現在、アメリカでの移民システムにはふたつの主な属性がある。ひとつ目は、移民に関する上限数があるということ、ふたつ目は、サブカテゴリーにおける移民の分類である。つまり、ひとつの移民カテゴリーが、ほかのカテゴリーにおいて割当数に影響を及ぼさないという仕組みになっている。
●一般的な家族のスポンサーによる申請(Family
Based Immigration)
まず移民局は、I-130とよばれる“Petition
for Alien Relative”の移民ビザ申請を許可しなければならない。これは親戚によって申請され、移民ビザ申請者との関係を証明するものになる。
国務省は、ビザの受取人がすでにアメリカにいる場合でも、移民の申請ができるか否かを通告しなければならない。移民ビザの状況は、国務省のVisa
Bulletin(travel.state.gov/visa_bulletin.html)で調べることができる。
受取人がすでにアメリカにいる場合は、ビザの割当数が利用可能になればAdjustment
of Status(現在のビザステータスから永住者のステータスへ変更する最終手続き)にて永住権の申請をすることが可能。もし、受取人がアメリカ国外に在住の場合は、手続きを行うアメリカ大使館に行く必要がある。
●資格
家族、親戚をスポンサーするための資格として、以下の項目を満たす必要がある。
- アメリカ市民、あるいは合法的な永住権保持者であり、最低生活水準よりも125%以上でサポートできるということと、ビザステータスを示す書類を提出しなければならない。
- アメリカ市民である場合、以下の外国人の親戚の移民ビザ申請をすることができる。しかし、本人との関係をきちんと証明しなければならない。
- 夫婦
- 21歳以下の未婚の子ども
- 21歳以上の未婚の娘・息子
- 既婚の娘・息子
- 21歳以上であればその兄弟・姉妹
- 21歳以上であればその両親
また、合法の永住権保持者であれば、以下の外国人の親戚の移民ビザを申請することができる。同様に、本人との関係を証明できなければならない。
●カテゴリー
移民ビザは優先システムにより、カテゴリーに分類されている。両親、配偶者、21歳以下の未婚の子どもを含むアメリカ市民の直属の親戚は、ビザ申請の許可が移民局で下りればビザ割当数を待つ必要はない。以下のカテゴリーに当てはまる親戚の人は、優先順位により、ビザが利用できるまで待たなければならない。
▼第一カテゴリー
アメリカ市民の21歳以上の未婚の娘・息子
▼第二カテゴリー
合法な永住権保持者の配偶者、21歳以下の未婚の子ども、永住権保持者の未婚の娘・息子
▼第三カテゴリー
アメリカ市民の既婚の娘・息子
▼第四カテゴリー
アメリカ市民の兄弟・姉妹
●雇用による永住権取得
アメリカで雇用をベースに永住権を取得する場合、いくつかの段階を通過しなければならない。
- 本人と雇用主が、合法的な永住権の資格があるかどうかを見極める。
- たいていの雇用ベースの場合、アメリカ人の雇用主が労働条件(フォームETA
750)の要求をし、その要求を労働省に提出する。労働省は、証明書の要求に関して、許可あるいは拒否の返事をする。
- 移民局は移民ビザの申請、I-140“Petition for Alien
Worker”を許可しなければならない。アメリカでの終身雇用のためにアメリカに呼びよせる雇用主は、この申請をする。しかし労働条件証明書が必要な場合は、証明書の許可が下りてから、移民ビザの申請をすることになる。雇用主は、移民ビザ受取人のためのスポンサーとなる。
- 国務省は本人がたとえアメリカにすでにいる場合でも、移民ビザ割当数が利用可能になるまで待たなければならない。
本人がすでにアメリカにいる場合でも、ビザが利用できるようになれば、永住権申請のため、前述のAdjustment
of Statusの手続きをする必要がある。もし移民ビザが利用できるようになれば、本人が海外に在住の際は、知らせを受けアメリカ大使館にて手続きを完了することになる。
●資格
雇用ベースの永住権取得は合計5つのカテゴリーに分かれている。
▼第1カテゴリー(EB-1)
-科学、芸術、教育、ビジネス、運動選手の分野で並外れた才能を有する人
-著名な教授、研究者
-多国籍企業の重役と管理職
▼EB-2,
第二カテゴリー
-科学、芸術、ビジネスの分野で優れた才能を有する人
-高等教育学位(修士・博士)を持つ人
-アメリカで免許のある医者
▼EB-3,第三カテゴリー
-学士を有し、それを要する専門職に就く人
-専門職に従事する人(2年以上の訓練、または経験が必要)
-技術不要労働者
▼EB-4,
第四カテゴリー
-宗教活動者、聖職者
-アメリカ政府で特定の職に就いている、あるいは就いていた人
▼EB-5,
第五カテゴリー
-移民投資家
●(労働条件証明書)(Labor
Certification)
外国人の労働条件証明書とは、アメリカ人労働者の賃金、労働条件に影響を及ぼすことなく、その仕事を成し遂げる最低条件でさえも、アメリカ人にはその任務を行うことができないということを証明するためのもの。
●PERM(Program
Electronic Review Management System)
2005年3月28日よりPREMプログラムを通して雇用主はオンラインで労働条件申請書申請をします。このプログラムを使用することにより、約45−60日で労働条件申請書が許可され、以前に比べ大幅に時間が削減されるようになりました。しかしながら、PERMプログラムは非常に複雑であり、注意深い準備と規則の理解が必要を必要とします。
●永住権抽選プログラム
(DV Lottery)
応募資格のある国から毎年5万人に永住権(グリーンカード)が抽選で与えられるという、アメリカ国務省によるプログラム。DV-2005からはオンラインのみの受付となった。応募するには、出生国がアメリカ政府がリストしている対象国でなければならない。ちなみに、日本は応募対象国となっている。
また基本条件として、学歴と職歴を満たしていることが必要。12年間の中等教育終了(高校卒業)と同等のレベルを満たしていること、あるいは過去5年間に最低2年以上の経験を必要とする職業に就いていたことが求められる。
●住所変更届(AR-11)
アメリカに在住するすべての外国人は、住所変更届の提出が義務付けられている。引っ越しをした10日以内にForm
AD-11という書類を提出しなければならず、とくにこの書類は、移民局に申請をして結果を待っている場合に非常に重要となる。さらに、移民局が本人に追加書類の提出を求める際やオリジナル書類の返却をする際に大切な役割を果たす。