筆者が調べて見つけた「一般の皆さんの役に立つ」と思われる研究報告の中から、子供に関するものを集めてシリーズで紹介している第4弾です。
■画面に向かう時間と子供の高血圧のリスク
医学誌「Archives of Pediatrics & Adolescent
Medicine」2009年8月号に掲載された、アイオワ州立大学の David
Martinez-Gomez, BScや、ミシガン州立大学の運動学科教授のJoe
Eisenmann, PhDらの研究によると、「テレビを観たり、コンピュータを使用したり、またはビデオゲームをしたり、いずれにせよ「画面に向かう時間」が多すぎると、幼い小児の血圧が上昇する可能性がある」と報告しています。
研究者らは、「テレビを観たり、コンピュータを使用したり、ビデオゲームをした時間が最も少なかった小児は、画面に向かう時間が最も多かった小児よりも血圧レベルがはるかに低かったこと」を見出しました。しかし「絵を描くなど他の形の座ったままの活動は血圧上昇と有意な関連がなかったこと」も確認したのです。「3歳〜8歳の小児は、画面に向かう時間を1日2時間以内に制限し、毎日60分以上の身体活動によってバランスをとること」を、研究者らは推奨しています。
■子供のゲーム中毒に注意
医学誌「精神科学」2009年5月号に掲載されたアイオワ州立大学の准教授Douglas
Gentile, PhDらの研究によると、「テレビゲーム(コンピューターゲーム)をする小児およびティーンエージャーの8.5%がゲーム中毒になり、学業や社会的相互作用に悪影響を及ぼしている」ことが判明しました。
研究者らは、米国精神医学会の精神疾患の診断・統計マニュアル最新版(DSM-IV)に概要が説明されている病的賭博の認定ガイドラインに基づく11項目の評価尺度を使用し、「調査した1,178名の8
〜 18歳の若者の中のテレビゲーム中毒者は、時々ゲームをする人よりもはるかに頻繁にゲームをしており、成績が悪く、現実から逃避するためにコンピュータを起動し、学校で注意力の問題が生じることが多く、暴力沙汰に巻き込まれることが多く、注意欠陥障害と診断される可能性が2倍以上高かった」と述べています。
研究では、「少年は少女よりもゲームをする頻度が高く、ゲームをする時間も長い。小児は成長するにつれてテレビゲームをする頻度は少なくなるが、1回あたりのゲーム時間は長くなる」などの事も判明しています。
中毒の徴候には、「小児がコンピューターでゲームをする必要があり、それに引きつけられると感じていることを示す徴候、学業への関心の減退または成績の低下、他の活動をしているときの倦怠感の増大、家事をさぼる傾向、および宿題をしないための言い訳が上手になることなどが含まれる」という事です。
これらの研究で、コンピューターなどの画面を長時間見ることの問題が、健康面と学業成績に影響すること、家庭や学校などでの社会性の欠如に繋がることが指摘されています。テレビ、コンピューター、ゲーム機、携帯電話などは、子供部屋に持ち込ませず、親が管理できる状況におく必要がありそうです。