アメリカの4月は「ポエトリー・マンス」と定められています。と、気にしてみると、確かに本屋さんでは詩集の数々がレジ近くにまとめられ、文学の授業で習ったような名前(すみません、あまり良い生徒ではなかったんです)、ゲーテやリルケ、ワーズワースなんていう詩人達の本が並べられています。詩、ポエム、ポエトリー、ソネット。。。
この類いはなんだか”難しい”、”上流階級的な”、それでいて”ちょっと排他的な”雰囲気もあったりして、少し取っ組みにくく嫌煙してしまう方が多いのかもしれません。それなら、あえてこの4月には「詩集」を手にして、ちょっとばかりおしゃれに、そして素直に、ポエムの数々を楽しんでみよう!チャレンジしてみよう!という月になっているのです。
さぁ、今回のヨンダも、このPoetry Monthに便乗、数ある詩の中でもかなり難解かつ奥深い(と思うのは私だけ?)
ソネット、それも大御所、シェイクスピアと参りましょうか。ソネットとは「小さな歌」という意味。とても厳しい押韻構成があり、特定の意味を持つ14行構造のうた。ウィキペディアの説明によりますと:『一般的な押韻構成は「a-b-a-b,
c-d-c-d, e-f-e-f, g-g」である。くわえて、弱強五歩格で書かれている。これは1行に10、もしくは11か9の音節があり、音節は1つおきにアクセントが弱く・強くなる。ソネットは14行でなければならず、最後の2行は(例外があるかも知れないが)押韻された結末を持っている。シェイクスピアのソネットでは、二行連は普通詩のテーマを簡潔に述べるか、あるいは、そのテーマに新鮮な見方を提示する。』なのだそうです。
これを読むと「。。。?」な一般人の筆者ですが、でもシェイクスピアのソネットを読み始めると、なんだか微妙なノリと頭の中に広がっていくイメージ、これがとても不思議な感触でして、なかなか楽しめちゃったりします。原本で読むと、古典英語の数々に頭がいたいですが、簡単な現代英語になっているものにすると、以外とすらすらと読めるのも事実。もちろん、内容は愛情、友情、生活、アート、、、でもやっぱり愛情、ですね。そうです、どの時代も「愛」が一番語られるのです。シェイクスピアが45歳の時に書き終えた154編のソネット、152編までは彼の’青年に対する愛情’を。そして最後の2編は’ダークレディと呼ばれる女性への愛情’を表現していると言われています。
というわけで、さっそくそのソネットの中でも、筆者が特に気に入った2編ほどご紹介。全てを理解しなくてもいいのです。シェイクスピアの深い感情と巧みな言葉遊び、そして、詩を創りだす心の情熱を感じ取ってみてください。
SONNET
18 − William Shakespeare
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Shall
I compare thee to a summer's day?
Thou art more lovely and more
temperate:
Rough winds do shake the darling
buds of May,
And Summer's lease hath all too
short a date: |
君の穏やかで愛らしい姿は
夏の日と比べても勝るもの。
5月の強い風に揺らされる美しいつぼみは痛々しく、
短い夏のはかなさがあっけなさすぎる。 |
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Sometime
too hot the eye of heaven shines,
And often is his gold complexion
dimmed,
And every fair from fair sometime
declines,
By chance, or nature's changing
course untrimmed: |
時に、天からの贈り物のようなあつい瞳は輝き、
かと思えば黄金に輝く肌が曇りをおおう。
いつかは失っていくその美しさ
偶然だろうか、自然の摂理だろうか。 |
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But
thy eternal summer shall to fade,
Nor lose possession of that fair
thou ow'st,
Nor Shall death brag thou wand'rest
in his shade,
When in eternal lines to time
thou grow'st. |
しかし、君は永遠の夏、色あせる事はない。
君の美しさはいつまでも君のもの
死神だったその美しさを抹消する事はできない
永遠の詩の中で、君の美しさはしっかりと生き続けるのだから。 |
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So
long as men can breathe or eyes
can see,
So long lives this, and this gives
life to thee |
人が息をし、目が視野を持つ限り、
この詩は生き続け、君は命をあたえられるのだ |
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■thee
& thou: 古い言い方で、You. 親しみをこめて使う場合が多い。 |
■art:
古い言い方で、are |
■temperate:
温和な、おだやかな |
■lease:
契約 |
■hath:
古い言い方で、haveの三人称単数 |
■complexion:
肌のつや、顔色 |
■ow'st;
owest |
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