7/2011
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米国永住権の維持と 再入国許可証に関するガイドライン
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多くの米国永住権保有者は、グリーンカードを取得した時点で、今後は自由に自国と米国の間を旅行したり、自国に引っ越すことができると思いがちです。しかしながら、米国永住権は「法律上の権利」ではなく、取り消し可能な「特典」に過ぎず、永住権保有者はあくまで「外国人」に過ぎません。そのため、永住権保有者は永住権に関する法令についてよく知ると共に、自らの永住権が取り消されることのないよう必要な手段を講じる必要があります。
1996年不法移民改正及び移民責任法(Illegal Immigration
Reform and Immigrant Responsibility Act)によれば、永住権保有者が外国から米国に到着した際、以下の場合に該当しない限り「再入国許可を求める」ものとは取り扱われません。
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永住権を放棄している場合。
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180日を超えて継続的に米国外に滞在した場合。 |
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米国出国後に違法行為をなした場合。 |
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退去強制手続が開始された後に米国を出国した場合。 |
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一定の犯罪を犯し、その犯罪に基づき退去強制処分がとられたにも関わらず、その処分が取り消されていない場合。 |
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入国審査官による入国審査を受けることなく米国に入国した(又は入国を試みた)場合。 |
この規則は「永住権保有者は6ヶ月毎に米国に戻れば永住権を維持できる」と解釈されがちですが、これは誤解です。米国に再入国する永住権保有者は、「米国に到着した外国人」として扱われます。「米国に到着した外国人」は、入国審査官による入国資格審査の対象となりますので、この過程において審査官が「この人物はかつては永住権保有者であったが、自らの永住権をすでに放棄している」と疑う場合、仮に米国を離れていた期間が180日以下であっても、その人物の米国入国が拒否される場合がありえます。場合によっては、米国を不在にしていた期間が180日を相当下回る場合であっても、入国審査官により「有効な移民ビザを所持していない自称永住権保有者」として入国が拒否されることもあります。
さて、永住権保有者は米国不在中も米国との十分な関係を維持していたことを立証することにより、自らの永住権を放棄していないことを証明することになりますが、典型的には以下の事実の存在を証明することになります。
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米国居住者としてタックスリターンを提出していたこと。
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米国内に家族がいること。 |
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米国内に郵便物の送付先があること。 |
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米国内に銀行口座を維持していること。 |
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有効な米国運転免許証を維持していること。 |
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米国内にて不動産を所有している又は事業を運営していること。 |
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外国滞在が限定的かつ一時的であったことを証明するその他の証拠を提出すること。 |
永住権保有者が米国を不在にする場合であっても、不在期間が1年未満であり、米国不在期間中においても米国との十分な関係を維持していれば、グリーンカードを再入国許可証として使用することができます。しかしながら、もし永住権者が米国を1年を超えて不在にする場合、米国出発前までに、再入国許可証(Re-Entry
Permit)申請書を移民局に提出し、指紋採取手続きを完了しておく必要があります。再入国許可証は、米国を離れる永住権保有者が永住権放棄を意図していないことを証明するための文書です。すなわち、有効な再入国許可証を所持する永住権保有者は、米国再入国時において、米国不在期間のみを理由として「永住権放棄あり」とされ、入国を拒否されることがありません。しかしながら、永住権者は仮に再入国許可証を所持して米国を発つ場合であっても、米国不在期間以外の理由により永住権放棄を疑われる場合がありますので、自らの永住権の放棄が疑われないよう、必要な手立てを講じることはやはり必要となります。
永住権保有者が再入国許可証を取得するためには、まずI-131書式(再入国許可申請書)を移民局に提出し、その後に移民局申請サポートセンター(Application
Support Center)にて指紋採取手続きを完了する必要があります。ここでご注意頂きたい点は、指紋採取手続きは、「渡米前」に完了する必要があるということです。そのため、米国を長期間不在にする予定がある方は、米国出発の相当以前に指紋採取の予約をが取れるように申請手続を進める必要があります。
再入国許可証の有効期限は最長2年間ですが、再申請をすることにより実質2年の延長が可能です。しかしながら、永住権保有者が、永住権取得日から再申請日までの期間又は過去5年間のいずれか短い方の期間中、合計4年を超えて米国を不在にした場合、再申請時に認められる許可証の有効期限は1年となります。
しばしば「再入国許可証を所持して外国に滞在していれば、その間は米国に継続的に居住しているものと取り扱われる」と解釈されている方がいらっしゃいますが、これは誤りです。例えば、米国帰化手続きにおきましては、再入国許可証を所持して外国に滞在していた場合であっても、その滞在期間が6ヶ月を超える場合、「米国における継続居住」要件が満たされないものとして取り扱われます(永住権それ自体については問題を生じません)。永住権取得後1年以上継続して米国に居住している永住権者は、N-470書式を移民局に提出することにより、「米国での居住」を確保することも可能ですが、このような措置を取れる場合は極めて限られています。
永住権保有者は、米国を発たれる際、帰米に必要な書類を携帯されるのが賢明といえましょう。海外旅行を頻繁とされる永住権保有者や米国を長期間不在にされる永住権保有者は、自らの永住権を確保する方法を弁護士と相談されることをお勧め致します。
Immigration Law Associates, P.C.は米国人との結婚ベースの永住権申請事例において、数多くの成功を収めてまいりました。
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