心を育てる言葉の力
『みぃりぃ、おかえり!』2歳と5歳の甥っ子達と姪っ子に迎えられて始まった2009年。那覇空港の到着
ロビーでは、一年ぶりにあった子ども達の成長に驚きつつ、すっかり大きくなった子ども達を抱っこして喜びを分かち合いました。12月だというのに、まだまだT?シャツで元気に走り回る子ども達。時間が過ぎるのを惜しむ様に、毎日朝から晩まで遊ばせてもらいました。2歳の姪っ子は特に、自己主張が強く、何でもかんでも『のんちゃんがやる!』『のんちゃんのダンスみて!』と踊りだしたり、着替えさせてあげようとすると、『いやだ〜』と、逃げ出したり...典型的な2歳児の姿です。
楽しかった休暇も、あっと言う間に最後の日がやってきました。駐車場でお別れをする時、姉は2歳ののんちゃんを抱っこし、『みぃりぃはね、アメリカっていう遠い所にいっちゃうんだよ。いっぱい遊んでくれてありがとうね。最後にみぃりぃに抱っこしてもらってね。』と言ってのんちゃんを私の腕の中においてくれました。『のんちゃん、楽しかったよ。また遊ぼうね。』のんちゃんは、私を見つめ、『みぃりぃ、いかないで。』と言って、ぎゅっと私の首にしがみついたんです。 たった2歳の子どもでもしっかり感情があって、その気持ちを言葉を通して相手に伝える事ができる。言葉ってただの口からでる音ではなく、小さい子ども達の心を表し、大人の心をも動かせる素晴らしいものだと改めて感じました。
今まで、沢山の子ども達、そしてその家族と出会ってきました。多くの駐在員家族が園を訪れ、理解できる言葉の中で伸び伸びと遊ぶ子ども達を見学して、『でも、せっかくアメリカに来たのだから英語を覚えてもらいたい。』『まぁ、今の所は、嫌とも言わないから現地校へいかせています。でも、一度日本語の環境に入り楽しい思いをさせると、現地校へはいきたくない。っていいだすと困るから...』と日本語の環境に入る事を断念するご家族も中にはいらっしゃいます。
しかし、幼児期に子ども達が慣れ親しんだ言葉で様々な経験をさせてあげる事は、子ども達の心の成長にとってとても大切な事なのです。幼児期の素晴らしさは、子ども達が素直に自分の気持ちを思う存分表しても許される事が出来る事なのです。 心を育てる幼児期に喜怒哀楽を思いっきり周りの人達と感じ、時にはぶつかり合う事、そんな経験の積み重ねが人としての土台を築く大切な基礎となるのです。 私の姪の様に、『寂しいよ。いかないで。』の一言を相手に伝える。その一言に反応、応答してくれる人達がいるという実感は、彼女に安心を与え、彼女と私の信頼をむすぶ大切な一言だったと思います。私達大人が子ども達にしてあげられる事は、子ども達が楽しく、安心して育ち、学んでいける環境を整えてあげる事です。まず第一に子ども達の心を育み、そして言葉を育んでいけるといいですね。