MLBは毎年、シーズン最終月の9月にユニホームの売り上げランキングを発表している。今年の1位は昨年に続いてニューヨーク・ヤンキースのアーロン・ジャッジ外野手だった。昨季は新人ながらア・リーグ最多の52本塁打を放ち、新人王に選出。そのパフォーマスもさることながら、生後間もなく養子に出されたという生い立ち、品行方正な人柄も背番号「99」の売れ行きに拍車をかけ、今やメジャー屈指の人気を誇っている。
日本人選手に目を移せば、ロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平選手が8位に入った。今さら説明するまでもないが、打者と投手の両方をこなす二刀流選手。MLBに「TWO−WAY
PLAYER」という言葉が一般的になったのは同選手の活躍があったからに他ならない。
オープン戦では結果を残せず、首脳陣やファンをやきもきさせたが、開幕後は投げては100マイル(約161キロ)を計測し、打っては400フィート(約122メートル)を超えるホームランを連発。二刀流が本物であることを知らしめた。
6月に右肘の靭帯に損傷が判明して約1カ月の離脱。9月にも新たな損傷が見つかり、投手としては10試合で4勝2敗、防御率3・31の結果に終わったが、与えたインパクトは計り知れず。打者としては104試合で打率・285、61打点。22本塁打は日本選手の1年目では史上最多。10盗塁を記録して足でも魅了。名前に引っ掛けたニックネーム「SHO−TIME(ショータイム)」を定着させた。
人気とインパクトでは大谷選手には及ばなかったものの、同じくメジャー1年目のアリゾナ・ダイヤモンドバックスの平野佳寿投手の好投も光った。
抑え投手につなぐセットアッパーとして歴代日本人最多、今季メジャー5位タイの75試合に登板し、4勝3敗、防御率2・44の好成績。最後は力尽きたが、チームがプレーオフ争いをする原動力となるピッチングを披露した。
日本人メジャー記録更新と言えば、ヤンキースの田中将大投手はメジャー1年目から5年連続となる2桁勝利を挙げた。
脚のけがで一時的に戦線離脱を余儀なくされたが、先発ローテーションの一角として12勝6敗、防御率3・75の好成績。変化球の割合が高くなり、投球スタイルに変化が見えるが、5年通算64勝34敗という高勝率は東北楽天イーグルス時代と変わっていない。
田中投手と同級生でもあるロサンゼルス・ドジャースの前田健太投手はメジャー3年目で初めて2桁勝利に届かない8勝だったが、昨季に続いて先発と中継ぎの両方をこなした。
今季は登板39試合のうちおよそ半分の19試合がリリーフ。昨年のプレーオフで見せた中継ぎでの快投で首脳陣の信頼を得て、勝ち試合には欠かせない存在となった。
その一方、悔しいシーズンとなったのが、シカゴ・カブスのダルビッシュ有投手だ。
2年ぶりワールドチャンピオンを目指すチームにとって最大の補強としてシカゴにやって来たが、5月中旬に右上腕を傷めて故障者リスト入り。8月にマイナーでのリハビリ登板で右肘痛を再発させ、骨のストレス反応と上腕三頭筋の挫傷が判明し、シーズン中の復帰を断念した。
今季はわずか8試合の登板にとどまり、1勝3敗、防御率4・95。チームはワイルドカードで4年連続プレーオフに進んだが、地区優勝を逃し、ワイルドカードゲームでもあっさり敗れたことでダルビッシュ投手が元気だったら…と思うファンは多いはず。それほど期待は大きかったということになる
大谷、平野両選手とメジャー1年目の明暗を分けたのは、サンディエゴ・パドレスの牧田和久投手だ。
オープン戦ではサブマリン投法から繰り出される緩急のピッチングで好結果を残したが、シーズンに入ると不安定な投球が続き、メジャーとマイナーを行ったり来たりすること合計6度。メジャー開幕戦と最終戦はメジャーに在籍したが、マイナー降格翌日にメジャー昇格してくるなど、激動≠フ1年となった。成績は27試合0勝1敗、防御率5・40でメジャー初勝利は来季に持ち越された。
苦しい1年を過ごしたのは3人のベテラン投手だ。
キャンプイン後の3月にシアトル・マリナーズと契約し、6年ぶりの古巣復帰となったイチロー外野手はメジャー18年目の開幕を迎えたまではよかったが、5月に記者会見を行い、選手登録を外れ、球団の会長付補佐に就任することを発表した。オープン戦で痛めたふくらはぎの影響もあり、出場試合数は自己最少の15にとどまり、打率は・205、本塁打、打点、盗塁はゼロに終わった。しかし、45歳になる来季も現役続行に意欲を見せている。
昨秋に右肩手術を受けた岩隈久志投手は、イチロー選手と同じマリナーズとマイナー契約を結び、復活を目指したが、メジャーのマウンドに立つことなく、来季の日本球界復帰を決断した。来年4月に38歳になる右腕はメジャー6年で2桁勝利を3度マーク。通算成績63勝39敗2セーブ、防御率3・42。けがを完治させ、日本でもうひと花咲かせるつもりだ。
開幕時はマイアミ・マーリンズの一員だった田沢純一投手は成績不振から5月に戦力外通告を受けた。デトロイト・タイガースとマイナー契約を結んでメジャー復帰を目指したが、7月に2度目の戦力外に。すぐにエンゼルスとマイナー契約で合意し、メジャーベンチ枠が拡張される9月にメジャー復帰。最後は来季につながる投球を見せたが、今季成績は31試合、1勝1敗、防御率7・07に終わった。
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