2014年度ぷれ〜り〜、最初の特集では、シカゴという大都市を造り上げている『エスニックタウン』をいくつか散策してみよう!という事になりました。車を使わずに,電車やバス、そして徒歩という方法で、まるで他国からやってきた移民の方たちが“はじめてやってきたアメリカ”を体験していったように、庶民の目線で、贅沢する事なく、本国に残していった文化を大切に守っていったように、あたたかい目で散策&体験して行きましょうか。
現在のアメリカ社会を語る時に「移民の国である」というのが掲げられます。世界各国からこのアメリカという新大陸に“夢と希望”を求めてやってきた人達が集まる人種のるつぼ。文化も歴史も言葉も食生活も違う人達で作りあげたコミュニティの強さに面白さ、これにはもちろん、私たちも“日系”という部分で十分貢献しているわけですよね。
▼グリークタウン
Greek Town
ゼウスにポセイドン、エーゲ海に、パルテノン神殿、そんなイメージがしてくるギリシャ。エルのブルーライン、UIC-Halsted駅を降りて高速道路の上を通る橋を渡る、
国旗にも使われている青と白の縞柄のポスターやお店のキャノピーが目につきはじめたら、そこがGreek
Townです。まずこのグリークタウンを散策するのにハブ(中心)となりえそうなNational
Hellenic Museum。“Hellenic”という言葉はギリシャ語”Ellinismos”から来ており、この語源は”ギリシャの人々の“という意味。まさにグリークタウンに有るべきして存在する博物館、なわけですね。
博物館の中では、ギリシャという国そのものの歴史や文化はもちろん(ヘラクレスやオリーブオイルやギリシャ神話、なんでもありです),
Greek-American達の 「どうしてアメリカへ?どうやって到着?新大陸での生活は?」といった観点から学べるようになっています。ギリシャ語のクラスや、修学旅行のためのプログラムも充実しているようで、筆者が訪れた日もたくさんの小学生達が所狭しと観覧を楽しんでいました。館内にあるギフトショップも必見ですよ。エーゲ海の青さ想像させる美しい色のジュエリーはもちろんギリシャ系アーティストさんの作品。オリーブオイルをふんだんに使ったお料理のレシピ本なども興味深い。
さて、博物館の担当者さんに「おいしいギリシャ料理が食べたい!」と伝えた所、まず帰ってきた答えが「じゃぁ、私の家にいらっしゃい!」(笑)。嬉しかったのですが、彼女の御仕事が終わる時間まで待てないくらいお腹が空いていたので、とりあえず近場で。アドバイスを受けて向かった先がここ、Greek
Islandsという何のレストラン。海のイメージいっぱいのレストラン、入ったとたん気の良いダンディなウェイターさん達が群がって来て、「おっと、これは良いお食事ができそうじゃん!」と察しましたね。
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筆者がどうしてもトライしたかったのがFlaming Saganaki
Cheese!ギリシャから輸入してきたクリーミーなチーズ、これをテーブル前で炎!ファイヤー!なんです。そしてサガナキ状態のチーズをピタパンに付けて食べる、最高?。やはりシーフードも、という事でチャレンジしたのがタコのグリル。アメリカではこの“シンプルにオリーブオイルでグリルした軟体動物”って意外と目にしませんよね?いやぁ、濃厚でも決して重くは感じない最高級のオリーブオイルに、塩、レモン、これだけでしっかり満喫できる一品。なーんかうるさいなぁ?と思ったら、ところどころで「Oppa!オパッ!」という声が聞こえてきまして、これはギリシャ語で「せーの!」とか「乾杯!」という意味。しょうがないので、私も気のいいダンディ達と叫びまくりましたけどね。最後はカタイフィという、おそうめんを揚げてシロップをかけたようなデザートにアイスクリームがトッピング。これにドロンドロンなギリシャ珈琲をペアリングすれば、もうあなたはジュディ・オングな世界(古いですね、ごめんなさい)。
お腹もハートも十分に満たされたら散策と参りましょう。あら面白い、いつもお世話になっているウォールグリーンズの壁に英語とともにギリシャ語が。ギリシャ系お惣菜やスウィーツでいっぱいのベーカリーや、ギリシャ教会の礼拝で使いそうなキャンドルを扱うお店を物色していると、いかにもギリシャ人っぽいおじちゃん達が3〜4人で街角で口論してたり(いや、単に喋っている)
