去年NIH(National Institute of Health)が新しいコレステロールの基準を発表しました。今回のレポートはコレステロールと心疾患、脳疾患、その他の病気との関連性をさらに強調し、幾つかの新しい基準が出来ました。
現在米国では約6億5千万人の人々がコレステロール値の高い高脂血症とみられています。その半分以上が治療対象となります。この数は約5人に1人となりますので、これを考えるといかにアメリカで心筋梗塞が多いかが納得できると思います。日本人の間でも心疾患は急上昇している為、今後のコレステロールのコントロールが重要となります。
コレステロールは高ければ高いほど、心疾患のリスクが上がり、また高いまま放置しておく期間が長ければ長いほどリスクは上がります。よくまだ若いから心配ないという声を聞きますが、若いうちからコレステロールが高いということはそれだけ今後のリスクが高くなることになります。
今回のガイドラインは20歳になったらコレステロールの検査を始めるという事です。また、新しい基準では今までそれほど重視されてなかった中性脂肪値も危険因子として認められましたので、総コレステロール、悪玉コレステロール(LDL)、善玉コレステロール(HDL)、中性脂肪をまとめて調べてください。
コレステロール治療の基本は以前と変わらずLDLの数値で判断します。LDLの正常値は、それぞれの持っているリスクの度合いによって違って来ます。このリスクは下記の危険因子をいくつ持っているかによって判断します。
HDL40未満 また、HDLが60以上ある場合は危険因子が1つ減ります
HDLは今までは35以上を目標にしてきましたが、今回からは40以上となりました。
危険因子が1つ以下の方がLDLを160未満を目標
危険因子が二つ以上の方はLDLが130未満
すでに心疾患を患っている方はLDLが100未満
今回で大きく変わった事は糖尿病の方は心疾患を患う可能性が非常に高い為、LDLを100以下に下げる事が勧められています。つまり糖尿病の方は心疾患を患っている方と同様にコレステロールを厳しく下げる必要があるということです。
治療法は基本的に3つありますが、
どの場合でも、3ヶ月間の食事療法でLDL数値がどの程度変化するかは見る価値があります。但し残念ながら体質的に数値が高い場合(家族性高脂血症)、食事療法だけで目標まで下げるのは難しいようです。現在のLDL数値が30以上目標を上回っている場合は、薬の投与が必要となる事が多くなります。
生活改善は運動量を増やす、体重を落とすの二つです。また繊維質を多くとるという事でも多少はコレステロールを下げる効果があります。
また、スーパーなどで売っているBenecolも効果があるようです。これはバターの代わりに使う物で、作用としては腸内でコレステロールの吸収を抑制するという効果をもっています。特に副作用はなく、多少バターに比べると味は落ちると思いますが、これを日常の食事に取り入れるのも1つの方法です。
3ヶ月間食事療法、生活改善を試みてもLDLが目標までさがらない場合は内服薬療法の対象となります。
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