肌寒い日が多くなってきたシカゴ。冬の到来は間もなくです。今回は「冬のスポーツ観戦」をテーマに“氷上の格闘技”アイスホッケーの入門編をお届けします。実に4年ぶりの登場となるキャラクター、“オイラ”ことゲンと兄貴が、初心者の方々にも分かりやすく(?)その魅力をたっぷりとお伝えます。
ゲン「いやあ、ホント、久しぶりっすねえ。読者の皆さん、ごぶさたっす。オイラが最後に兄貴と会ったのは01年の7月。アイスクリーム特集で一緒に4軒の店をはしごして以来だから、4年ぶりかぁ。あの時は朝から晩までアイス三昧。おいしかったけど、最後の店はさすがにつらかったなぁ。うっぷ。今思い出してもこみ上げてくるものがあるっすよ、うっぷ」
兄貴「おいおいおい、今回もまたお前の会話から始まったのかよ?こんな時は兄貴を立てるもんだぜ。少しは気配りのできる男になって帰ってきたかと思えば、期待した俺がバカだったよ」
ゲン「あ、あ、あにきっ!こ、こ、これは失礼いたしやした。こういう場合は下っぱのオイラが話を切り出して、読者の心をつかんだところで、兄貴にバトンを渡した方がいいかと思いまして、自分なりに考えた末のことで…」
兄貴「じゃあ、さっさと終わりやがれ。このおたんこなす!」
ゲン「おたんこなす!?ずいぶん、懐かしいフレーズっすねえ」
兄貴「なにをーっ!このスットコドッコイ!」
ゲン「うへーっ!スットコドッコイ。面白いからもっと言って」
兄貴「このやろう、人をばかにしやがって。こうしてやるっ!」
ゲン「いてててっ。もう言いませんから許してください」
兄貴「わかりゃいいんだ、わかりゃ。で、今回のテーマは冬のスポーツ観戦だって?」
ゲン「そうなんっすよ。冬のスポーツと言えば、やっぱりアイスホッケーでしょう」。
兄貴「バスケットやフットボールも冬のスポーツになるらしいが、俺も一番に思い浮かぶのはアイスホッケーだな」
ゲン「氷上の格闘技。風のごとくリンクを駆け抜けるあのスピード、飛び散る氷のしぶき、息もつかせぬ鮮やかなテクニック、そして、流血もおかまいなしの殴り合い。静と動、柔と硬、そういう性格をあわせもつスポーツがアイスホッケーなんすよねー」
兄貴「そうだな。上と下、長と短、白と黒、えーっと、右と左、それから、それから、親と子!」
ゲン「ちょっと、兄貴、なにわけ分かんないこと言ってんっすか。オイラに対抗して相反する言葉を並べてどうするんっすか。それに親と子って全く意味ないっすよ」
兄貴「何言ってやがんだ。親子で楽しむスポーツ、それがアイスホッケーじゃねえかよ」
ゲン「う、うますぎるーっ。兄貴の言葉はホント、奥が深いっすね」
兄貴「よせよ、照れるじゃねえか。ところでよぉ、アイスホッケーってイマイチ分からないことが多すぎてな。日本でもどっちかっつーとマイナースポーツだろ?」
ゲン「チッ、チッ、チッ」
兄貴「なんだよ、ほっぺ膨らませて、エースのジョー気取りかよ。何が言いたいんだ」
ゲン「ところがどっこい、日本でもちょっとした話題になってるんっすよ」
■日本でも注目のアイスホッケー
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プライド |
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2004年1月から3月に放送された、フジテレビ「月9」ドラマ。アイスホッケー実業団チーム「ブルースコーピオンズ」のキャプテンを務める里中ハルと平凡なOL・村瀬亜樹の恋の行方を描く。友情や恋愛を描いた青春ドラマ。
≪脚本≫ 野島伸司
≪出演≫ 木村拓哉 竹内結子 坂口憲二
中越典子 佐藤隆太 MEGUMI
滝沢沙織 石田ゆり子 時任三郎
市川染五郎 佐藤浩市
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兄貴「話題だって?」
ゲン「日本では連ドラの題材にもなってて、木村拓哉が主演してけっこう話題になったんっすよ。確か、『プライド』っていうドラマだったような・・・」
兄貴「なにーっ。あのキムタクがホッケーの選手に。カッコいいじゃねえかよ。俺、嫌いじゃないぜ、キムタク。嫌いじゃないっていうか、好きかな。すごい好きかも。はっきり言ってゾッコン・ラブ」
ゲン「顔、赤いっすよ」
