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外国籍の人が米国市民と結婚して永住権取得の資格を得るケースが増えています。しかし、申請中に別居や離婚をする永住権はどうなってしまうのでしょうか?
申請の仕組み
有効なビザ、またはビザウェイバーにて合法的に米国に入国した外国人に限り、米国市民との結婚による、米国での永住権へのステータス変更(Adjustment
of Status)が可能です。変更の申請は、申請者が住んでいる最寄のCIS(The
Citizenship and Immigration Services)に提出します。そこでの手続き申請が終わると、申請者とその配偶者に面接通知が届きます。面接がうまくいけば永住権、あるいは条件付永住権が与えられます。
条件付永住権(Conditional Permanent Residence)とは、永住権面接の時点で結婚期間が2年間以内の外国人に与えられるもので、まず2年間の永住権が与えられ、後にこの条件と取り除く必要があります。その際、再び面接が必要な場合があります。現在、シカゴのCISでは、永住権へのステータス変更まで約26ヶ月かかっています。
面接が行われる理由は、偽装結婚を見破るためです。CISは、外国人が永住権取得のためだけに米国市民と偽装結婚をしていないかを見極める必要があるのです。夫婦は、結婚が正当かつ継続されていることを証明するため、面接で多くの質問を受け、十分な書類の提出を求められます。
しかし、偽装結婚が頻繁に行われているのも事実です。また、最初は誠実であった結婚でも、その後うまくうかなくなり、別居や離婚に至ることもあります。このような場合でも、多くの外国人は永住権申請を引き続き望むものです。しかし米国市民は、その申請を却下できます。米国市民が却下すれば申請は無効となり(元)配偶者は、結婚ベースでの永住権取得の可能性があるか、弁護士と相談すべきでしょう。また、外国人が米国退去を言い渡されれば困難に陥るというような人道的議論が通用するケースも考えられます。CISへの嘆願申請で認められる可能性が高いのは、『結婚は当初、誠実なものだったが、結婚生活の中で残酷な虐待を受けた』というものです。(嘆願申請を行うのに、必ずしも離婚をしている必要はありません)
すでに外国人が条件付永住権を取得している場合、(条件付きでない)永住権取得の可能性は、はるかに高いでしょう。もし条件付き永住権を取得してから米国市民と別居した場合、その夫婦は条件付き永住権を取り除くために、2人で共同申請(Joint
Petition)を行うことが可能です。この申請には2人で面接を受ける必要がありますが、手続きは簡単に済みます。
CISが決断を下す前に米国市民が共同申請を取り下げた場合、嘆願申請ができます。もし米国市民が面接を拒否した場合、たとえ共同申請が取り下げられておらず、結婚が正当だったという証拠があっても、CISは申請を却下するので、嘆願申請をしなければいけません。もう一つの選択肢としては、共同申請を一切せず、最初から嘆願申請を行う方法があります。どのような選択肢があるか弁護士と相談すると良いでしょう。
有利な日本での申請
日本人が米国市民と結婚した場合、米国で永住権へのステータスを行うよりも日本で行った方が、条件付永住権の取得が早く可能となります。また、もし日本人がすでに条件付永住権を取得している場合には、(条件付きでない)永住権を取得できる可能性も高まります。条件付き永住権を申請する際に別居、離婚を予期していなくても、東京の米国大使館での申請をすれば、後に別居、離婚が起こった場合でも、自身のステータスを保持し、永住権取得ができます。
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(注意)この資料は、IMMIGRATION
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