近年、スマホやタブレット等の普及と共に首や肩に痛みやコリを訴える人が増えています。そして、その傾向は弱年齢化し小学生などにも拡大しています。私のクリニックでもX線検査をすると、首の正常な前弯カーブが減少し、或いは逆反りの後弯になっている患者さんを以前より頻繁に見かけるようになっています。
今回は、長時間のコンピュータでの仕事や、スマホなどの使用で増えている首の痛みの治療に関する研究の紹介です。
医学誌「Annals
of Internal Medicine」2012年1月3日号に掲載された研究によると、「首の痛みには、市販の鎮痛消炎薬、医師に処方された鎮静剤や筋弛緩剤などの薬よりも、運動や脊椎矯正がより効果的である」と報告しています。
この研究では、ミネソタの疼痛管理クリニックと大学研究所で募集された、首に2〜12週間痛みを持つ、18〜65歳の272人を被験者とし、脊椎矯正群91人、自宅での運動指導群91人、医薬品群90人の3つのグループに無作為に分けて12週間のケアを行い、6年間調査しました。
脊椎矯正群は、最低5年以上の臨床経験があるカイロプラクティック医師(DC)6人が担当し、痛みのある部位に必要な矯正を行いました。 自宅での運動指導群は、6人の運動療法士によって担当され、1時間のセッションを1〜2週間間隔で2回実施して運動を指導し、様々な運動を各5〜10回、1日に6〜8度自宅で実施させました。 医薬品群は、医師(MD)が管理し、先ずは非ステロイド系消炎鎮痛剤、アセタミノフェン、又は両方を服用し、効果が無いか、これらが服用できないケースには鎮静剤と筋弛緩剤が処方されました。
痛みを含む治療効果は、全てのグループで12週間の治療期間中に6回、治療期間終了後26週と52週の2回申告させ、頚椎の可動域は4週と12週に7名の試験官によって計測され、データを調査・分析しました。その結果、12週の時点で、脊椎矯正群は痛みが50%以上軽減した被験者が82%、75%以上軽減した被験者が57%、100%軽減した被験者は32%であった。 同様に、自宅での運動指導群では77%、48%、30%、そして医薬品群は69%、33%、13%であり、痛みの軽減において脊椎矯正群と医薬品群では大きな差が認められた。
長期的改善効果においては、脊椎矯正群は痛みが50%以上軽減している被験者が26週後で75%、52週後では81%であった。 自宅での運動指導群では71%、69%、また医薬品群は59%、69%であり、脊椎矯正群が最も優れた結果であった。
研究者らは、「研究管理期間を通して常に大量の鎮痛剤を与えられた医薬品群の被験者達は最も悪い結果となっている」と指摘しています。
首に痛みがある原因に脊椎サブラクセーション(不整列に伴う機能不全)がありますが、運動療法や薬物療法では不整列を矯正することは出来ません。カイロプラクティックによるアジャスト(矯正・調整)は、原因を取り除くことで結果である症状の痛みが解決する訳ですから、根本療法であり最も効果的な治療なのです。
首の骨に癌などの腫瘍や骨折といった脊椎矯正が禁忌のケースも稀ですがあります。しかし、カイロプラクティックではX線検査も行うことが出来るので、万一見つかれば専門医に転医するので安心です。首の痛みは先ずカイロプラクティックに受診することがお勧めです。