兄貴「いやーん」
ゲン「気持ち悪いっす。ホッケーの話題は他にもあるんですから」
兄貴「何があるんだよ?」
ゲン「今年は日本人初のNHLプレーヤーの誕生か、と注目された選手もいるんですよ」
兄貴「NHLと言えば、アイスホッケーでは世界最高峰の・・・、えーっと・・・」
ゲン「ナショナル・ホッケー・リーグ。日本語では、北米ホッケーリーグでしょ」。
兄貴「そうそう。アメリカ、カナダだけじゃなく、ヨーロッパ各国からもつわものどもが集まるあのNHLに日本人だって?」
ゲン「そうなんっすよ。名前は福藤(ふくふじ)豊。今年6月のドラフトでロサンゼルス・キングスから8位で指名されて2年契約を結んだんですよ」
兄貴「複数年契約を結ぶなんざ、大したもんだ。年齢は?ポジションは?」
ゲン「年は22歳」
兄貴「ジュル。食べ頃だな」
ゲン「よだれ垂れてますよ、兄貴。それに食べ頃って?兄貴はそっちのアニキだったんすか?」
兄貴「冗談だよ、冗談。さっさと続けろよ」
ゲン「ポジションはゴールキーパー。俗称ゴーリー。日本では史上最年少の高校3年生の時に国の代表に選ばれ、超名門のコクドでプレーしてた実力の持ち主っす。実は、去年もドラフトで指名されたんっすけど、ロックアウトで全日程が中止になり、仕方なしに違うリーグでプレーしてたってわけっすよ」
兄貴「その話は俺も聞いたことあるぞ。オーナー側と選手会側の労使協定が合意できず、開幕どころか、結局、シーズン全体が中止になったって話だろ?」
ゲン「野球、アメフト、バスケと合わせた北米4大プロスポーツの中では史上最悪の事態。それでなくても、他の3つに人気は押されっぱなしなのに、ファンを無視した結末にはホント、がっかりさせられたっすよ」
兄貴「だからこそ、今年のNHLへの注目度も高いってわけだな」
ゲン「その通り。ちなみに、福藤選手はキャンプ中に左足つけ根を痛めたことも影響して、下部組織のAHL(American
Hockey League)のマンチェスターというチームで今季の開幕を迎えることになったんっす」
兄貴「それは残念だな。しかし、まだ22歳。勝負はこれから。しっかり経験を積んで一日も早く史上初の日本人NHLプレーヤーになってほしいもんだな」
ゲン「ところで、さっき兄貴が言ってた、ホッケーの分かりにくいところってどこなんっすか?」
兄貴「ほとんど全部だな」
ゲン「マジっすか?こりゃ困った。じゃあ、基本からいきますか」
兄貴「頼むぜ」
ゲン「ゲン様、知らないので教えてください、でしょ」
兄貴「いい加減にしろよ、このやろ。調子ぶっこいてっと承知しねえぞ」
ゲン「ひえーっ。では早速、兄貴のために基本中の基本から」
兄貴「おう」
■アイスホッケーの基礎知識
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激しい戦いの始まり FACE
OFF! |
ゲン「アイスホッケーの発祥の地はカナダなんっすよ」
兄貴「えっ!?北欧じゃないのかよ。ヨーロッパでのホッケー人気は絶大だって聞いたぜ」
ゲン「確かに、ヨーロッパでは国技になるくらい人気の高いスポーツなんっすけど、生まれはカナダ。1800年代後半に軍人たちが氷の上でフィールドホッケーを始めたこときっかけとなり、それが大西洋を渡ってヨーロッパ全土に広まったって言われてるんっすよ」
兄貴「ふむふむ」
ゲン「世界で最も競技人口の多いスポーツでもあるんっすよ」
兄貴「なにーっ!ワールドカップで世界中が盛り上がるサッカーよりも多いってのか?そいつは驚きだな」
ゲン「でしょ。で、プレーできる人数は6人。ただ、選手交代は基本的に自由。他の競技と違ってレフェリーにタイムを要求したり、プレーが中断した時じゃなくても選手を代えられるのが大きな特徴っすね」
兄貴「だから、試合中もベンチから人が出たり入ったりしてるわけだな。どおりで誰が誰なのかさっぱり分からんわけだ」
ゲン「ただ、メンバー構成は決まってるから、覚えておくとずいぶん分かりやすくなるっすよ。攻撃陣に当たるフォワードは3人で、それぞれの名称はレフトウィング、ライトウィング、センター。そして、守備陣に当たるディフェンスは、レフトとライトの2人、それにゴールキーパーが1人。1試合にベンチ入りできるのは20人+ゴールキーパー2人の計22人。キーパー以外の5人は攻撃パターンに合わせて2?4つのセットを組む。複雑な作戦がその中に組み込まれてるんですよ」
