爪白癬は外来でよく見られる感染症の一つです。40歳から65歳にかけて好発しますが、その他の年齢層でも発症します。
爪白癬は症状としては足の爪又は手の爪(主に足)が厚くなり、変色、変形します。又このような症状が起こるため、爪が割れやすくもなります。爪の先から根元に向かって変化が進んでいくのも特徴です。この病気は地域、年齢層によって発症率は異なりますが、(約10〜50人に一人感染)、身近にも形の悪い分厚い爪を持っている方がかなり多くみられると思います。原因となる菌はカビ(白癬菌)の一種です。カビですので、当然湿気の多いところで繁殖しやすくなります。職業柄、手足が常に水分に接しているような方が多くなるようです。またほとんどの場合、水虫を持っている人に起こります。
初期のうちは特に痛みも無く、見掛けが悪いぐらいで特に気にしない方も多いようですが、病状が進行すると厚さが増し、靴を履くときに圧迫され、痛みを感じるようになることがあります。
この病気は重篤な病気ではありませんが、見掛けが悪い上に完治するのがなかなか難しい病気で皆悩まされています。
治療法としては過去には定期的に爪を出来るだけ短くしておく、または爪を完全に除去してしまい、経過観察ということも行われていました。しかし爪をとっても生えてくる爪も同じように感染した状態である事が多く、満足できる治療法ではありませんでした。
現在ではいくつかの治療法がありますが、どの方法をとっても根気よく、長期間治療しないと回復の見込みはありません。
1)抗真菌薬クリーム
この使用法は安全性に関しては良いのですが、爪内への吸収量が限られているため、効果は期待できません。初期状態でマメな人は試す価値はありますが、ある程度病気が進行している場合はまず無理でしょう。また完治するのはクリーム使用後1年から1年半ぐらい後になります。
2)抗真菌薬の内服
この療法では手の爪の場合はほとんどの場合治りますが、足の爪の場合は約60%に効果があります(完治、あるいは改善)。薬の種類によって治療期間が異なりますが、最低3ヶ月、長ければ一年ぐらいの治療がやはり必要となります。また、肝機能に影響することもありますので、定期的に血液検査も必要となります。また、肝機能に影響することもありますので、定期的に血液検査も必要となります。
3)PENLAC
これは比較的新しい治療法で液体の処方薬をマニキュアのように使用する方法です。これは内服薬ではないので、副作用などの心配はありませんが、やはり完治率が内服薬に比べるとかなり劣ります。
爪白癬は一度発病すると自然に治ると言うことはまずありません。そのまま変化無く落ち着いているか、または進行していきます。全体的にみて即効性のある特効薬と言うほどの成績を残している治療法はありませんが、やはり一番効果的なのは内服薬です。またひどくなる前に早めに治療を開始したほうが直りは良いようです。またどの治療法をとっても、短期間では治りませんので、根気よく、毎日治療をすると言う心構えが必要です。