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気がついたらもう9月、ゆっくりと秋めいてきたこの季節には、やっぱり「読書の秋」でなにか心に響く文書に目をとおしたいもの。筆者は美味しい紅茶をのみながら、詩を読むのが大好きです。
ラビンドラナス・タゴール(Rabindranath
Tagore)という人を知っていますか?1861年、インド、コルカタ生まれの詩人であり、宗教哲学者であり、音楽家であり、そして、1913年、「ギータンジャリ」という詩集により、東洋人として初のノーベル文学賞を受賞した人でもあります。数え切れない詩や戯曲、小説を残し、また理想郷とも言える、彼独自の観点から創設されたシャーンティ・ニケータン学校、そして設立者となるタゴール国際大学はインドだけでなくアジアの高等教育機関として注目されています。またインド国家およびバングラディシュ国家の作詞・作曲者、つまり現在でもタゴールの哲学や思想は、人々の心に深く広く讃えられていると言えますね。
母国語はベンガル語ではありますが、ほとんどの作品が自ら英語に訳されているため、ニュアンスもそのままの形で世界中に愛読者がいるタゴールの作品、その著作は300を軽く超えると言われています。日本にも5度に渡って来日しており、岡倉天心氏や横山大観氏との交流が深かったそうです。日本独自の世界観や自然への愛着、そして俳句などの文学にもとても興味を持っていたタゴール。作品には叙情詩が多いなか、舞台用の戯曲やラブソングの作詞作曲、絵画や彫刻の腕も長けていた彼。今回のホクホクでは、たくみに築き上げられた言葉の宝石が散りばめられた、心に響くタゴールの作品からの引用を、いくつかご紹介してみたいと思います。
■“It is very simple to be happy,
but it is very difficult to be simple.”
「幸せになるのはシンプルなこと。しかし、シンプルでいることはとても難しい。」
■“You can't cross the sea merely
by standing and staring at the water.”
「水辺に立って水を眺めているだけでは、海を渡れない。」
■“Men are cruel, but Man is kind.”
「人間は集合すると残酷な生き物となるが、一人だけの時は優しい生き物だ。」
■“Facts are many, but the truth is
one.”
「事実はたくさんある。が、真実は一つである。」
■“Let me not crave in anxious fear
to be saved, but hope for the patience to
win my freedom.”
「不安と恐れでいっぱいの気持ちから逃れられるように、と祈るより、自由を勝ち取るための忍耐力を持てるように、と祈ろうではないか。」
■“By plucking her petals, you do
not gather the beauty of the flower.”
「花びらを集めても、花そのものの美しさを手に入れることはできない。」
■“Depth of friendship does not depend
on length of acquaintance.”
「深い友情に、知り合っている時の長さは関係ない。」
■“Let your life lightly dance on
the edges of Time like dew on the tip of
a leaf.”
「まるで葉の上に存在するしずくのように、時の端々にそって、人生を軽快に踊ってみよう。」
■“The singer alone does not make
a song. There has to be someone who hears.”
「歌い手は一人では曲を奏でられない。そこにはオーディエンスという聞く耳を持つ人がいなければいけない。」
■“Every child comes with the message
that God is not yet discouraged of humanity”
「この世に生まれてくるすべての子どもたち。神が私達の人間性に未だ落胆していないという証拠である。」
いかがでしょう?自然を愛し、人を愛し、そして神を愛したタゴールならではのメッセージ。忙しい毎日の中でふとこのような言葉を心に刻んで過ごしていきたいですね。
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