1.糖尿病リスク低下にチョコ、お茶、ベリー類が有用
医学誌「Journal of Nutrition」2014年1月19日号に掲載された、英イースト・アングリア大学のAedin
Cassidy栄養学教授の研究で、「チョコレート、お茶、ベリー類等に含まれる成分が糖尿病やその他の疾患予防に有効な可能性がある」と報告されています。
この大規模栄養調査では、食品に関する質問への回答が得られ、かつ血糖コントロール状態や炎症、インスリン抵抗性の測定を行えた健康な英国人女性約2000例のデータを検証しました。
特にパセリやタイム、セロリといったハーブや野菜に含まれるフラボン、ベリー類や赤ブドウ、ワイン、その他赤色や青色をした果物および野菜に含まれるアントシアニンの消費に着目し、フレバノイドのサブグループに位置づけられる成分の消費による便益を調べました。
その結果、フラボンやアントシアニンの消費レベルの高さは、良好な血糖コントロール、およびインスリン抵抗性や炎症レベルの低さに関連していることが判明しました。
Cassidy教授は、、「フラボンやアントシアニンなどの強い生理活性を持つ成分が糖尿病リスクを減らすかどうかについて、ヒトで大規模に検討した研究はこれが最初の1つとなる。しかし、糖尿病リスクを低下させるには具体的にどのくらいの量を摂取する必要があるのかは不明なままで、これらの成分によって実際どのくらいの健康面の便益が得られるかも今後の課題だ」、と述べています。
2.糖尿病プラス肥満で早期死亡リスク増加
医学誌「New England Journal of Medicine」2014年1月16日号に掲載された、ハーバード大学公衆衛生大学院研究フェローのDeirdre
Tobias, ScDの研究で、「2型糖尿病患者では過体重によって早期死亡リスクが上昇する」と報告しています。
この研究では、「Nurses' Health Study」と「Health
Professionals Follow-up
Study」という2つの大規模コホート研究から、計1万1000例以上の2型糖尿病患者のデータを分析しました。
16年間の追跡期間中に約3100例が死亡しており、全体の解析では肥満指数ボディ・マス・インデックス(BMI)が27.5〜29.9の群の死亡リスクは、BMI18.5〜22.4の群より低く、過体重あるいはわずかな肥満は死亡の危険因子としては正常体重より影響が小さかった。
しかし、喫煙の有無に分けて解析したところ、非喫煙者ではこの肥満逆説(注1)は消失し、さらに糖尿病と診断される前のBMIと心疾患や癌,およびその他の死亡の関係について検討したところ、非喫煙者ではBMIが高くなるほど心血管疾患による死亡リスクが増大することが判明しました。
Tobias博士は、「いわゆる肥満逆説は妥当性にかける。われわれの大規模データからは体重が重くなるほど早期死亡リスクが高まるという結果であり、2型糖尿病患者において肥満逆説は神話に過ぎないという結論に至った。体重管理は2型糖尿病管理の重要な要素である」と述べています。
これらの知見を参考に、健康管理に心掛けましょう。
注1:肥満逆説 (obesity paradox):過体重には死亡の予防効果があるとした学説