やっと夏らしい季節となってきましたが、皆さんはこの夏をどの様に過ごす予定でしょうか?お子さんのサマーキャンプ・サマースクールなどで毎日送り迎えなどで忙しいママさんも沢山いるのではないでしょうか?少しでもお友達などと一緒に過ごせる時間などを作る事で、気分転換などができたらよいですね。今月は
毎月読者の方々からたくさんのご質問を受ける中、「産後うつとマタニティーブルーの違い」というトピックを取り上げてみました。
読者Lさんからの質問: アメリカ生活2年目で、半年程前に長女を出産しました。この4ヶ月程イライラしたり、憂鬱になり、すぐに悲しくなって涙もろくなります。人にも会いたくなく、友達のプレーデートなどのお誘いも最近では断っています。以前と比べて体力もなく、すぐに疲れてしまいます。子供が泣くたびにどうしようもないイライラさ、ここから逃げ出したい!などと母親として絶対に思ってはいけない事を思ってしまい、そんな自分に自己嫌悪を感じます。娘にもっと愛情をささげたいのに。。。と思うのです。主人は駐在員で、月の半分以上は出張で家にはいないので、全部自分で何から何までする事にも疲れを感じでいます。ココロが弱いからこの様に感じてしまうのでしょうか?
Lさん、お子さんのご出産おめでとうございます。女性の人生の中で出産という大きな節目になる出来事の中、幸せな気持ちで赤ちゃんを迎えてあげたいと思うのに、その気持ちとは反対に素直にそう思えないと感じるLさんも毎日辛いと思います。今までにない悲しさ、憂鬱さ、赤ちゃんに対して愛情を思う存分に注げない自分と葛藤しているママさんは沢山います。Lさんもお子さんが生まれてからの半年間はとても大変な毎日を過ごされている事と思います。今までに感じた事のない感情の波を経験したりしていると思うのです。Lさんの様に出産後に情緒不安定になるママさんは沢山います。今回は簡単にマタニティーブルーと産後うつの違いを少しご紹介したいと思います。
マタニティーブルーと産後うつは基本的に似たような症状が伴います。しかし大きな違いは一見両方とも同じように見えがちですが症状の重症さ、頻度、期間などで違いを区別します。マタニティーブルーと呼ばれる一時的な情緒不安定な症状は出産直後の2−3日から一週間後に発生するものですが、2週間以内で治まるものです。症状としては急な感情の浮き沈み、涙もろい、食欲の低下、睡眠困難、頭痛、疲れ、些細なことでイライラする、憂鬱な気分になったり不安感というものが主なものですが症状は悪化しません。マタニティーブルーの場合は症状がでても毎日の生活に支障をきたすと言う事が無いのが特徴です。この様な症状が出ているママさんは赤ちゃんが寝るときに昼ねや休憩時間を取り体を休めたり、周りの家族や友達にできるだけ手伝ってもらったり、パパにも協力してもらったり、他のママ友達と集まってわいわいして、気分転換をすることもよいでしょう。
産後うつとはマタニティーブルーにとても似ている症状ですが、症状は重症で長引き、見逃してしまうとどんどん症状が悪化していきます。Lさんの場合はたぶんこの「産後うつ」と呼ばれる症状を体験しているのではないかなと投稿を読んで思います。産後うつの症状としては、出産後一ヶ月ごろから発生します。産後うつは出産直後にすぐに出る人もいればその後3ヶ月後などに出る人とさまざまです。出産後から12ヶ月の間いつでも症状が出てその後も長く続くこともあります。症状の強度もマタニティーブルーと違い重いのが産後うつの特徴です。そして上記で書いたマタニティーブルーの症状の他に体がだるく何をするにもおっくうになる、楽しみの減少、絶望感、罪悪感、不眠症状、家族や友達から孤立する、重度の感情の激しさ、思考能力の低下、性に興味が無くなる、子供に対して愛情が沸かなかったり世話が出来ない、そして自分に対してもどうでもいいという思いになります。その他産後うつ病の中でも最も重症な症状として伴うものが妄想,幻聴や幻覚、錯乱状態や自分又は赤ちゃんに対して障害を与えることを考える症状です。この場合はたいてい出産後から6週間以内に出てきます。この様な症状がある場合は要注意が必要ですぐに治療を受ける必要があります。
産後うつの原因はこれ一つとはっきりとしているわけではないのですがいくつかの要因があります。うつ病は普段の生活のストレスや自身の脳の気質のアンバランスなどが原因といわれています。産後うつはこの要因の他に産後の急激なエストロゲンとプロゲストロゲンのホルモン低下やエネルギー代謝を作る甲状腺ホルモンの急激な低下などが気分の落ち込みの原因であると言われています。産後のホルモンの変化は妊婦だった女性が経験することですが産後うつを経験する女性はその中でも10%程だと言われています。産後うつにかかりやすい危険性の高い女性の場合は産後の急激なホルモン変化の他に、以前にうつ病又は産後うつにかかったことがある、重い月経前症候郡にかかりやすい、妊娠中の無理なストレス(早産・難産や病気など)、不妊治療での妊娠、突然の妊娠、ギクシャクしている夫婦関係などのストレスが挙げられます。産後うつの場合は症状が重い分、毎日の生活を乗り越えることが難しくなり自分自身だけでなく赤ちゃんの世話することすら出来なくなることがしばしばあります。
産後何週間経っても気分が優れない場合などはすぐに産婦人科の先生・主治医・精神科の先生そしてカウンセラーなどに相談することが大切です。早めの治療が産後うつから開放してくれる鍵になります。多くの場合は処方箋そしてカウンセリング治療で回復することができます。
自分の時間を作ること、友達や家族との交流を続けること、睡眠を十分にとり、栄養のある食事をするなど自分のケアにも十分に気をつけることも大切です。赤ちゃんはママの感情を読み取れると言います。自分のケアをすることで赤ちゃんへの対応も良くなるでしょう。そしてパパも家族が一人増えることで今までの生活パターンと違うというストレスからうつにもなる人もいると言われています。夫婦のお互いへの理解・サポートがますます必要になります。産後うつの症状を経験している理由はココロが弱いからでは決してありません。産後うつやマタニティーブルーは生理的な症状であり、誰にでも起こり得ることです。まずはマタニティーブルーと産後うつの違いを理解することで、早めの治療に一歩近ずくことになります。そしてなんだかちょっといつもと違う!と思うときは、待たずに専門家に見てもらう事が大切です。
これからもどんどんとご質問・ご希望などをお気軽にお寄せください。
asakohoichi@mindfulprofessionalcounseling.com
マインドフルプロフェッショナルカウンセリング
保市麻子