自律神経とは意志とは関係なく体内環境のバランスを保つ働きをし、交感神経(活動する神経)と副交感神経(休む神経)という相反もしくは協力しあう働きをする神経で出来ています。日常の状況によって交感神経が優位になる時もあり(運動中、緊張時等)、副交感が優位になる時(眠中)もあります。自律神経は体の全てに影響しますので、このバランスが崩れると様々な症状が現れます。
原因は複数の問題が複雑に絡み、最終的に自律神経にたどり着くと考えられます。
1) | 環境の変化(転職、引越し等によって起こる環境や人間関係の変化に対応できない等) |
2) | ストレスに弱い性格 |
3) | ストレスに弱い体質(ストレスが溜まると下痢になる、胃が痛くなる等) |
4) | 生活のリズムの乱れ(夜更かし、不規則な食生活) |
5) | 過度なストレス |
6) | 女性ホルモンの影響 |
自律神経失調症は小児から成人、高齢者まであらゆる年齢にみられる病気ですが、女性の方が男性よりも多く、30歳前に起こる事が多いようです。
自律神経は全身の器官をコントロールしているため、症状は非常に多彩であり、そのこと自身が自律神経失調症の特徴とも言えます。具体的な症状を幾つか述べますと、頭痛、耳鳴り、めまい、口の乾き、味覚異常、のどの異物感、息切れ、動悸、胸部圧迫感、発汗、排尿障害、肩こり、手足の冷え、手足のしびれ、食欲不振、男性機能障害、生理不順、不安感、注意力低下等さまざまで、「不定愁訴」と呼ばれます。
自律神経失調症は命に関る病気ではありませんが、本人にとっては大変つらい症状です。しかし周囲には深刻に受けてもらえ無いこともあり、また病院で検査を受けても内臓や器官の病気ではないので検査結果は全て正常と出る事が一般的です。このような事で更にストレスが増え、症状が悪化する事もあります。
また、その逆のパターンが多数の症状がある為、安易に自律神経失調症と診断されてしまう事も少なくありません。自律神経失調症は内科的病気で症状が似ている病気もありますので、診断を出す前にある程度の検査は必要です。
自律神経失調症の治療法はある程度時間がかかります。ストレスや生活のリズムの乱れ等が関連している事が多い為、身体と心の両面に働きかける治療が必要です。ライフスタイルの見直し(生活のリズムの改善、食事の改善、十分な睡眠時間、運動等)から始め、必要に応じて、カウンセリング、指圧、マッサージ等も効果的です。日常生活への支障が多い場合は抗鬱剤、精神安定剤の内服も効果的です。
このような治療を続け、この病気に関しての知識を深め、治せる病気だという事を理解して前向きに進むことが重要です。