兄貴「パックをもったらゴールに突進するだけじゃないってわけだな。フォワード3人、ディフェンス2人、ゴーリー1人。こうしてポジション別に選手を見ると少しは分かりやすくなるな」
ゲン「試合時間は1ピリオド20分で、第3ピリオドまで。各ピリオドの間に15分のインターバルがあって、60分間戦っても同点の場合は延長戦。それでも決着がつかない時はペナルティショットでシューターとキーパーの1対1勝負。サッカーのPKと同じ仕組みになってるっす」
兄貴「なるほど、なるほど」
ゲン「では、ここで問題で?す!」
兄貴「ドキッ。なんだよ、いきなりテンション上げやがってびっくりするじゃねえかよ」
ゲン「アイスホッケー用語で試合開始を意味する言葉は?」
兄貴「うむむむ、いきなり難問じゃねえか。うーん」
ゲン「カチカチカチカチ」
兄貴「焦らすなよ。分かった!プレイボール」
ゲン「ブーッ、それは野球でしょ」
兄貴「キックオフ!」
ゲン「ブーッ、でも惜しい!それ、サッカー」
兄貴「ティップ・オフ」
ゲン「ブーッ、これまた惜しいっ。それ、バスケット」
兄貴「ハッケヨイ!」
ゲン「それ、相撲!」
兄貴「はじめっ!」
ゲン「柔道!」
兄貴「起立っ!」
ゲン「学校!」
兄貴「いただきまーす」
ゲン「それ、ご飯の前でしょ。ダメだこりゃ。答えは、フェイスオフでした」
兄貴「くそーっ。答えが鼻まで出かかってたのにーっ」
ゲン「汚いねえ。ちなみに黒いパックは硬化ゴムでできてるんだけど、シュートの時には時速150?を楽に越えちゃうから、グローブを着用しているとはいえ、体を張ってゴールを阻止するゴーリーの過酷さは相当なものなんっすよ。だって、リンク周辺を囲むフェンスにパックが直撃してが粉々になるシーンは兄貴も見たことあるでしょ?」
兄貴「あるある。お客さんもフェンスがあるからってよそ見してると大変な目に遭うってわけだな」
ゲン「そうっすよ。ほんじゃあ、ルールについて説明するっすよ。ここがやっかいなところ。これを乗り越えれば、アイスホッケーの面白さはグーンとアップするはずっす」
兄貴「どんと来いっ!」
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時速150キロを越えるシュートを喰らえっ! |
■反則あれこれ
ゲン「反則には、ペナルティが課せらられるものと課せられないもの、2種類があるっす」
兄貴「ペナルティを課せられない反則?」
ゲン「そう。まずはオフサイド」
兄貴「こりゃ、サッカーでも出てくる反則だな」
ゲン「言葉は同じでも、中身はちょっと違うんすっよ。アイスホッケーの場合、パックを持った攻撃側の選手を1とすると、2や3の選手は1より先にアタッキング・ゾーンに入ることができない、つまり敵陣のブルーラインを越えちゃうことを禁じられてるんっす。それをやっちゃうとオフサイドをコールされ、ブルーライン上でフェイスオフになるんっすよ」
兄貴「つーことは、パックを持った1がブルーラインを越えてしまえば、2や3の選手も自由に相手ゴールの前へ滑り込んだりできるってわけだな」
ゲン「飲み込み早いっすねえ」
兄貴「小林尊選手には負けねえぜ」
ゲン「それってホットドック早食いチャンピオンの小林君のこと?オイラが言ってるのは、理解力があるってこと。食べ物を飲み込むスピードが速いなんて一言も言ってないっすよ」
兄貴「わりい、わりい。誉めてくれてたのか、ありがとよ」
ゲン「もう1つ、ペナルティのない反則は、アイシング・ザ・パック。略してアイシング。さらにややこしいんでよーく聞いてくださいよ。これは、Aチームの選手がセンターラインの手前から出したパックが誰にも触れることなく、Bチームのゴールラインを越えた時のことを言うんっすよ」
兄貴「その場合はどこからフェイスオフされるんだ?」
ゲン「その時は、Aチームのディフェンシング・ゾーンまで戻ってからフェイスオフでプレーが再開されるんっす。ただ、ペナルティを課せられて人数が少なくなったチームはアイシングを取られないから、この反則を利用しながら防御することもできるんすっよ」
兄貴「なになに?ペナルティを課せられて人数が少なったチームが何だって?頭の中がごちゃごちゃしてきたぞ」
