医学誌「American Journal of Epidemiology」に2017年10月31日に掲載された、豪州シドニー大学の運動・健康と身体活動学准教授のEmmanuel
Stamatakis博士らの研究で、「腕立て伏せと腹筋を行うことで、癌や全死因死亡率を減少させる」と報告しています。
この研究は、、「英国健康調査(HSE)」と「スコットランド保健調査(SHS)」に参加した30歳以上の成人8万306人を被験者としたデータを基に、そのうち死亡した5,763人の死因や、癌、心臓血管系疾患などの死亡率と、筋肉強化運動と有酸素運動との関連性を調査・分析しました。
その結果、筋肉強化運動のみを行った場合、全死因死亡率が23%減少し、癌死亡率は31%減少するが、心臓血管系疾患の死亡率とは関連性がないことが判明。
また、有酸素運動のみを週に150分以上行った場合は、全死因死亡率が16%減少し、心臓血管系疾患の死亡率が22%減少するが、癌死亡率とは関連性がないことが判明。
そして、筋肉強化運動と有酸素運動を、両方ともに行った場合は、全死因死亡率が20%減少し、癌死亡率が30%減少することが判りました。
さらに、筋肉強化運動に関しては、ジムの器具を用いて行うトレーニングと、自宅で特定の器具なしで自重(自分の体重)を使って行う運動も、効果に有意差がないことも判明しています。
Stamatakis准教授は、「継続的な筋肉強化運動が疾患予防と健康寿命の延伸につながる。それは腕立て伏せや腹筋など自宅や公園などで手軽にできる運動でも十分な効果が得られる」と述べています。
WHO(世界保健機構)は、成人には週に2回の筋肉強化運動と、週に150分の有酸素運動を推奨しています。