1.しっかりとした朝食で血糖低下
欧州糖尿病学会議2013年次学術集会で発表された、ヘブライ大学のDr.
Hadas Rabinovitz の研究で、「蛋白質や脂肪を含む健康的な朝食は2型糖尿病患者の空腹感や血糖値の管理に有効である」と報告しています。
この研究では、2型糖尿病患者59人を被験者とし、糖尿病患者の1日エネルギー
摂取量の約33.3%にあたる量を朝食で摂取する群(大朝食群)と、同12.5%にあたる量を摂取する群(少朝食群)に無作為に割り付け、大朝食群の朝食には蛋白質と脂肪も多く含めて13週間の介入調査を実施した。
13週間後に分析した結果、毎日多めの朝食を摂取した大朝食群では、血糖値および血圧値の有意な低下が確認された。大朝食群の血糖低下は少朝食群の3倍、血圧低下は同4倍に達し、大朝食群の患者の3分の1では糖尿病薬の減量も認められたが、少朝食群の17%では逆に薬剤を増量する必要があった。また、大朝食群では1日の後半に感じる空腹感が少ない傾向も認められた。
Dr. Rabinovitzは以前の研究で、「日常的に朝食を摂取する人では、朝食を抜く人に比較しボディ・マス・インデックス(BMI)が低いこと、血糖値が低く、インスリンをより効果的に使える傾向があること」を報告しており、今回の研究はその知見を元に行われたものです。
2.糖尿病が乳癌と大腸癌の死亡リスクを増悪
欧州癌会議(ECC2013)で発表された、エラスムス大学医療センター外科学博士課程のKirstin
De Bruijn氏らによるメタ解析研究で、「2型糖尿病患者では乳癌および大腸癌の発症リスクが高まるだけでなく、これらの疾患による死亡リスクも上昇する」と報告しています。
この研究では、計約200万人を対象とした20件の研究データを解析した。 その結果、2型糖尿病患者においては乳癌発症リスクが23%、乳癌による死亡リスクが33%高まっていることが判明。 大腸癌も、発症リスクが26%、死亡リスクが30%も高まっていることが判明しました。
De Bruijn氏は、「糖尿病と癌の関連を示すエビデンスは極めて強力なものになりつつある。懸念が証明されたと考えている」と述べています。
糖尿病は、その合併症による失明や腎機能低下などが問題になるばかりではなく、乳癌や大腸癌の発症及び死亡リスクも上昇させるという問題があることも判明しました。
しかし、1.の研究で、蛋白質や脂肪を含む健康的な朝食が2型糖尿病患者の空腹感や血糖値の管理に有効であることも報告されていますから、糖尿病の方は是非主治医と相談して朝食を工夫されてみては如何でしょうか。
鍼灸も糖尿病患者の血糖値を改善させることが判明しているので、併せて利用するのも有益でしょう。