カイロプラクティックの診察においてX線写真撮影とその分析が導入されたのは1910年で、西洋医学より先に導入しました。 それは、カイロプラクティックが主に脊椎(背骨)を素手によって矯正するというケアの方法であるために、その矯正の対象である脊椎を出来るだけ詳しく調べることが正しい診断を出すためには必要不可欠だからです。
例えば、首の真後ろを指で触ると、特に首の下の方は出っ張っていて骨がすぐ皮膚の下にあるような感じがしますが、実際にはどうなのかご存知ですか。図1は首を横から撮影したX線写真を紙に転写し、皮膚から骨の先端までの距離を測ったものです。
皮膚のすぐ下に感じる下部頚椎ですら、C6(頚椎6番)で皮膚からの距離は水平方向で28mm、皮膚から最短の角度でも25mmと、指先から骨までは2.5センチ以上の距離があります。 そこには皮膚(外皮・真皮・皮下組織)や筋肉、靭帯、腱といった軟部組織があるのです。
遵って、触診だけに頼っては正確な脊椎の診断は出来ません。 それ故にカイロプラクティック界では、「何故X線検査をするのか。見るという事は、知るという事である。見ないという事は、推測するという事だ。我々は貴方の健康という大切な事に関して推測でやりたくない」という言葉があります。
按摩やマッサージのように筋肉を揉むのと違って、カイロプラクティックは脊椎を動かして矯正しますから、正しい診断と治療のためにX線検査で脊椎を見る必要があるのです。