たのしいね。がっこう。
先生、毎日楽しそうやなぁ〜!ちゃんと仕事やってる?』と、保護者の皆さんからよく言われます。『子ども達といっぱい遊んでますよ〜!』と答えますが、本当にそうなんですよ。毎日が楽しいんです。 ほら、遠足の前日って、わくわくするじゃないですか、それが日々続く感じなんです。『明日はどんな日になるんだろう?子ども達のどんな成長がみれるんだろう?』って、毎日わくわくしています。
先生という職業は、目の前にいる子ども達に知識を教える事だけが仕事ではないのだと私は思うのです。私も小さい頃、小学校の担任の先生が大好きで、『いつか、先生になろう!』って幼いながらに、心に誓っていました。 でも、振り返ってみると、先生の授業の風景はあまり記憶にないんですね。(ごめんね、先生...)でも、授業以外の場所で見る先生の人柄が大好きだったのを覚えています。すごい熱血先生で、遊ぶときは遊ぶ!叱る時は叱る!みたいな。その先生は子どもと『先生と生徒』として向き合うのではく、『人と人』として向き合ってくれていたのだと思います。
先生がいてくれたから、学校も、友人関係も全てが楽しかったですね。 先生は一人ひとりの能力を認めてくれたし、一人ひとりの子どもの長所を見つけて、『お前は、すごい!』って、持ち上げてくれました。でも、人としてやってはいけない事をすると、声を震わせ、本気で怒ってくれました。自分も先生の立場になってはじめて理解できるようになりましたが、先生は、本当に子ども達が大好きだったんですよね。 子ども達との信頼があったから本気で怒る事ができたし、一緒に笑い、一緒に涙して、喜びも悲しみも一緒に共感する事ができたのだと思います。
ある日突然、クラスのやんちゃ坊主がプチ家出をした時の事です。先生は翌日『俺、今から探しにいくから、お前達は自分達で勉強しておいてくれ!』って言って、だっ〜!って、探しにいっちゃったんですよ。探すあても無いのに... 。『生徒を残して...』って、今なら絶対に問題になるような行為かもしれませんが、先生は、クラスに残された生徒を信用し、『こいつらだったら大丈夫。』って信じていたんです。階段をものすごいスピードで駆け下りながら一瞬振り向き、『お願いな!』って。そんな先生の姿が強烈に心に残っています。
ある日の放課後、翌日の理科の準備を手伝ったことがありました。何度も何度もバケツで水を運んできては、流して、またやり直す。いつもは明るくひょうきんな先生が、黙々と、真剣に1回の理科の実験の為に、一生懸命準備をされているんですね。その姿を見て、先生頑張るなぁ...自分達、大事にされてるなぁ...って。子どもながらに感じました。
先生が大切に思っている事を子ども達に話す時、先生は必ず子ども達の目線で語りかけてくれました。上からではなく、同じ目線で、先生の考えていることを、わたしたちに『教える』のではなく、同じ人として、『伝え」ようとしてくれていたのだと思います。それは、本当の「心の教育」だったと今、思います。未熟者の私にはまだまだできない、心の教育を先生はしてくれていました。
幼稚園でもそうなんですよね。子ども達を叱る事もあります。その時は本気で叱ってます。大好きだから。『この次は頑張ってよ。先生、あなたの事いつでも応援しているから。』って抱きしめてあげます。子ども達、私の腕の中で『コクン、コクン』と無言でうなずく子もいれば、静かに涙を流す子もいます。それでいいんです。自分達を受け止めてくれるあげれる先生がいる。その事が子ども達にいつか伝わればそれでいいんです。今は幼くて理解できない事もあるけれど、『自分は愛されている』って事を子ども達に感じてほしいですね。愛情をもって叱られて流す涙は宝物です。昨日叱られた子どもから、翌日お手紙がきました。『たのしいね。がっこう。』にこにこ笑顔でくれました。子ども達の成長に、おもわず涙がこぼれます。叱られても楽しい場所、それが学校。愛されていると感じられる場所、それが学校。
20年前、子ども達を真正面から受け止めてくれた先生、一緒に笑い、一緒に泣いてくれた先生。子どもと一緒に成長する事の喜びを教えてくれた先生に、今でも感謝しています。 先生、ありがとう!