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2008年6月、留学先のアルゼンチンの町ロサリオから世界三大瀑布のあるイグアスの滝へと出かけた。ロサリオからイグアスへはバスで18時間、約1200キロの道のりだ。6月と言えば北半球の日本やアメリカはもちろん夏だがアルゼンチンは秋が終わりを告げ、冬になったばかり。しかしイグアスはアルゼンチンの中でも最北、ブラジルとパラグアイに接していて蒸し暑いくらいだった。イグアスの気候は亜熱帯に属し、あたりは森というよりもジャングルのように木々が生い茂っていた。みたことのない変わった動物、カラフルな鳥、巨大な木々や鮮やかな草花。メインの滝を見る前から心を躍らせるような自然がイグアスには広がっている。
もちろんここの見所は滝、世界三大瀑布のビクトリア瀑布、ナイアガラの滝と並んで賞賛されている。実は「滝」と言ってもここの滝は日本のように一本の滝が流れ落ちているのではなく、何十、何百という大小様々な滝が流れ落ちている。その中でも一番巨大な滝、その名もなんと「悪魔の喉笛」。その名の通り、悪魔が水を飲んだかのように大轟音で高い場所から激流が流れ落ちる。あまりの偉大さにすべての人が言葉を失い、ただ立ち尽くす。もう感動という言葉だけでは表せないすばらしさがそこにある。見るもの全てを魅了する魔力がその滝にはあるような気がしてならない。
また、ここにはテーマパークや遊園地にも負けないアトラクションがある。それは「ボートツアー」。一見、ボートツアーというとただ滝の周りを見て周るのだろうと想像はつく。確かにそういったツアーもある。しかし是非とも参加してほしいボートツアーはアドベンチャーボートツアーといい、ツアーの初めは前述したように滝の周りを一周する。それで終わりかと思いきや、なんとボートが滝の中目掛けて全速力でつっこむ!滝の中はもう何が何かわからない状況で、自分がどこを向いているのか、息をしているのかもわからなくなるほど激しい水流が襲ってくる。目を辛うじて開けることができたが、自分の体すら見えないほどの水しぶきで、あたりは真っ白。もう自分が滝の中にいることすら忘れてしまった。
イグアスの滝。今までに名前すら聞いたことのない人が多いかもしれないが、ナイアガラの滝の何倍もよかったと見た人々が口にするように、この滝のすばらしさは見るだけでなく、実際に体感しないことには語れない。イグアスの滝は全ての感覚を使って体全体で感じることのできる世界でも二つとない壮大な滝なのである。
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