筆者が調べて見つけた「一般の皆さんの役に立つ」と思われる研究報告の中から、子供に関するものを集めてシリーズで紹介している第3弾です。
■小児期の肥満・耐糖能異常・高血圧と短命に強い関連
医学誌「ニューイングランド医学ジャーナル」2010年362号に掲載された研究では、「小児期の肥満・耐糖能異常・高血圧と短命に強い関連」と報告しています。この研究では、1945〜84年出生の4857名を対象に、小児期の心血管リスク因子と寿命の関係を調査し、その結果、「小児期の肥満によって2倍以上、高血糖で73%、高血圧で57%も55歳未満での死亡リスクが上昇する可能性」が判明しました。
■ 小児期の身体活動が青年期の肥満を防ぐ
医学誌「英国医学ジャーナル」2009年339号に掲載された研究では、「小児期の身体活動が青年期の肥満を防ぐ」と報告しています。この研究では、4,150名の小児を対象に前向きコホート研究を実施、その結果、「12歳児の身体活動度と14歳時点での肥満度が強く相関しており、特に小児期の中等度〜高度の身体活動が青年期早期の体脂肪量減少に関与する」ことが判明しました。
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子供の肥満と睡眠不足の関係
医学誌「小児科学」に2009年10月に掲載された、香港中文大学の研究によると、「週末や休日に子どもを遅くまで寝かせておくことが、過体重や肥満の防止になる可能性」が報告されています。今回の研究では、5〜15歳の小児5159人を対象に、睡眠、生活習慣、身長および体重を、質問表を用いて1年間追跡し、その結果、睡眠時間の少ない小児はボディ・マス・インデックス(BMI)が高い傾向がみられたが、1日の夜間睡眠時間が8時間未満の小児のうち、平日の睡眠不足を週末に補っている小児は過体重や肥満の比率が有意に低かった事、小児の休日の平均睡眠時間は平日よりも有意に長かったが、過体重の小児は休日の睡眠時間が少ない傾向があることが判明しました。
一般的に思春期や思春期前の小児は9.5〜10時間、さらに幼い児童の場合はより長く睡眠を取ることが望ましいとされています。
■ 不十分な睡眠は小児の学業成績に悪影響
医学誌「Journal of School Health 」2005年9月号に掲載された、カリフォルニア大学サンディエゴ校の、Howard
Taras, MDらの研究によると、「小児の学校の成績が不良である場合、その重大な原因は教室ではなく寝室に認められる可能性がある」ということです。
この研究では、「不健康な睡眠習慣や睡眠の乱れは、小児の思考能力および学業成績に悪影響を及ぼしうるため、学生の成績が問題となった場合には、睡眠について考慮すべきである」ということを示唆しています。Taras医師らは、「成績不良の小児およびその家族には、睡眠の規則性および睡眠時間、就寝時刻における小児の就寝拒否、入眠の遅れ、夜間覚醒、睡眠呼
吸障害、日中の強い眠気、等について確認すべきである」と、そして「夜間の呼吸障害などが原因である場合、多くの例では治療によって睡眠習慣が改善するだけでなく、学業成績も改善する可能性がある」と述べている。
今回は、子供の肥満と睡眠などに関する研究を紹介しましたが、それらは子供の健康に影響するだけでなく、学業成績にも影響し、最終的には子供の人生そのものにも影響することになります。医師の定期健診に並行して、カイロプラクティックの検診とケアを受け、Wellnessプログラムについて相談するとよいでしょう。