公園の柱がさりげなーくパルテノン神殿のようなデザインになっていたり、アパートの入り口の壁に小さめでもオリーブの冠の絵があったり、異国情調はたっぷり。ギリシャ料理レストランがたくさんありますので、何度も足を運んで“あなたのお気にいり”を見つけるのもいいですね。
▼リトルイタリー Little Italy
イタリア系移民もたくさんいるシカゴ近辺、ですので、リトル・イタリーがあってももちろん不思議ではありません。あの悪名高い“アル・カポネ”氏もニューヨーク出身とはいえ、“シカゴのマフィア”としてその名が世界へ知られていますよね。ですので『リトル・イタリーって、なんだか恐い人達が多いんじゃない?マフィアとかギャングとかの裏取引があったりしない?』などと思われる方も多いようですが、いやいや、そんな事はまったくありませんでしたよ。それよりも美味しそうなイタリアン・サブや、パスタ・レストラン、ピザーラに囲まれて、
食い意地たっぷり、勇んで出発してみましょう。
シカゴ大学のキャンパス沿い、ユニバーシティー・ビレッジはTaylor通り東西(Morgan
とAshlandの間くらい)に歩いてみると、道路標識にイタリア系の名前がどんどん出て来ます。そしてピザやさんが増えてくる!学生街ですからね、ピザとビールは必須でしょう。さらに進んで行くと、なんとなく歴史的面影漂うレモネードやさんが。Mario’s
Italian Lemonadeは夏場は行列ができるスタンド、どちらかと言うとアイシーというか、シャーベットがちょっと溶けてジュースになった、という感触なんですが、シカゴの暑い夏の日々には最高、リフレッシュできる味!フレーバもたくさんで迷っちゃう。マリオおじさん率いる家族経営のお店、老いも若きもみんなに愛されているんです。赤・緑・白のイタリアっぽい色合いな建物も愛される理由、かな。
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さらに歩いて行くと、チーズやサラミ、ハムなどのコールドカッツが列ぶデリがあり、キャンドルが乗った小さな丸テーブルが道ばたに出ていて“いかにも!”なイタリアンレストランが目に入ってきます。その中でも、地元の友達に勧められたのがTufano’s
Restaurant。メニューも良く見ずに、とにかくオーダーした(するように言われた)のがエッグプラント・パルメザン。ラザニアのようなパスタに茄子&チーズがたっぷり、そしてホームメイドのトマトソースが全てをまとめるがごとくドバーっ。これぞイタリアンおふくろの味!マンマミーア!
テイラー通りから若干北に入りますが、その価値大ありです。
National Italian American Sports
Hall of Fame は、スポーツ界で活躍したイタリア系アメリカ人を讃える博物館。アンドレッティがインディ500で運転したレースカーや、ビオンディが水泳で獲得したオリンピック・ゴールドメダルも見る事ができます。そうか、ジョー・モンタナ(フットボール)も、あのロッキー・マルシアノ(ボクシング)もイタリア系だったんだぁ。筆者が個人的に嬉しかったのはヨギ・ベラ(野球)の功績がきちんと評価されている(ジョークのセンスも讃えてあげてね)事。
道を挟んだ噴水公園には、ジョー・ディマジオ(野球)の像があります。ヤンキーズで活躍した彼は、マリリン・モンローの旦那さんとしても有名。9ヶ月という短い結婚期間でしたが、新婚旅行で日本にも来日。
▼メキシカンタウン Mecican Town
リトル・イタリーの雰囲気を楽しんだ後、さらに南下して18番通りまで向かうと、スペイン語の標識が増えてくる。聞こえてくる言語も「オラ!コモエスタ!」、そうです、Pilsen地区にあるメキシカンタウンへ到着。英語に続いて第2の公用語としても理解されているくらい南米からの移民が多い米国、もちろんシカゴ近辺もヒスパニック系の方々は多々いらっしゃる。美味しいメキシカン料理が楽しめる、ラティーノ・アートが見れる、メキシカン・ホットチョコレートが飲める、マリアッチの演奏も聞ける、筆者のテンション高まる、、、という流れとなります(笑)。
まずはCafe
Jumping Beansでホットチョコレートです!ぜひトライしたいのが”Screaming
Beans“と呼ばれる代物。これは普通のホットチョコレートとはちと違い、エスプレットショットが入り、さらにこんもりとホイップが。これで元気の出ない人はいないでしょうね。さて、メキシカンの方々はとても宗教心が強いのでしょう、18番通りにはカラフルな雑貨屋さんがたくさん列んでいますが、どのお店にもカトリック系教会でよくみかけるキャンドルや偶像の類い、お供え物系、ロザリー、などが所狭しと並べられています。かと思えば、フーターズのような格好をしたエロ系おねえちゃんポスターで“コーリングカード”を宣伝していたり、メキシコ料理にはかかせないチリやスパイスの類いが山盛りになっていたり。