ゲン「まあ、落ち着いて、落ち着いて。深呼吸、深呼吸」
兄貴「スーーッ、スーーッ、スーーッ、スーーッ、ぐるじいよー」
ゲン「吸ってばかりじゃだめっすよ、吐いて、吐いて」。
兄貴「ハーーーーーーッ。死ぬかと思ったぜ」。
ゲン「じゃあ、このことは後で説明するとして、その前にペナルティが課せられる反則について説明するっす。基本的には、体やスティックを使って相手のプレーを妨害するものにはすべてペナルティが課せられるっす。ひじで邪魔するのがエルボーイング、3歩以上のストライドで相手に体当たりするのがチェッキング、相手をつまずかせるのはトリッピング、中でも凶器になりうるスティックに関する反則には厳しく、相手をひっかけるとフッキング、肩より高く上げるとハイスティッキング、枝の部分で相手を押すとクロスチェッキングになるんっすよ」
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氷上の格闘技とはまさに言葉通り!! |
兄貴「ほう。スケートを履いててスピードが出るだけに反則も起こりやすいってわけだな」
ゲン「ただ、アイスホッケーの醍醐味は、ボディチェックという体当たりが認めらているところにもあるんっすよ。反則ギリギリのラフプレー。体当たりで相手をフェンスに挟み込むなんてのは日常茶飯事。あの衝撃音は迫力満点っすよ」
兄貴「あれは見てる方も思わず声を上げてしまうほど、痛々しいものがあるな。それに、NHLでは殴り合いになってもレフェリーが止めない時もある。ヘルメットが脱げようが、ユニホームがちぎられようが、しばらく静観。終わった時は両者血だらけなんてこともよくある風景。あの時のアリーナの興奮ぶりはテレビの画面から伝わってくるものがあったな。アイスホッケーの見せ場のひとつだったな」
ゲン「やってる選手たちには気の毒だけど、見てる方は『もっとやれ!』ってあおちゃうんっすよね。ただ、そんなラフプレーには、必ず、ペナルティがあって、2分間、5分間、10分間、試合の残り時間全部など、反則の激しさによって退場時間が決められるっす。10分以上になると代替選手が認められるけど、2分間と5分間にはそれがない。(田口のように)退場を宣告された選手はペナルティボックスに入って時間の経過を待つしかないんっすよ」
兄貴「いい年こいたオッサンたちが、面白くない顔して小さな箱の中でイライラして待ってる姿って、どこかユーモラスなんだよな」
ゲン「本人たちは真剣なんっすからそんなこと言っちゃいけませんよ、兄貴」
兄貴「わりい、わりい」
ゲン「退場で選手を欠くのは2人まで。3人以上になると、反則を犯した選手の代替選手のプレーが認められるけど、先に退場した選手が時間を終えた後にペナルティボックスに入らなければいけないことになってるんっす」
兄貴「テレビを見ていると、『POWER PLAY』ってのが、画面の隅に出てる時があるけど、その状態のことを言うのか?」
ゲン「その通り。人数で有利に立ったチームにとってはパワープレイ、不利なチームにとってはキルプレイ(KILL PLAY)と呼ばれてるんっす。そうそう、さっき説明したアイシングには、不利なチームには適用されないというルールがあって、パックを奪うと攻めることなく、相手ゴールの向こうへ飛ばすことで時間を消化できるんっす」
兄貴「ほーっ。見えてきたぞ。アイスホッケーの魅力が見えてきたぞ。目の前の霧が晴れたって感じだな。ゲンよ、ありがと」
■NHLを見ずしてアイスホッケーを語ることなかれ
よくあるペナルティ |
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ゲン「お礼はまだ早いっすよ。アイスホッケーと言えば、NHL。それを見ずしてアイスホッケーを語ることはできませんぜ、兄貴」
兄貴「そうだったな」
ゲン「今季のNHLは10月5日開幕。さっきも言ったように、去年はシーズンが中止になったから2年ぶりの開幕ってわけっすよ」
兄貴「いやあー、楽しみだなー」
ゲン「チームはアメリカに24チームとカナダに6チームの合計30チーム。東西のカンファレンスにそれぞれ15チーム、それをさらに3つのディビジョンに区分けるんっすよ」
兄貴「シカゴにあるブラックホークスはどこの地区に入ってるんだ?」
