メジャーリーグの公式戦が10月1日に終了した。3月号で紹介した日本選手たちはどんなシーズンだったのか。順を追ってその戦いぶりを振り返ってみたい。
ナ・リーグ中地区を2年連続で制し、ワールドシリーズ連覇に向けて第1関門を突破した我らがシカゴ・カブス。その陰でけがに苦しんだのは上原浩治投手だ。
ボストン・レッドソックスでプレーした2014年にチームをワールドチャンピオンに導いた守護神。もう一度、頂点に立ちたい思いでシカゴにやってきた右腕は抑えにつなぐセットアッパーとして開幕から6試合連続無失点と好発進した。4月12試合、5月と6月はそれぞれ8試合に登板。中でも6月は月間防御率1・04と好投した。
ところが、7月の球宴前後から雲行きが怪しくなる。失点が目立ち始め、8月に至っては9試合で7失点。8月8日のジャイアンツ戦で6球を投げたところで首に張りを訴えて降板し、故障者リスト入りした。同20日に一旦は復帰したが、今度は足に異変。背中にも痛みが生じ、9月2日のブレーブス戦を最後に登板機会がないまま(10月1日現在)シーズンを終えた。メジャー9年目の成績は49試合、3勝4敗2セーブ、防御率3・98だった。
今季一番の電撃的移籍はカブスの人気者だった川崎宗則選手だろう。
マイナー契約から開幕メジャーを目指し、2月から始まったキャンプに参加したが、3月末に契約解除。その後の動向が注目される中、出した結論は6年ぶりの日本球界復帰だった。99年ドラフトで指名を受け、12年間プレーした古巣、福岡ソフトバンク・ホークスへ移籍。日本では主に二塁手として出場し、5月には日米通算1500安打を達成したが、アキレス腱痛を発症し、7月末から欠場している。
トレード期限が迫った7月末。メジャー界で最も注目を集めたのが、当時テキサス・レンジャーズで投げていたダルビッシュ有投手だ。
チームのエース的存在。ローテーションの大黒柱として投げ続け、7月を終わった時点で6勝8敗、防御率3・49。決してインパクトを与える成績ではなかったが、各球団の評価は高かった。今季終了後に6年契約が満了し、フリーエージェント(FA)になるとの理由で複数の球団が興味を示した。交渉が難航し、一時は「残留」の空気が流れたが、締切り8分前にロサンゼルス・ドジャースへのトレードが決まった。
ドジャース移籍後は好不調の波が激しく、9試合で4勝3敗、防御率3・44。9月8日のコロラド・ロッキーズ戦ではメジャー最速の通算1000奪三振達成し、シーズン最終登板となった同25日のパドレス戦で3年ぶりに10勝目を挙げた。首脳陣からの信頼は厚く、5年連続で地区優勝を果たしたチームでローテーションの柱として10月からのプレーオフに登板する予定だ。
「控え外野手」として移籍して3年目、マイアミ・マーリンズのイチロー外野手は出場した136試合のうち先発出場はわずか22試合。メジャー史上最多となる109試合に代打で出場した。記録したヒット27本はメジャー記録に1本足りなかったが、チームが14年連続プレーオフ進出を逃がす中、最終戦の打席までファンの目を楽しませた。
メジャー17年目の成績は打率・255(代打・270)、3本塁打、20打点、1盗塁だった。
波乱万丈だったのは青木宣親外野手だ。3月に行われたワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に日本代表「侍ジャパン」の一員として出場した後、ヒューストン・アストロズで開幕を迎えた。6月17日のロサンゼルス・エンゼルス戦では日本選手7人目となる日米通算2000安打を達成した。
しかし、アストロズでの起用法に一貫性がなく、先発と控えの間といった状態。そんな中、トレード期限の7月31日にトロント・ブルージェイズへのトレードが発表された。ある意味、ダルビッシュ投手以上の驚きの移籍だった。
ブルージェイズでは12試合で打率・281、3本塁打と好成績を残したが、およそ1カ月後の8月29日に自由契約に。なぜ?の疑問が残る中、青木選手は9月2日にニューヨーク・メッツと契約を結んだ。メジャー6年目で7つ目となる球団では主に1番打者として出場。27試合で打率・284と過去に在籍した6チームでの成績と変わらない数字だった。
ニューヨーク・ヤンキースの田中将大投手は日本選手の中で最も好不調の波が大きかったと言っていいだろう。
3年連続開幕投手としてスタートしたシーズンは、タンパベイ・レイズ戦で自己最多の7失点で3回途中降板。出鼻をくじかれたが、4月27日のボストン・レッドソックスでは9回を1人で投げ切り、3年ぶりの完封勝利を手にした。4月から5月にかけて5連勝、そこから6連敗を含む8登板連続白星なし。9月2日のレッドソックス戦では日本投手最速となる通算50勝を達成したが、シーズン終盤にエースの座を失い、地元ニューヨークのメディアから酷評された。
今季は30試合に登板し、13勝12敗、防御率4・74。勝ち星は日本投手の中で最も多かった。
シーズン途中からダルビッシュ投手とチームメートになったドジャースの前田健太投手は先発登板数が昨季の32試合から24試合に減少。中継ぎ投手として4試合に登板し、投球回数も175回2/3から134回1/3に減ってしまった。それでも田中投手と並んで日本投手最多の13勝(6敗)を挙げ、防御率は4・22だった。
マーリンズの田沢純一投手は勝利の方程式≠フピースとして期待されたが、シーズン最後まで安定感に欠け、負けた場面での登板が多かった。今季の成績は日本投手初の4年連続50試合登板となる53試合、3勝5敗、防御率5・69だった。
シアトル・マリナーズの岩隈久志投手は右肩痛の影響で先発登板はわずか6試合にとどまった。5月3日のエンゼルス戦が最後のマウンド。シーズン終了間際に右肩の内視鏡手術を受け、キャッチボール再開まで5カ月が要すると発表された。今季の成績は0勝2敗、防御率は4・35と不本意なシーズンとなった。
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