郷に入れば郷に従え!がモットーのエスニックタウン巡り、やはりここでも雑貨屋さんのおばちゃんに聞いてみました「どのレストランで食べるのがいい?」と。すると「Nuevo
Leon!列ぶと思うけどね、でもその甲斐はあるからね。」ですって。向かってみると、やはり列んでいる。しかも11時という時間なのに。お客層は、いかにもヒスパニック系のご家族やカップル、と同時に“スペイン語はタコス、エンチェラーダ、ナチョス、しか知りません”という感じの方々も(筆者も)。でも待っている間もなかなか楽しい、物売りがやってきて、怪しい“なんちゃってスヌーピー”人形を売ろうとしたり、回りには鮮やかな色合いのかわいい家々が列んでいて、昭和初期の映画宣伝看板を思わせるような壁画があったり、と飽きないんです。
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さて、やっと順番が来て店内に入ってみると、あらまぁ、良い意味で“田舎の大衆食堂”的な雰囲気!ワイワイガヤガヤ、眉毛のお化粧濃いめのサーバーさん達が忙しく働き、ホームメイド・トルティヤの入れ物が飛び交い、英語はあくまで第2言語の世界。これよ、これを求めていたの!という感じ。メキシコの焼き肉、とでも言うべきCarne
Asada、これにできたてのトルティア、スパニッシュライス、ビーンズに、メキシコ風ピクルスのようなもの、そうそう、モレソース(チョコレートソース)も忘れずに。お飲物にはぜひHorachaというアーモンドやゴマ、そしてお米などからできている甘い飲み物を。なんとも懐かしい味、でして、ぴりっと辛いメキシコ料理との相性が最高。こちら、クレジットカードは利用できませんので、キャッシュ持参で。でもお値段とーってもリーズナブルです!
市民の憩いの場、ハリソンパークにあるのがNational
Museum of Mexican Art 。昔から鮮やかなそしてちょっとコミカルな雰囲気もあるメキシカンアートが好きだった筆者はもちろん足を運びました。まず、太っ腹なのが『無料』という所。もちろん、寄付金は募っておりますが。そして外観のタイル使いがとても素敵。まるでマヤ文明を思い浮かべさせるような高尚&アーティスティック&神秘的なデザイン。展示内容は変動するようですが、特に気に入ったのは、『死者の日』にちなんだアート。“死”を象徴するガイコツちゃんが主流テーマとして、装飾品になってたり、絵になってたり、しまいには、砂糖や焼き菓子など食品を利用してニコニコしたガイコツちゃんになってたり。これならあの世も楽しそうじゃん、って思えるくらい色鮮やかで楽しいガイコツ・アートの数々に元気づけられました。
▼リトル・インディア Little India
アジア勢も負けてはいませんよ、かなり大きなインディアン・タウンがDevon
通りを中心に広がっています。エルのレッドラインLoyola駅、そして#155バスに乗ってみてしばらくすると「え?ここはどこ?」な雰囲気が
。艶やかなサリーを着たマネキンがいっぱいのショーウィンドー、サンスクリット語で書かれた看板、ターバンを巻いた人やヒジャブという頭に被るベールをつけた女性達をみかけるようになったら、そこで下車しましょう。Welcome
to Little India。
このデボン通りは、昔から非常にインターナショナルなエスニックタウンとして存在、正統派ユダヤ教の方たちや、アフリカ系、ロシア系の方たち、そして現在はインド、パキスタン、あるいはバングラディッシュといった国からの移民で成り立っている場所。まずは地図を片手にカフェで珈琲でも、いや、ここではチャイティーでしょ、という事でTahoora
Sweets & Bakery へ。ミターイと呼ばれるインディアンお菓子の数々、見ているだけで嬉しくなる色や形。中でもひよこ豆からできているラドゥーというお団子とスパイシーかつ甘いマサラティーで作戦会議。インド版クレープ、とも言える、マサラドーサにマンゴラッシーも美味しかったなぁ。
