちゃんになったんだから、我慢しなきゃいけない事が出てくるのは当然の事なんです。彼女が家族の一員として家族の為に我慢する事って大切な事。支え合う、助け合う、苦しみも喜びも分かち合う。それが家族。
家族である事を彼女は学んでいるのです。
小さな赤ちゃんが家族へ仲間いりすると、その子を迎える事で家族の時間はいっぱいになります。できる時に、上の子も一緒に思いっきり甘えさせてあげればいいと思います。膝に乗せたり、一緒に赤ちゃんのお世話したり、いっぱい抱っこしてあげたり...『大好きよ』ぎゅっと抱きしめてあげるだけで、彼らの心は満たされます。
子どもってすごいです。子どもって強いです。森でのあの日、彼女は涙しながら心から妹を受け入れ、『自分はお姉さんになった』その責任と、家族の中での今までの自分の存在から、これからの自分の存在に変わっていく事を受け止めた日だったと思います。
大きな環境の変化の中でも子ども達は強いです。毎日成長していく彼らの全てを誇りに思います。
大きく育て!子ども達!元気に育て!子ども達!