BJパーマー博士は、西洋医学の医師に先駆けて、1910年にX線検査を脊柱の診断のためにカイロプラクティックに導入しました。このX線写真によって、病理学的異常、退行性変性の進行度合い、配列と不整列の状態、などの脊椎の所見が得られることで、カイロの診断は科学的な飛躍を遂げ信頼性を高めました。
カイロプラクティックは、不調や症状の原因となっている神経系の機能を妨害する神経圧迫を起こしている脊椎骨を見つけ出し、それをアジャストという素手で行う矯正法によって取り除くものです。従って、治療の目的は神経系の機能を回復させる事ですが、その為に脊椎の矯正をしなければなりません。その脊椎の状況をしっかり確認する事は、カイロプラクティックとしての正しい診断と治療や安全性の為に必須なのです。
写真@は、当クリニックを受診された50代男性の首の側面像のX線写真です。
肩こり、腰痛といった一般的な症状で来院されましたが、赤外線温度計測病理学的検査、整形外科的検査、神経学的検査、そして視診、触診などのカイロプラクティック学的検査によって所見を認め、それを根拠にX線検査を実施したところ、変形性頚椎症、頚椎椎間板症に加え、後縦靭帯骨化症(OPLL)が疑われる陰影を確認しました。 OPLLは日本人に多くみられると言われており、脊柱管が狭くなり中枢神経である脊髄に直接圧迫を加えるようになると重大な症状を起こす危険があり、MRI検査を依頼しました。
写真Aは同じ患者さんのMRI画像です。 MRI検査と放射線科専門医による診断が、患者さんの現状を詳しく知り、正しい診断によって、適切で安全な治療を提供する鍵となりました。 しかし、X線検査をしていなければ、こういった事は不可能です。
写真Bは10代女性患者さんの全脊柱前後像ですが、ハッキリと側弯が確認されます。側弯症は特に思春期の女子に多くみられ、西洋医学では突発性側弯などとして原因不明とされています。しかし、カイロプラクティックでは独自の視点と理論によって優れた結果を得ています。その診断や治療においても必要となるのが画像診断です。
マッサージや指圧などの慰安は診察も必要なく客が気持ちよく満足すればOKですが、カイロプラクティックはプライマリーケア(第1次医療)のドクターであり、医療として診断とケアを提供する義務と責任があります。 単に気持ちよい事を提供する慰安とは違います。
しかし、カイロプラクターの中には前述の検査やX線検査を行わずに患者を揉み倒すといった「保険が利くマッサージ」のような事をして、本当のカイロプラクティックを受ける機会を患者から奪う者もいるので注意が必要です。
西洋医学と比較して費用対効果に優れたカイロプラクティックにおいては、保険のネットワークや補償率よりも、しっかりと正規の手順に沿って診察や検査を行い、X線検査によって脊柱の状況を確認し、正確な診断と安全なケアを提供しているかどうかが重要なのです。
カイロプラクティックには次のような言葉があります。
「何故X線写真を撮るのか? 見るという事は、知るという事だ。 見ないという事は、推測するという事だ。 我々は、貴方の健康について、推測で治療したくない。」