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思わず、ニンマリしてしまった。
今年3月に行われた大リーグのオープン戦。個人成績表の中に2人の日本人の名前があった。打率1位にマリナーズのイチロー外野手、本塁打と打点の1
位にはヤンキースの松井秀喜外野手。オープン戦は選手にとって開幕前の準備であることは知っている。しかも、その順位はオープン戦期間中のものだったが、2人が日本でプレーしていた時と同じ持ち味を発揮してメジャーのトップにいることがとにかくうれしかった。
本誌3月号の特集で紹介した16選手のうち、マリナーズの木田優夫、レッドソックスのデニー友利、インディアンズの多田野数人の3投手は、残念ながら開幕前にマイナーリーグ行きを告げられた。4月23日現在、大リーグには、野手6人と投手7人、合計13人の日本人選手が所属している。これは、米国を除いた国別の選手構成をみてみると、ドミニカ共和国91人、ベネズエラ46人、プエルトリコ34人、メキシコ18人、カナダ15人に次ぐ第6位の数字だ。
“歴史的な日”となったのは4月18日。全米各地で行われた試合10人の日本人選手(野手6人、投手4人)がフィールドに立った。同じ日にこれほどの人数がプレーしたことはかつてなかったことだ。ホワイトソックスの井口資仁内野手は、同地区の最大のライバル、ツインズを相手に「2番・セカンド」で出場し4打数2安打。守護神の高津臣吾投手も九回に登板し、本塁打で1点差に詰め寄られながらも4セーブ目を挙げた。ヤンキースの松井秀外野手はデビルレイズ戦に「4番・レフト」として2安打3得点をマークし、19?8の勝利に貢献。この日は、ヤンキース球団オーナーのジョージ・スタインブレナー氏がチームの不振に苦言を呈した翌日とあって全米でも大きな注目を集めた試合でもあった。
さらに、カージナルスの田口壮外野手がパイレーツ戦で今季初となる3安打3打点でこちらも勝利に一役。メッツの松井稼頭央内野手はフィリーズ戦で勝利には結びつかなかったが2安打と結果を出した。
悔しさを味わった選手もいた。イチロー外野手とドジャースの中村紀洋内野手はともに5打数無安打。イチロー外野手の同僚、長谷川滋利投手は7回から
登板し1回無失点に抑えたが、チームは負けた。先発では、メッツの石井一久投手が5回6安打6四球5失点、ナショナルズの大家友和投手はマーリンズ戦で5回6安打5四球4失点の乱調でともに敗戦投手となってしまった。
野茂英雄投手(現デビルレイズ)がドジャースのユニホームを着て、メジャー初登板を果たしたのは1995年5月2日のこと。日本人大リーガーのパイオニアのデビュー戦からちょうど10年が過ぎようとしている。当時、たった1人だった日本人大リーガーは、今では1日に10人もプレーする時代になった。日本人投手が日本人打者に投げることはもうニュースではなくなった。日本人選手がブーイングを浴びることも珍しいことではなくなった。
次はどんな10年が待っているのか。日本人選手同士がワールドシリーズでぶつかったり、個人タイトルを争う可能性も十分にある。そんな日が来るのを楽しみにしている。
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