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今、日本のプロ野球が盛り上がっているという。理由は今季から導入された交流戦だ。オープン戦と日本シリーズ以外ではありえなかったセ・リーグ球団とパ・リーグ球団との対決。昨年のシーズン中に勃発した史上初のストライキや、球団合併&買収など、大きく揺れ動いた末に誕生した新たな試みが野球ファンの心をひきつけているのだそうだ。
この交流戦、今さら言うまでもないが、大リーグが97年から実施している「インターリーグ」のアイデアを取り入れたものだ。大リーグで交流戦が生まれたきっかけも日本同様、ストライキだった。94年シーズン中に労使協定を巡って球団オーナーと選手会が激突。妥協点を見出せず、選手会がストライキを決行。シーズンは打ち切られた。ファンの存在を無視した愚行に大リーグ人気は急落。野球離れに歯止めをかけようと生まれたのが、ア・リーグ球団とナ・リーグ球団の交流戦(インターリーグ)だった。
今季のインターリーグは5月20日から始まったが、同じ都市や同じ州にフランチャイズを置くチーム同士の対戦からスタートするのが恒例となっている。例えば、シカゴで行われるホワイトソックス対カブスは「ウィンディシティ・クラシック」、ニューヨークのヤンキース対メッツは「サブウェイ・シリーズ」、ロサンゼルスのエンゼルス対ドジャースは「ハイウェイ・シリーズ」、さらにサンフランシスコのアスレチックス対ジャイアンツは「ベイブリッジ・シリーズ」と呼ばれている。
00年までは各リーグの同地区同士が対戦していたが、01年からはシーズンごとに地区の組み合わせを変更。03年に史上初めてヤンキース(ア・リーグ東地区)がカブス(ナ・リーグ中地区)の本拠地、リグレーフィールドでプレーしたのもインターリーグならでのことだった。
この新たな試みが大リーグ人気の回復に貢献したかどうかは、観客動員数を見れば一目瞭然だ。97年から昨季まで計1948試合が実施されているが、1試合の平均観客動員数は3万2663人。通常の同リーグ内の対戦(イントラリーグ)のそれよりも13・4%多いという結果が出ている。04年に限っていえば、インターリーグの3万2914人に対し、イントラリーグは3万109人。8年が経過しても野球ファンが楽しみにしているイベントであることを証明している。
ちなみに、ア・リーグとナ・リーグ、どちらが強いかというと、対戦成績は後者の988勝960敗。勝率にして・507。力は互角と判断していいだろう。球団別では、インターリーグを最も得意としているのはアスレチックスで通算成績85勝65敗、勝率・607。逆に苦手としているのは、オリオールズの56勝83敗、勝率・403だ。
日本のプロ野球は、各リーグ6球団しかないためいきなり全球団との対戦を実施している。先日行われた西武対阪神戦では、西武の松坂大輔投手が甲子園で先発登板。横浜高時代は春夏連覇し、同球場では負け知らずだった同投手が初めて黒星を喫したことが大きな話題になっていた。
人気回復の“切り札”として日本のプロ野球が導入した交流戦。1シーズンだけの結果を見て成功と呼ぶにはまだ早いが、手ごたえは上々のようだ。
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