医学誌「Archives of Disease in Childhood」に2013年6月25日に掲載された英国の研究チームの研究で、「乳児期に母乳で育った人は出世する確立が高く、社会的地位が下がる確立が減少する」と報告しています。
この研究では、英国で1958年に生まれた1万7419人と、1970年に生まれた1万6771人のデータを収集し、10-11歳時と33-34歳時の社会的地位を4段階で比較し、数年ごとにデータを収集して追跡調査を行い、脳の発達やストレスの度合いなど、影響が出るとみられるそのほかの要素についても考慮して、乳児期に母乳で育ったかどうかの影響を調べた。
調査の結果、1958年生まれのグループでは68%が母乳で育ったのに対し、1970年生まれのグループでは僅か36%だった。
データ分析の結果、母乳で育った人は、粉ミルクで育った人に比べて出世する確率が24%高く、社会的地位が下がる確立が20%減少することが判明。研究者らは、「母乳が与えた影響の約3分の1(36%)は、知性とストレスに関するものであった。母乳は脳の発達を助けて知性を高め、結果として社会的地位も向上させる。また、母乳で育った子供は、ストレスによる症状がより少ないことも判明した」と述べ、「この研究により、母乳には一生を通じて人に社会的利益をもたらす可能性があることが示され、母乳を与えることの健康上の利点をさらに裏付けた」と指摘しています。
科学的で栄養バランスに優れ、便利で合理的に見える粉ミルクは、実は自然の母乳には敵わないことが近年の研究で判明してきました。やはり自然が一番安全で有益なんですね。