今回ご紹介する「Pavilion」は、ヨーロッパ料理をエレガントな雰囲気の中で楽しめる、お洒落なレストランです。バンケットに隣接したお店は、洗練されたインテリアにシンプルなテーブル・セットが品のよさを感じさせるもので、居心地よくゆったりと食事を楽しめます。

最初に運ばれてきたテーブル・サービスのパンは、酸味のあるライ麦の黒パンと、しっとりと柔らかいレーズン入りの白パンで、伸びのある上質なバターと一緒に添えられてきました。前菜にはスタッフのお勧めする、Combination Platterをオーダー。これはクリーミーなマッシュポテトをもっちりと柔らかい皮で包んだピオロギと、チキンスープをたっぷり吸った水餃子の様なダンプリングの２種類がお皿にのったものです。どちらにも爽やかなサワー・クリームと優しい酸味のホワイトビネガーが絡んでいて、さっぱりとした味わいですがお腹にどっしりくるボリュームがあります。

メインにはロシアを代表する料理の1つであるBeef Stroganoffと、Pavilion WrapのSmoked Turkey、それにお店のイチオシのChicken Tabakaを注文しました。サーロインを煮込んだビーフ・ストロガノフは、お肉が柔らかいだけでなくソースに肉汁がたっぷりいきわたっています。まろやかなクリーム・ソースは、ピリッと辛い胡椒と、風味豊かなニンニクの香りがきいていてリッチな味わい。ビーフ・ストロガノフの下には舌触り滑らかなマッシュポテトと、上にはカリカリのフライド・オニオンがのっていて、あわせて食べることで味の深みと食感の幅が広がり、飽きのこないコンビネーションが楽しめます。ハーブ風味のトルティーヤで、柔らかいターキー・ハムとレタス、トマトを巻いたラップ・サンドイッチは、シンプルな組み合わせですが、瑞々しい野菜とマヨネーズによって、ハムのスモーキーさとうまみが引き立っています。ロシアの家庭ではよく作られるというチキン・タバカは、コーニッシュ・ヘンを丸ごと一匹ソテーした料理で、程よいスパイスで味付けした甘酸っぱいトマトベースのソースをつけて食べます。鶏肉はフラットに開いているので小ぶりに見えますが、実際は食べ応えがあり、ガーニッシュにのったグリルド・アスパラガスと、薄くスライスしたビーツの素揚げチップスを合わせて食べるとすっかりお腹が一杯に。初めて食べたビーツ・チップスは、クランチーというよりは濡れ煎餅にも似た柔らかい食感でほんのり甘く、少し歯にくっつく感じがユニークでした。

食後のデザートに頼んだTriple Chocolate Mouseは、クリーミーでネットリとした食感のミルクチョコ・ムースと、甘くて濃厚だけど後味サッパリなホワイトチョコ・ムース、それに口溶けのよいダークチョコに粒粒のチャンク・チョコを閉じ込めたダークチョコ・ムースを3層にしたムース・ケーキ。3種類の異なるチョコレートを、フワッとしたムースとして一口で楽しめる贅沢さとリッチな味わいに、取材班も大満足なデザートでした。

店内はそれほど広くはありませんが、品のある装飾やセッティングに加え、女性スタッフのスムーズで丁寧な接客がとても素敵で印象に残りました。メニューにはキャビアを使ったアペタイザーや、刺身グレードのマグロを使ったツナ・タルタルの他、ヨーロッパ各国の家庭料理が色々と揃っています。郊外ではちょっと珍しい欧州料理の数々を、アップ・スケールなムードとともに、是非味わってみてください。

(01/27/2014)

テーブル・サービスのライ麦の黒パンと、レーズン入りの白パンはフンワリあったか。	水餃子のようにモチモチとしたピオロギとダンプリングが楽しめるCombination Platter。	ビーフの旨みいっぱいのBeef Stroganoffは、マッシュド・ポテトとフライドオニオンがアクセント。
シンプルな組み合わせだからこそうまみが引き立つPavilion WrapのSmoked Turkey。	ロシアの家庭でよく作られるChicken Tabakaは、コーニッシュ・ヘンを丸ごと一匹ソテーしたものです。	ミルクとホワイト、ダークの3種のチョコレートムースを重ねたTriple Chocolate Mouseはリッチな味わい。