ANA航空教室 2014
去る2月21日と22日に、ANAによる『シカゴ航空教室』が双葉会全日校と補習校の生徒を対象に行なわれました。生徒達の憧れのパイロットさんやCAさん、そして裏方で安全な旅を支えてくれる整備士さんの珍しい話に生徒達は熱心に聞き入っていました。
最初のレクチャラーは整備士の有賀
さん。彼からはまず現在ANAが所有している6種類の飛行機についての紹介がありました。中でも最新機材である787の説明では、LEDで機内の照明をレインボーカラーにすることが出来たり、窓が従来の1.5倍もあること、エンジンの騒音防止の為に噴射口がギザギザにデザインされていることなどが紹介されると生徒達から驚きの声があがりました。そんな生徒達が一際大きな歓声をあげたのは、ガンダムやポケモンなどの特別塗装機がモニターに映し出された時でした。そして、そのピカチュー・ジャンボの塗装が全て整備士による手描きで、その完成には実に18日を要した事を聞かされると思わず大人からも感嘆が漏れました。その他にも、安全な運航の為に日夜細かい整備が行なわれている事が色々と紹介され、整備士として飛行機を飛ばすという事の充実感を説いてくださいました。
次のレクチャーはパイロット歴37年のベテラン井野瀬機長によるものでした。飛行機の最高責任者として、スタッフと協力しながら乗客の安全を守る事への心構えや備えなどについて説明があり、中でも興味深かったのは、パイロットが搭乗時に持つフライトバッグの中身を見せて下さった事。その中にはパスポートや各国のお金、パイロット・ライセンスは勿論のこと、無線機の免許証や身体検査証明などがチャートと呼ばれる三冊の分厚いファイルと一緒に含まれていました。井野瀬さんによると、このチャートというものが最も大切なものなのだそうで、その中にはその日のフライトマップや計器の読み方、天気図など飛行に関するあらゆる情報が綴じこまれているのだそうです。ハイテク機材満載のコクピットでも一番大切なものは意外とアナログなんだな〜、と妙に感心してしまいました。そんなチャートだけでなく、独自の経験も参考にしながら、最も安全で揺れの少ない高度を常に選んで操縦しているのだそうです。ところで最近では女性のパイロットも増えているそうで、昨年放映されたミス・パイロットで堀北真希さんが演じたような女性パイロットはANAグループ内にも約20名ほどいるそうです。
最後はキャビンアテンダントの横山さんからの講義。まずはCAになる為の訓練についての話があり、中でも緊急時の避難については熱っぽくお話をしてくださり、スタッフの皆さんの安全に関する真剣さを感じました。そのままずっと真面目な話が続くのかな?と思いきや、そこはやはり日常的にお客さんと接することの多いCAさんだけにウィットに満ちた裏話や、こぼれ話などを笑いを交えて教えてもらいました。特に生徒だけでなく大人たちの笑いも誘ったのは「機内ではお化粧は濃いめです」と話してくださったこと。横山さんによると、機内は暗いので笑顔や表情が分かりやすいようにお化粧の濃さにも気を配っているのだそうです。「プライベートではこんなに濃くはないですよ」と強調しておられたのが印象的でした。
3人のプレゼンテーションが終わるとQ&Aタイムが始まったのですが、いつもながら双葉会の生徒さん達の積極的な姿勢には驚かされます。みんなが本当に元気よく手をあげて、子供らしい可愛らしい質問から、大人もビックリしてしまうようなシリアスな題材まで色々な質問が飛び交いました。「パイロットになる為にはどうすれば良いですか?」という質問には、「勿論、勉強や運動をして心身を鍛えることも大切ですが、飛行機を飛ばすという事はチームワークなので、パイロットにはスタッフ一人ひとりとしっかりとコミュニケートをする能力が不可欠です。そういう意味ではいっぱいお友達をつくるというのも大切です」という井野瀬機長の言葉を聞いて大きく頷いている子供達も見受けられました。
その後、787のモデルプレーンや、アンペルマンの特製バッグなどがあたるラッフルでひとしきり盛り上がったあと、参加者全員に文房具やファイルなどがロゴ入りの素敵なバッグに入っているギフトがプレゼントされて航空教室は幕を閉じました。こうした貴重な経験が、子供達が今後自分の進路を考える中で役立つであろう事を考えると、にこやかに笑顔で会場を後にする生徒達のことを少し羨ましく感じた一日でした。
住むトコ.COM編集部