ゲン「ブラックホークスは、西カンファレンスのセントラル地区で両隣の州にあるデトロイト・レッドウィングスとセントルイス・ブルースも同じ地区に属してるっすよ。どちらもプレーオフ常連の強豪チーム。シカゴだけが置き去りにされてるって感じっすね」
兄貴「困った問題だな。NBAのブルズも昨季は久々にプレーオフに出たんだから、頑張ってもらいたいもんだな」
ゲン「シーズンは来年の4月まで82試合を戦い、各カンファレンスの勝率上位8チーム、計16チームがプレーオフに進出するってわけっす」
兄貴「プレーオフ決勝のことをスタンレーカップと言うんだろ?優勝を決めてあのカップを頭上に掲げるシーンはいつ見ても感動的だよなあ」
ゲン「そうっすね。03?04年シーズンはフロリダにあるタンパベイ・ライトニングが球団創設11年目にして初のスタンレーカップを制覇したんっすよ」
兄貴「ところで、ブラックホークスの注目選手はだれなんだ」
ゲン「その質問を待ってたんっすよ。今年から新守護神としてシカゴのゴールを守るのが、2年前にライトニングを優勝に導いたゴーリーのニコライ・ハビブリン。オフにブラックホークスと結んだ4年2700万?という大型契約からもその期待の高さが分かるってもんですよ」
兄貴「そうなると後は攻撃陣だな」
ゲン「そこがちょっとばかし、心配なんっすけど。核となるのがセンターのタイラー・アーナソンっすかね。今季4年目の26歳。悪童としてよく知られてるだけど、今季は真のポイントゲッターとなってくれるとうれしいっすねえ」
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ブラックホークスの注目ゴーリー、ニコライ・ヒビブリン |
兄貴「レッドウィングスにスゴイ選手がいるってのはホントか?」
ゲン「スティーブ・アイザーマンのことでしょ?今季22年目の40歳。ゴールとアシストを足したポイント数1721は史上6位の記録なんっすよ。40歳といえば、ペンギンズのマリオ・レミューも同じ年っすよ。引退を撤回して01年に現役復帰した“スーパーマリオ”は史上7位の1701ポイント。2人とも将来の殿堂入りは間違いないっすよ」
兄貴「うひょーっ、40歳で現役!?そいつは驚きだ。ぜひ、生のプレーを見てみたいもんだなあ。そういやあ、日本人のおじいちゃんをもつポール・カリヤは日本でもかなり有名だよな」
ゲン「日系3世でミドルネームはテツヒコ。今季はナッシュビル・プレデターズでプレーするからシカゴやデトロイトにも来るっすよ。小柄だけど、抜群のスピードとしなやかさをもっていて、ゴールへの嗅覚もすばらしものがあるっす。必見の選手っすよ」
兄貴「いいねえ、いいねえ、他には?」
ゲン「スラッシャーズのイリヤ・コバルチャックは01年に18歳でデビューして以来、着実に力をつけて、前シーズンはついに両リーグ得点王(ポイントでは同2位)になった伸び盛りの選手っす。ライトニングのマルタン・サンルイは昨季最多ポイントを挙げた選手だし、アバランチのジョー・サキックはリーグ屈指の点取り屋だし、ぜひ見て欲しい選手は他にも色々といるっす」
兄貴「ほう、ほう、ほう。あとは、シカゴにあるもう1つのプロ・チームもなかなか強いらしいな」
ゲン「福藤選手がプレーする同じAHLにシカゴ・ウルブズがあって、彼らは98、00、02年にリーグチャンピオンになっている強豪なんっす。ホームの開幕戦は10月15日。アリーナはローズモントにあるから車でのアクセスも悪くないっすよ」
兄貴「今回は入門編とはいえ、アイスホッケーについて色々と知ることができて楽しかったぜ、ゲン。次の応用編はいつやるんだ?」
ゲン「そ、そ、それは・・・」
兄貴「なに口ごもってんだよ」
ゲン「前向きに検討するっす」
兄貴「なんだよ、その大人の対応は?水臭いじゃねえかよ。次に会うのは4年後だ、なんてうるう年みたいなことにはならないだろうな。前向きとか、あいまいな表現のはやめて、オイラに任せてください!と、びしっと言ってみろよ」
ゲン「はっ!オイラに任せて、ほにゃらららら」
兄貴「なんだって?最後のところが聞こえねえな」
ゲン「読者の皆さん、助けてー!」
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