しあわせのおにぎり
夏休みの幼稚園。子ども達のいないひっそりとした幼稚園。子ども達を乗せて揺れてたブランコも、なんだか寂しげに風にゆれています。オフィスの仕事をしていると、電話がかかってきました。電話の向こうには、今年卒園生していったそら君のお母さんの声。『先生、今日いつまで幼稚園にいるの?幼稚園におろす物があるんだけど、ちょっとお邪魔してもいい?』『大丈夫ですよ。お待ちしてます。』
2時間後、『せんせい〜!』卒園から2週間見ないうちに、ちょっとまたお兄ちゃんになったそら君が笑顔で飛び込んできました。そら君、嬉しそうになにやら抱えています。『せんせい、この前『そらが作ったおにぎりおいしい』っていってたやろ。今日はそらが先生におにぎり作ってきてやったで。卵焼きも全部自分で作ったんやで。』と差し出された小さなお弁当箱。ふたを開けると、大きなおにぎりを真ん中に、中、小と、いろんな形のおにぎりが計5個、所狭しと詰められていました。『幼稚園に先生がいる。って聞いてすぐにお米を自分でとぎはじめたんですよ。』と、そら君のお母さん。まんまるだったおにぎりも大きく作りすぎて、ふたをする時にぺちゃんこになってしまって...『せんせい、食べて、食べて!』と瞳を輝かせながらそら君はじっと私を見つめています。『おいしいやろ!』『うん。すごく...』一生懸命おにぎりをにぎるそら君の姿を思い浮かべながら食べたおにぎり。そら君の優しさに心が熱くなりました。
子ども達に大切な事ってここだと思うんですよね。 人を大事に思う事。誰かの為にしてあげられる事を考える事。優しさを分かち合う事。そして子どもが感じている『愛』を受け止めてあげる大人がいる事。子ども達一人一人、愛情表現の仕方は違います。愛情表現が上手な子どももいれば、苦手な子どももいるんです。 でも、子ども達の優しさを共に喜ぶ事によって、子ども達は少しずつ大きな人へと成長していくのです。 おにぎり一つで涙するのはみのり先生ぐらいやぁ!ってよく笑われますが、いいんです。いいんです。子ども達の優しさに囲まれている私は幸せなんです。 子ども達の愛に見守られながら成長しているのは本当は私なのかもしれませんね....(笑)
大きく育て!子ども達!
元気に育て!子ども達!