● 乳幼児期の食生活が子供の知能の発達に影響
医学誌「European Journal of Epidemiology」2012年7月号に掲載された、豪州のアデレード大学のLisa
Smithers博士の研究で、「乳幼児期に、成長期の健康に好ましいバランスの取れた食事を摂取していた子供は知能の発達が良好」と報告しています。
この研究では、7千人の乳児を被験者とし、6ヶ月、15ヶ月、2歳の各時点での食事の内容を調べ、さらに被験者が8歳の時点で知能検査を実施しました。
データを分析した結果、6ヶ月で母乳を与えられ15ヶ月と2歳の時点では家庭で調理されたハーブや豆類、チーズ、新鮮な果物、野菜などが普段から与えられていた子供は、8歳の時点での知能指数(IQ)が平均よりも2ポイント高いことが判明しました。
一方、2歳以下の時点でビスケット、チョコレート、甘いお菓子、ソフトドリンク、ポテトチップスなど、いわゆるジャンクフードを日常的に食べる習慣のあった子供は、8歳の時点で平均よりも知能指数(IQ)が2ポイント低いことが判明しました。
また、市販のベビーフードは、6ヶ月の時点で与えられていた場合には知能指数にマイナスの影響がありましたが、2歳の時点で与えられていた場合にはプラスの影響があることも判りました。
Smithers博士は、「知能指数の違いは数字の上では僅かではあるが、2歳までの乳幼児期にどのような食生活をするかが、その後の知能に大きな影響を与えていることが立証された」と述べています。
● 脂肪や糖分が高い加工食品の食習慣で子供の知能が低下
医学誌「Journal of Epidemiology and Community
Health」オンライン版に2011年2月7日に掲載された、ブリストル大学のKate
Northstone博士の研究で、「3歳児のときに高脂肪、糖分過多の加工食品中心の食生活の子供は、その後の幼児期、児童期においてIQ(知能指数)が低い傾向がある」と報告しています。
この研究では、3996人の子供を被験者とし、3歳、4歳、7歳の時点で子供の食生活を保護者に質問して情報を収集し、8歳6ヶ月の時点でウェクスラー児童用知能検査を実施してIQ(知能指数)を測定して相関関係を調査しました。
データを分析した結果、様々な要因を取り除いた上で、3歳の時点での平均よりも高脂肪・糖分過多の加工食品の摂取頻度が1標準偏差分多くなると、8歳6ヶ月の時のIQが1.67も低くなるという相関関係があることが判明。 また、3歳の時点で野菜、果物類、米、魚などの多い健康的な食事の頻度が、平均よりも1標準偏差多くなると、IQが1.2も高くなるという相関関係も判明。
Northstone博士は、「子供は生後3歳までが最も脳の成長が早く著しい時期であり、良い栄養を摂取することが脳の認知機能の発達にも重要であるということを、この結果は示唆していると考えられる。乳幼児期の栄養摂取が知能の発達に与える影響をさらに詳しく研究したい」と述べています。
今回の2件の研究で判明したことは、大脳組織の発達が最も活発な時期である3歳までの間に、健全な脳神経系の発達に必要とされる十分な栄養が摂取されることが非常に重要ということです。 加工食品やジャンクフードは避け、野菜や果物、魚など自然で健康的な食材を子供には与えるように心掛けましょう。