不妊症にも鍼灸が有効であることは、様々な研究で証明されてきた事から米国では一般にも認知されています。ヨーロッパの西洋先進諸国でも、近年の不妊症の増加を背景に、西洋医学の不妊治療だけでなく東洋医学である鍼灸の不妊症など婦人科系疾患への有効性が注目されています。今回はその一部をご紹介します。
THE IRISH TIMES紙に2017年3月12日に掲載された記事で、「副作用のない鍼灸治療に目を向ける人が増えているアイルランドで、不妊治療や、妊産婦のケアでも鍼灸治療が普及している」と紹介されています。
記事の中で鍼灸師のハンナ・オコネル先生は、「体外受精を受ける人をサポートする鍼灸治療を行っており、患者さんが妊娠した場合、12〜16週間鍼灸治療を続けるように勧めている。妊婦特有の朝の吐き気には、手のツボへの鍼がよく効く。頭痛 睡眠障害や不安、便秘、骨盤痛、静脈瘤などに対応することで、妊娠中期を安定させることができる。妊娠中の症状緩和だけでなく、逆子になった場合は赤ちゃんが動けるスペースがあればお灸によって赤ちゃんを回すことも出来る。これまでの研究ではお灸による逆子の解消は48時間以内に80%の成功率」と述べています。
また、「古い格言に“予防は治療に勝る”とあるが、鍼灸治療には素晴らしい予防効果があり、妊娠を知ったときに鍼灸治療を開始することは、大切な時期における自分の健康への投資だと言える」、と述べています。
フランス・リヨンの地方新聞LE PROGRESに2016年11月9日に掲載された記事で、「ロワール地方の産婦人科病院のウジェ病院での鍼灸治療」が紹介されています。
記事の中で、「ウジェ病院では、1994年から鍼灸治療を取り入れ、現在では助産師らの協議によって全ての患者に鍼灸治療が提供されている。妊娠中は多くの女性が重度の吐き気、消化器障害、不眠症、ストレスなどを経験するが、鍼灸治療はこれらの症状を緩和する。お母さんの気の流れがよく体調がよいときは、赤ちゃんの機嫌もよい。鍼治療には副作用が少なく、薬の消費量を減らせる。これは妊娠中の女性には重要なメリットとなる」と述べています。
また、「出産の際には、鍼灸治療によって産気づくため出産のきっかけとなるだけでなく、子宮の収縮を緩和して出産時間を短縮する効果もある。出産後は、母乳が出やすくなり、産後に多く見られる痔の問題も鍼灸で軽減」と指摘しています。
そして、「不妊治療に鍼灸治療を取り入れてよい結果を得ている」と述べています。
日本でも、鍼灸ニュースレター No.7、2010年3月発行に掲載された、国立大学法人筑波技術大学保健科学部の形井秀一教授による「産婦人科疾患」と鍼灸治療という論文で、「1975〜97年の23年間に、これまで婦人科などに通院しても効果がなかった不妊症患者に対する鍼灸治療が164例報告され、そのうち77例(46.9%)で妊娠に成功した。不妊症に鍼灸治療を試みる意義はあると考えられる。」と紹介されています。
妊娠するためにも、妊娠してからも、出産後も、鍼灸は女性に安全で効果的な健康療法と言えます。灯台下暗しで、意外と日本人は東洋医学の真価を知らず、西洋医学を妄信しているかも知れません。是非、鍼灸をお試し下さい。