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米国政府は、米国経済の更なる活性化に向けて、小規模ビジネスへの支援を積極的に進めております。その一環として、米国移民局も外資導入による米国経済活性化に力を入れており、先月11日にも、移民投資家用の永住権申請手続きに関する改訂版政策ガイドラインの草案を発表しました。今回は、昨今整備の進む、この移民投資家向け永住権の取得手続きにつき、概観します。
外国籍者が米国において一定額の投資をなすとともに、米国市民又は米国永住者10人分以上のフルタイムの雇用を創出ないし確保した場合、家族と共に永住権が認められます。このような投資に基づく永住権申請は、第五優先枠
(EB-5)として取り扱われます。
EB-5の下で米国永住権を申請するためには、原則として、以下のすべての条件が満たされる必要があります。
1. 投資対象となる事業は、1990年11月29日以降に立ち上げられた営利事業であること。この日以前から存在している事業に投資がなされる場合、その投資により、投資対象事業が再構築または拡大される必要があります。投資方法の如何にかかわらず、ポイントはその投資により「10人分以上の雇用機会を創出できる否か」にあります。すなわち、投資により新規事業を立ち上げても、その雇用が10人分の雇用を創出しない場合、投資家はEB-5に基づく永住権申請をなし得ません。また、EB-5の想定する投資対象事業は「営利事業」であるため、個人用の住居の購入や非営利事業を営むための投資は、EB-5の要件を満足する投資とは取り扱われません。
2. 投資対象となる事業へ最低100万ドルの投資がなされた、または投資がなされつつあること。これら事実を証明するためには、EB-5申請時において、事業のための資本全額が投資され、かつ、事業リスクにさらされていることを証明する必要があります。移民局規則によれば、「資本」とは、現金及び現金と同等のもの、生産機器、販売対象製品、及びその他の有体財産が含まれますが、申請者やそれ以外の第三者からの融資は「資本」に含まれません。
3. その投資により、米国経済が利益を受けること。
4. 米国市民又は米国永住者10人分以上のフルタイムの雇用を創出すること。
5. 投資のための資本金は適法に取得されたものであること。
6. 外国人の投資家は、投資対象事業の事業方針の決定に関与すること。
年間3,000のEB-5永住権は、移民局指定のリージョナル・センターにおける経済活性化効果のある投資をなす投資家のために確保されています。このリージョナル・センターへの投資によるEB-5移民ビザ取得のためには、「ターゲット雇用エリア(targeted
employment area)」に指定されている地域に、100万ドルではなく、50万ドル以上の投資をすることが必要となります。
EB-5が要求する「雇用の創出」は、投資により直接創出される雇用だけでなく、投資の結果として間接的に創出される雇用も含まれます。すなわち、外国人投資家自身が10人の米国市民又は米国永住者を雇用しない場合でも、投資の結果として、何らかの形で10人分の雇用が創出(一定の場合は既存の雇用の確保)がなされれば、「雇用創出」要件は満足されます。
EB-5により永住権申請が承認された場合、まず2年間有効な条件付き永住権が認められ、その後、条件解除のための滞在資格変更申請または移民ビザ申請を行うことになります。条件解除を申請する際には、上述の「10人分の雇用の創出ないし確保」に関する要件が、条件解除申請時において満足されていることを証明する必要があります。
EB-5の手続きに関する詳細は、移民弁護士にご相談されることをお勧めします。
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