突然ですが、インド人女性ってきれいですよねぇ。確かミス・ワールドなどにもよく選ばれていて、切れ長の目に良く手いれされている眉毛(繋がっている人もいるけど。実はこの“繋がり眉”、インドでは幸せの象徴らしい)に艶かしい唇。それでは私もインド人女性の美しさにあやかって、ビューティーサロンに参りましょう!という訳で、いくつも列ぶ美容室の中、一番お姉さんが親切(そう)な所でナマステ〜。30ドルでやってもらったのが、これ!ヘナです!本当は結婚式やその他御祝事の時に行うそうですが、ま、いいでしょ、筆者にとっては『デボン通り』を訪れた事が御祝い。ちなみにこの装飾にかかる時間はほんの15分ほど。ヘナのペーストが乾く間はかなり不憫な思いをしますので、その後の予定を考えての行動をおすすめします(あとで反省&後悔したのは私)。
さて、この近辺の歴史や文化をより深く教えてもらうために伺ったのがIndo-American
Heritage Museum。決して大きくはないけれど、インド系移民の方たちの歴史を残しコミュニティーへ伝承していくと同時に、アメリカに新しくやってきた方たちやそのファミリーへのサポートプログラムを提供している団体。
『デボン通りの店舗やレストランを回る』『インド系作家の本を対象にしたブッククラブ』『異文化交流をベースにした討論グループ』など、カスタマイズした企画を随時行っているようですので、興味のある方はこちらのウェブサイトから情報を。
白ナプキンにナイフ&フォークで食べるインド料理よりも、実際にインドにいるような気分で、オーセンティックな味を楽しみたい!せっかくインド人街にいるのだから、本場の味&雰囲気でいきましょう。ばっちりなのがKhaja
Nawaz Restaurant 。オーナーのキシャーさんとハイダーさんは南インド出身で大の食通、リーズナブルなお値段で地元民に愛されている“知る人ぞ知る”レストラン。テーブルは6つぐらいしかないけれど、シカゴ界隈でがんばっているタクシーの運転手さんなどがひっきりなしにテイクアウト・オーダーを取りにくる。そうかぁ、国が変わっても“タクシーの運ちゃん”達は美味しいお食事処を制覇している!ぜひチャレンジしたいのがChicken
65という名のメニュー。インド料理と中華料理を足して2で割ったような、若干スパイシーな鶏肉料理。これにビリヤニ(インド版パエリア)やモチモチしたパン、パラサを合わせたら言う事なし!そうそう、羊肉がお好きな方、ここのマトンカレーはとても美味ですよ。
▼スウィーディッシュタウン Swedish Town
お洒落なカフェや新鋭レストランが多い事でも知られているアンダーソンビル界隈。昔から北欧の、特に“スウェーデン人街”として存在している事で有名、イリノイ州だけでなく中西部の他州からも、たくさんのスカンジナビア系の方たちが文化イベントやお買い物などで足を運んでいる場所なのです。まずはここ、Clark
St.にあるSwedish
American Museum へ行ってみましょう。 博物館の近辺には「青と黄」のデザインカラー、そして“クローネ”と呼ばれる黄色の冠模様が。ギフトショップに直行(さすが北欧のクラフト、女の子に人気がありそうなかわいいものが揃ってます!)したい気持を抑えて、まずは博物館内で歴史や文化のお勉強。2階では「移民の歴史」をメインに、等身大のマネキンや実際に利用されていた家具や用品たっぷりで展示中。実は筆者の家族はスウェーデン系「あ、これおばさん家にあったのと同じ。」や「我が家のプレートとデザイン一緒じゃん!」と妙な親近感を感じつつの観覧。さらには「ウォールグリーン氏もノードストローム氏も、こんな風にアメリカにやってきたのねぇ。大成功してよかったねぇ」と納得。
3階のターゲットは“お子様”です。ハンズオン形式で子供達がスウェーデンでの生活を疑似体験できるような作り、丸太小屋やボートもあり、農家の一角ではキッチン用品や農作業用品に触れたり、伝統的な衣装に身を包んだりもできます。子供達が飽きないで楽しめる(そしてそんな様子を見て大人達も飽きずに楽しめる)ようになっている所が賢い。奥にはレクチャールームや図書館、スウェーデン語教室などを含め様々なワークショップを開催しているスペースも。1階の入り口付近に戻ってくると、イベントスペースで『北欧男性コーラス』が始っていまして、
スウェーデン語の素敵な歌声で歓迎してくれました。筆者はお父さんを思いだして胸が熱くなる一瞬。北欧風土マーケットや夏のイベント、ユールフェスティバル(クリスマスイベント)などの企画もももりだくさんの博物館。
お腹が減ったらAnn
Sather Restaurant で伝統的なスウィーディッシュ・パンケーキを食べもよし、副菜にポテトソーセージもいいですし、そうそう、やっぱりミートボールもかかせない!かな。もっと簡単に軽食で甘いものだけ、という場合はEricksen’s
Delicatessenや、Swedish
