91歳のおじぃの言葉
暖かい春の昼下がり、隣のおじぃの家に遊びにきました。おじぃは一人で住んでいて、私はおじぃの話をいっぱい聞いてあげて、おじぃは私の話をいっぱい聞いてくれます。私はおじぃに、『おじぃ、私、学校に戻ってもっと勉強したいと思う。』と言いました。『大事な子ども達に、最高の教育をしてあげたい。だから、学校に戻ってもっと勉強したいんだけど。どう思う?』おじぃはしばらく考えて言いました。
『学校に戻る事で、収入が変わるのかい?』『変わらないよ。』
『お家のローンはしっかり払えているの?』『大丈夫だよ。』
『幼稚園は楽しいかい?』『うん、楽しいよ。子ども達も毎日楽しそうよ。』
『今、君は幸せかい?』『うん。毎日幸せよ。』
おじぃは、にこりと笑顔で言いました。
『君は他に何が欲しいのかい?君を幸せにしてくれるもの、必要な物は全部そろっているじゃないか。』91歳のおじぃの言葉。幸せであれば、何も変える必要はない。人生の喜びと厳しさをを知っている人だからこそ言える言葉。91年の歳月を生き抜いた人の言葉はすごく重みがあります。『日本にいる両親を誇らせてあげたいから。アメリカでも頑張ってるよ。って見せてあげたい。』おじぃは変わらない優しい顔をして、静かに笑っていいました。『君の両親が君の事を誇りに思っている事にまだ気がついていないのかい?君がアメリカにいる事。君が子ども達と学んでいる事。君の全てを誇りに思っているんだよ。』おじぃといると、遠く離れた家族の事を思い出します。おじぃは、私の両親に会った事はありません。でもおじぃは私に教えてくれました。
私には夢があります。それは、いつかアメリカで子ども達がおじいさん、おばあさんと一緒に過ごせる環境を用意してあげる事です。おじいさん、おばあさんは子ども達から元気をもらい、子ども達はおじいさんや、おばあさんから学び、『おじぃ、おばぁはすごい!』と尊敬しながら育っていける環境。人の優しさ、暖かさを教えてくれるおじいさん、おばあさんは素晴らしいです。そして、そこにいるだけで人を幸せにできる子ども達も素晴らしいです。人は皆素晴らしいです。沢山の素晴らしい大人に囲まれ、支えあえながら子ども達の成長を見守っていけたらなぁ...と子ども達の笑い声、笑顔をみながら、大きく夢見る今日この頃です。