森の中の子ども達
『よし、いこう。』秋風に背中を押されるように、子ども達は水筒と着替えの入ったリュクを背負い車へ乗り込みます。シカゴのラッシュアワーをすり抜け、車を走らす事約10分。子ども達を迎えてくれたのは、青々と茂った緑の森。今日は森の日。子ども達は保育時間の大半を森で過ごします。
お友達と一緒に過ごす森は、子ども達にとってわくわくするもの。『先生、早く!早く!』と少し興奮している子ども達。森に詳しい園長先生はそんな子ども達に、『これは、ポイズンアイビーだよ。触らないようにね。これは、野バラだね。きっときれいなバラが咲くんだろうね。』と、優しく語りかけます。森の美しさを教えつつ、危険も子ども達に教えていきます。
森に入ると新しい子ども達の表情が見えてきます。 自然の中で過ごす子ども達の目は、新しい発見、冒険を目の前にきらきらしつつも、どこか緊張していて、身の周りの事を注意深く観察するようになるんですね。森の美しさ、偉大さに圧倒され、子ども達は自然と静かになり、五感を使い周りの状況を観察していきます。
森に行くときは、おもちゃは一切もっていきません。子ども達の遊び道具はすべて森が与えてくれます。 川辺に行って魚を見たり、葉っぱを船に見立てて流してみたり、枝を集めて秘密基地を作ったり、カエルを捕まえてみたり。子ども達は大きな丸太の上を注意深くよじ上り、その上でおやつを食べたりしています。大人達は、そんな子ども達の様子を遠くから見守ります。
私が幼かった頃に比べ、今の子ども達って、宿題の他にも、塾、レッスンなどで、忙しくお友達と関わって遊ぶ事が少なくなって来ているような気がします。近所で気軽に遊べるお友達がいればいいのですが、そうではないケースがほとんどです。子ども達が遊ぶときは、親同士が子ども達の遊ぶ相手、時間、場所をアレンジしなければいけない環境が増えて来た事に少し寂しさをおぼえます。そんな環境だからこそ、ゆっくりとした時間の中、緑の木漏れ日を浴びて遊ぶ子ども達の時間がとても貴重に思えてくるのです。いつかこの子ども達が大きくなって、『あの森で、お友達と遊んで楽しかったな。緑の森、きれいだったな。』と思い出してくれれば嬉しいですね。子ども達が子ども達でいられる時間をこれからも作り、見守っていきたいですね。
大きく育て!子ども達!元気に育て!子ども達!