シカゴのRavenswood地区にある、本格的なナポリピザの名店「Spacca Napoli Pizzeria」をご紹介します。このお店はナポリの伝統を忠実に再現しているピッツェリアとして知られています。2024年には「世界のベスト100ピッツェリア」で93位にランクインし、さらにアメリカ国内の「トップ50ピザ」ランキングでは14位を獲得。その実力は折り紙付きです。オーナーのジョナサン・ゴールドスミス氏は、ナポリでピザ作りの修行を積み、その技術と文化をシカゴに持ち帰りました。彼はナポリのピザ職人協会認定の「ピッツァイオーロ（イタリア語でピザ職人のことを指す）」であり、ピザ作りを一生をかけて追求する芸術と考えています。毎朝、自宅からわずか4ブロック先にある店へ向かい、その日のピザ生地を丁寧に仕込むことが彼の日課だそうです。

店内にある薪窯は、ナポリの職人が手がけた特注品で、薪の香ばしい香りをまとわせながら、外はカリッと、中はモチモチの理想的なナポリピザを焼き上げます。また、ジョナサンの妻でありビジネスパートナーのジニー・サイクス氏は、レストランの2階にあるアートスタジオで創作活動を行っており、そのセンスはSpacca Napoliのインテリアや雰囲気にも反映されています。そのため、単なるピザ店だけではなく、アートと文化を発信する空間としても魅力を放っているのがこのお店の魅力です。

　シンプルながら厳選された料理が揃うメニューの中から、まずは前菜に「Polpo e Fagiolo」、「Insalata Mista」、「Arancini del Giorno」をオーダーしました。ほどよい歯ごたえを残して茹でた豆に、薄切りのジャガイモとチェリートマト、紫玉ねぎを合わせ、シンプルに塩とオリーブオイルで和えたPolpo e Fagiolo（タコと豆のサラダ）は、カラマタオリーブの香りが全体を引き締めています。珍しい食材の組み合わせですが、予想以上に相性が良く驚きました。また、グリルされたタコの柔らかさに、シャキシャキとしたセロリの食感のコントラストも良く印象的でした。Insalata Mista（ミックスサラダ）は、バルサミコの利いた甘めのドレッシングが特徴で、チェリートマトやオリーブがアクセントに効いたシンプルなハウスサラダです。トマトソース入りのライスコロッケのArancini del Giorno（本日のアランチーニ）は、真ん中にスモークモッツァレラチーズが入っているので、中からチーズがトローリと溢れ出てきます。こちらも、シンプルながらも奥深い味わいで美味でした。

　名物であるピザメニューからは「Capricciosa」と「Ben Essere」を選びました。「Capricciosa」はトマトソースに、乳牛のモッツァレラとプロシュート、マッシュルーム、アーティチョーク、オリーブがトッピングされた贅沢な一枚。薪窯で焼かれたピザは、ふっくらとした美しい焼き目が特徴で、テーブルに運ばれた瞬間に歓声が上がったほどです。アーティチョークの歯ごたえやマッシュルームの旨み、プロシュートの塩気が絶妙に絡み合い、ワインとの相性も抜群。「Ben Essere」は、全粒粉の生地を使用したヘルシーなピザで、ひと口食べた瞬間に全粒粉の生地の美味しさに驚きます。全粒粉のパンは重めの食感のものが多い印象ですが、ここのピザ生地は軽くてモチモチ。薪窯で焼き上げることで、この食感が実現されているのかもしれませんが、素晴らしい仕上がりに感動せずにはいられませんでした。トッピングにはビーツと乳牛のモッツァレラ、くるみ、ケール、フェタチーズが使われており、甘酸っぱいバルサミコソースで品よくまとめています。ビーツの甘みとくるみの食感も合わさり、素朴だけど滋味深さが交差する贅沢な味わいです。

　最後に、カフェラテとティラミスをいただきました。ティラミスは、マスカルポーネクリームとエスプレッソをたっぷり含んだレディフィンガーを層に重ねた王道の味わい。濃厚でありながら軽やかな口当たりで、食後の締めくくりにぴったりのデザートでした。

　Spacca Napoliは料理だけにとどまらず、ナポリの街角を思わせる温かみのある店内や、陽気なスタッフのホスピタリティ、そして目の前で薪窯にピザを入れる光景まで、訪れるだけでイタリア気分を味わえるのが魅力です。ピザを通してナポリの食文化を存分に感じられるレストランですので、シカゴの街角で、本場ナポリの味と雰囲気を楽しんでみてください。これから暖かくなる季節は、お店の前にもパティオ席が設けられ屋外でも食事が楽しめます。

(04/14/2025)

Polpo e Fagiolo（タコと豆のサラダ）は、珍しい食材の組み合わせですが、味、食感ともに予想以上の仕上がりで好印象	甘めのバルサミコビネガーで和えたInsalata Mistaは、チェリートマトやオリーブがアクセントに効いています	真ん中にスモークモッツァレラチーズが入っているArancini del Giorno（イタリアンライスコロッケ）
Capricciosaはトマトソースに、乳牛のモッツァレラとプロシュート、マッシュルーム、アーティチョーク、オリーブをトッピングしたもの	全粒粉生地を使ったBen Essereは、一口食べた瞬間に、全粒粉の香ばしい生地の美味しさに驚きました	イタリアンスイーツには、やっぱり風味豊かなカフェラテが欠かせません
ティラミスはマスカルポーネクリームとエスプレッソをたっぷり含んだレディフィンガーを層に重ねた王道の味	窓ガラスから差し込む陽光で、温かみと明るさを感じる店内	Bisazzaの美しいグラス製モザイクタイルでデコレーションされた特注品の薪釜