Bakery へ。サフランやカーダモン、そしてマジパンがたっぷり使われている北欧のお菓子とコーヒー、そしてカウンターのおばちゃんの北欧訛りな英語、非常にノスタルジックな雰囲気で嬉しくなります。1860年代からたくさんの北欧移民がやってきた中西部ですが、今ではアメリカ国内に広がって生活されているようで、「スウェーデン人街」は規模的にはとても小さめくなった、と言えるでしょう。現在では北欧文化関係のお店やレストランだけではなく、エチオピア、ナイジェリア、ソマリアといったアフリカ系の移民の方たちやユーゴスラビアなど東欧系のヒントが効いたお店もみかけるようになりました。お天気のよい日などにレッドラインに乗り(Berwyn駅やBryn-Mawr駅が近いかな)美しい家並みを眺めながら散策したいエリアです。
▼ポーリッシュタウン
Polish Town
ブルーラインDivision
駅を降りてMilwaukee Ave. を南下してみると大きな教会が見えて来ます。ここはHoly
Trinity Polish Church、1870年代に作られた由緒正しいポーランド系教会です。こちらでの礼拝は英語とポーランド語で行われているので、日曜日になるとポーリッシュのルーツを守る家族達で賑わいます。礼拝堂の中はいかにもヨーロッパのカトリック教会、といった感じ、厳かさの中に美しさ、誇り、歴史を感じられます。
さらにミルウォーキー通りを南下し、Augusta通りの所にあるのがPolish
Museum of America。入り口はとても小さく、そして暗い。2階に上がってインターフォンを押してスタッフに鍵をあけてもらい、さらに1人で暗い階段を登って到着したのが、博物館のメインフロア。そこには、この博物館を守っているポーリッシュのおじさまボランティア達がニコニコと待ってくれていたのでした。一瞬“あれ?ここでいいのかしら?場違いだったかしら?”と思っていた筆者でしたので、この笑顔に助けられホッ!
シカゴ界隈のポーリッシュ移民達の歴史は長く深い。ですので実はシカゴの『ポーリッシュタウン』はいくつかの場所にあるようです。そうそう、シカゴ名物“ポーリッシュソーセージ”、これもやはりポーランド系の方たちの祖国の味、なわけでして。博物館内にはソーセージの展示はありませんが、ポーランド文化がたっぷり。民族衣装の各種に、お料理に使うハーブや家庭用品の展示。国民の95%以上カトリック教徒と言われるお国柄、キリスト教徒には大切なイースターのお祭り用デコレーション(特にエッグデコレーションは必見)、そして史上初のポーランド出身教皇であったヨハネ・パウロ2世のインフォメーションはかなり大々的に展示されています。『空飛ぶ聖座』などとよばれた教皇(世界中いろいろな場所へで訪問したので)はシカゴにも足を運んでいましたね。他にも小さめですがギフトショップや、階段の壁にたくさん飾られたポーリッシュ系アーティストによる絵画など、見所は満載です。
音楽への愛着も高い国民性、あの音楽家フレドリック・ショパンを生んだ土地ですからね。さて、この近辺にはChopin
Theaterという劇団/劇場がある事もご紹介しておきましょう。Polonia
Triangle : ディビジョン、アシュランド、そしてミルウォーキーの道で作られた三角形の部分が、昔からポーリッシュ移民達のたまり場だったと言われていますが、この一角にある小さなシアターにショパンの名前が付けられているのは偶然ではないようです。その昔は教会の儀式にも使われていたようですが、今ではメインステージ(200人収容可)やスタジオ部分(50〜100人収容可)にて宗教とは関係なく様々なイベントが多々行われています。ポーリッシュタウンならではの、東欧系シンガーやアーティスト達のサポートも数多く提供している劇団です。
博物館から西へ向かい、ウクライナ人街に入った所にあるのがKasia’s
Deli。東ヨーロッパ版餃子とも言える“ペローギ”やソーセージの各種、ポテトパンケーキ、サワークラフト、そして東欧ならではのクッキーやケーキなど、デリには祖国の味がたっぷり。そしてポーランド移民として合衆国にやってきてから“アメリカンドリーム“を成し遂げた女性の1人、とも言われるKazimiera
(Kasia) Boberおばさんに会えるかも。彼女は1970年台に祖国を離れてシカゴの地へ、大得意であった料理をもとにデリを経営、とくにその美味しいペローギで名を知らせ、現在ではシカゴ界隈東欧系移民のアイコンとも言える存在になったのでした。
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