医学誌「Sleep」2013年12月31日号に掲載された、スウェーデンのウプサラ大学のChristian
Benedict神経科学准教授の研究で、「睡眠不足は脳の神経変性を促進する」と報告しています。
この研究では、健康なボランティア15人を被験者とし、無作為に一晩徹夜させる群と、一晩に8時間の睡眠を取らせる群の2群に分け、血液検査によって影響を分析しました。
その結果、8時間睡眠群と比べ、一晩徹夜群の血液では「神経特異エノラーゼ(NSE)」と「S100カルシウム結合タンパク質B(S100B)」と呼ばれる物質が約20%増加していることが判明しました。
Benedict准教授は、「通常これらの脳分子物質は脳損傷の際に血液中で増加する」と指摘し、。「睡眠不足は神経変性を促進する可能性があり、十分な睡眠は脳の健康維持に不可欠と考えられる」と述べています。
科学誌「Science」2012年10月号に掲載された論文でも、「蓄積するとアルツハイマー病の発症につながるとされているアミロイドベータというタンパク質などの老廃物が、睡眠時に脳細胞からよく排出されることが判明」と報告されていました。
他の研究でも、睡眠が6時間以下の場合は脳の休息が不足して脳の機能が低下する、血糖値や血圧が上昇するとも報告されています。 7時間半から8時間の睡眠がとれると健康には良いようです。