米国では、2型糖尿病は死因第6位で、年間7万3千人の死亡の直接原因であるとともに、22万人以上の死亡にも関与しています。成人では、2型糖尿病は腎不全および新規失明の主要原因であり、労働生産性低下の重要な原因のひとつで、重要な病気であります。今回は、そんな糖尿病関連の最新医学情報を紹介します。
1. 医学誌「Journal of the American Medical
Association」2008年12月17日号に報告された研究によれば、「糖尿病は、あらゆる種類の癌において死亡ハザード比の上昇に関連があった」と報告されています。
つまり、新たに癌と診断された患者で、すでに糖尿病に罹患している患者は、糖尿病でない患者と比較して、全死亡リスクが高いという事です。
米国の糖尿病者数は2千万人(成人人口の約7%)と推定されています。以前の研究で、糖尿病患者において一部の悪性腫瘍(乳癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌、
肝癌、膵癌等)が高頻度で発症することが明らかになっています。 さらに、新たに癌と診断された患者における糖尿病の罹患率は高く、8%〜18%と推定されています。
2. 医学誌「Neuropsychology」2009年1月号に発表された研究によると、「厳格にコントロールされている場合でも、軽度糖尿病により精神機能が低下する。この認知障害は大きなものではないものの、2型糖尿病の早期に出現するようである。幸いにも、軽度〜中等度の糖尿病患者であれば、この障害が経時的に悪化することはない」とアルバータ大学(カナダ)のRoger
A. Dixon, PhDらは述べています。
つまり、糖尿病は脳の精神機能を低下させるのです。
3. 医学誌「American Family Physician」2009年1月1日号に、2型糖尿病の血糖管理に関する勧告が発表されました。
研究者らは、「推奨される生活改善は、週150分以上の運動を取り入れること、低脂肪・低カロリー食を摂取すること、減量の最初の目標を減量前より7%減とすることなどであり、これらの生活改善により2型糖尿病の発症率が58%低下することが示されている」と述べています。
4. 「BMC Endocrine Disorders」で2009年1月に発表された研究において、ヘリオット・ワット大学(スコットランド)の科学者らは、「1〜2日ごとに短時間でも激しい運動をすることが、糖尿病のリスクを下げるのに役立つことを見出した」と述べています。
この研究では、被験者は30秒間ずつ合計15分間、エクササイズバイクを全速力でこぐ運動を2週間にわたって行った。被験者は日頃あまり身体を動かさなかったか、または気晴らし程度に身体を動かしたが、体系的な運動プログラムに参加した被験者はいなかった。Timmons博士は、「量は少なく、運動強度の高いトレーニングによって、わずか2週間でインスリンの作用とグルコース・クリアランス、代謝が劇的に改善した」、また「1週間に2時間半、運動強度が中程度の活動をする定期的な運動は2型糖尿病と心臓疾患のリスクの低減に役立つ」と述べています。
まとめ…今回紹介した前述の研究で、糖尿病とその程度が進行することが、健康上の重大なリスクであることが再確認されました。そして、低脂肪・低カロリー食の摂取や7%減量、そして運動がそのリスクを下げることが判明しています。
また、鍼灸がインスリンの分泌を促し、血中糖度を下げる事が過去の研究で示されており、カイロプラクティックで神経系の機能を整えておく事も、全身のコンディションを管理する上で有用です。
既に糖尿病で通院中の患者の方は、主治医と相談した上で、これらの情報を参考にしてリスク管理に役立てて下さい。